「壁に耳あり障子に目あり」とは?
壁に耳あり障子に目ありとは、どこで誰が見たり聞いたりしているかわからないということを表現した言葉です。
壁に耳がついているかもしれないと考えれば、不用意に隠し事を口にすることはできないでしょう。また、障子に目がついているかもしれないと考えることで、疑わしい行動ややましい行動をしないように心がけることができます。
【壁に耳あり障子に目あり】かべにみみありしょうじにめあり
隠し事をしようとしても、どこでだれが見たり聞いたりしているかわからないということ。秘密が漏れやすいことのたとえ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
これから内密な話をするときに使う
壁に耳あり障子に目ありという言葉は、これから内密な話をするときに用いることができます。例えば、あまり大っぴらに話したくない会話をするときに、「壁に耳あり障子に目あり」ということで、小声で気をつけながらしゃべろうと話し相手に注意を喚起することができるでしょう。
【例文】
・まだオーディションの結果が決まったわけではないから、少し小さな声で話してもらえる?壁に耳あり障子に目ありって言うでしょ。
・壁に耳あり障子に目ありというから、そんな陰口を叩くのは回りまわって人に知られるし、人間性を疑われることにもなるよ。
すでに内緒話が周囲に知られたときにも使う
内緒にしたつもりなのに周囲に知られてしまったときにも、壁に耳あり障子に目ありという言葉を使って状況を表現することができます。例えば、次のように使うことができるでしょう。
【例文】
・この話をしたのは君にだけなんだけど、壁に耳あり障子に目ありというか、今では誰もが知っているみたいだよ。
・私が今回の中間テストで学年1位であったということは、すでに学年中の人が知っていた。壁に耳あり障子に目ありというけれど、どこからこの話が広まったのかわからない。
平家物語の中にも使われている
鎌倉時代に書かれたとされる平家物語の中には、「やぶに目、かべに耳といふことあり」という表現が使われています。内密にしなくてはいけない話をするときに、周囲に聞かれないように注意を促すシーンで使われました。
「障子に目あり」の表現についてはいつから言われるようになったのか不明ですが、「壁に耳あり」に関しては鎌倉時代にはすでに使われていたことがわかります。
「壁に耳あり障子に目あり」の類語と例文
「壁に耳あり障子に目あり」という言葉には、似たような表現がいくつかあります。主な類語表現としては次の4つが挙げられるでしょう。
・石に耳あり
・壁に耳あり徳利に口あり
・昼には目あり夜には耳あり
・闇夜に目あり
それぞれの類語表現を例文を用いて解説します。「壁に耳あり障子に目あり」との違いや共通点も詳しく見ていきましょう。
石に耳あり
「石に耳あり」とは、道端などに落ちている石が話を聞いているかもしれないから、内密な話をするときには注意が必要だということを示す表現です。「壁に耳あり障子に目あり」は壁や障子といった屋内に設置されているものを使った表現のため、屋内で内緒話をするときに使いますが、「石に耳あり」は屋外でも使うことができます。
【例文】
・誰もいないように思えるけれど、石に耳ありというから、あまり大声で話さないほうが良いよ。
・石に耳ありっていうから、噂話をするときは注意をするようにしてね。