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EDUCATION 教育現場より

2022.10.16

英国オックスフォードの名門小学校から、 日本の私立小学校を選んだ理由【お受験ママの相談室 vol.4 前編】

 

日本教育を選んだ理由 欧米教育にはない、その良さ

——ここまでイギリスの素晴らしい教育について教えていただきましたが、その素晴らしいご経験をされながらも、日本へ戻り、娘さんのお受験にも日本の私立学校を選ばれました。日本の教育にそれを上回る魅力があったからですか?

MAYA:実は私は14歳からずっと海外へ留学しているので、自慢ではないですが友達の結婚式には二度しか呼ばれたことがありません(笑)。子供時代から大人になっても続いているようなお友達は少なく、出身校への帰属意識っていないのです。そんなこともあり、日本の愛校心、横のつながり、一致団結感、チームワークなどというものに個人的に憧れがありました。

例えば、日本の熱い運動会も大好きで、子供たちには経験させてあげたかった。欧米諸国は、個を重んじる国なので運動会の練習なんてありませんし、個人競技をして終わり。少し味気ないですよね?!(笑) 運動会の練習や集団行動は、やり過ぎには注意ですが、みんなで感動して泣けるほど何かに取り組むことって、とても素敵だと思っています。

イギリスでは、特に小学校では転校編入が多く、教育方針で転校するのは当たり前という風習なので、1年生のメンバーが6年生の頃には1割しか残らないとも言われます。ですから、子供たちには、日本の付属校でクラスメイトがなるべく変わらず同じお友達と仲良くできる環境の中、先生と子供との一体感を味わってほしいと思ったのです。

「給食」というのも、素晴らしい制度ですよね。あんなにクオリティの高い食事が提供されるのは、世界各国どこを見てもないと思います。食は、体を作るもとですし、味覚も育ちます。“食べるものを大切にして、粗末にしない”という日本文化の素晴らしい価値観も自然に育んでもらえます。

それから、ロンドンの多くの私立校には校庭がありません。家賃が高すぎますから…。なので東京の中でも、緑があり、土の校庭がある小学校に入れたいな、と思っていました。挙げれば数えきれないほど、日本の文化・教育にも素晴らしいものがありますよね。これらの理由から、日本の私立学校を子供の学舎のベースにしたいと思っていました。

——下のお子さん(女の子)が、2歳から5歳の秋までイギリスにいたということで、日本語も十分ではない状態での日本でのお受験だったそうですが、その辺りはいかがでしたか?

MAYA:私は、ありのままの娘を受け入れてくれる学校にこそ入れたいと思っていたので、学校に直接お電話させていただいて「娘は今まだイギリスに籍があり、日本語が不十分ですが、受験させていただいても大丈夫ですか?」と問い合わせをして、「是非お願いします」と言われた学校だけ志願させていただきました。ひと昔前には難しかったことではないでしょうか。好意的な対応をしてくださった学校に感謝していますし、私学も確実に変わって来ていると感じました。

私立の附属小学校の良いところは、能力に凹凸があり一部分ちょっとくらい遅れがあっても、“卒業までに間に合えば良い”と鷹揚に考えてくれるところではないでしょうか。母親がワーキングマザーであることも昨今は当たり前になりましたよね。

だからこそ、お受験は小手先のテクニックでは受からないものだ、と強く感じています。「学校が求めている子供の姿はどんなものか、どんな子供を自分の学校に迎え入れたいと思うだろうか」。そういったことを母親たちは真剣に考える必要があると思います。

私立学校には学校ごとに理念があり、家庭の理念や子供の適性とそれが合えば、学校でしっかりとその理念に沿った指導をしてくれるので、家庭も子供も幸せです。逆に、単にブランドや偏差値だけを見て学校の特徴や方針を理解せずに受験すると、入学後、そのやり方に子供も家庭も戸惑うことがあるかもしれません。それは子供のために避けたいものですよね」

小学校は6年間と長いですから、もし環境が合わないまま過ごすことになれば、実際に通う子供にとってはまさに地獄です。まずはご家庭で教育理念をしっかりと考え、子供の個性や相性を慎重に見極めることが親の責任として必須になると思います。

——ありがとうございました。今回は、イギリスと比較した日本教育・私学についてお聞きしました。イギリスの、魅力的な授業内容や憧れる点と、また同時に日本教育の良さも改めて教えていただきました。

以下ご参考までに、イギリスと日本の学力について、国立教育政策研究所のまとめた「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」(Programme for Internatonal Student Assessment)の調査結果のグラフをご覧ください。

〈2018年調査 OECD加盟国(37カ国)における平均得点の国際比較〉

今回、イギリスの素晴らしい読書教育についての話がありましたが、読解リテラシー調査について、実は日本もイギリスに次いだ結果が出ています(他、数学的リテラシーや科学的リテラシーの2つについては、日本は上位をマークしています)。この結果を見る限り、書かれた文章を正しく読みとる力については、日本もそれなりの結果を出しており、総合的に見ても、現段階で日本教育が劣っているとは言えません。

ですが、これからの時代“アウトプットする能力”がより必要になってくるとも言われています。例えば、自分の考えを豊かな表現で表出する、物語を想像する、など。

イギリスのファンタジー小説や映画に負けず劣らず、日本の漫画やロールプレイングゲームなどは世界に誇れる文化です。こうしたコンテンツ作りに必要な想像力や、表現力、アート性、、それらを、日本人の強みとして広く学校教育の中でも強化していければ、理想かもしれません。そしてそれには、楽しむことや、どんな発言も褒め合い・認め合う土壌が必須だということを今回のお話から考えさせられました。

次回はいよいよMAYAさんが二人のお子さんの全ての受験に第一志望合格を果たした経験から得た「小学校受験を成功に導く母の心得 5か条」を、お伺いします!

教えてくれたのは…

MAYAさん

経営者・投資家・二児の母。 国際的な文学一家に生まれ、14歳で英国、15歳〜カナダに留学。ブリティッシュコロンビア大学で、数学や計量経済学を学ぶ。外資系投資銀行のトレーダーとしてキャリアを積んだのち、2人の子供を出産し、2016年から3年間渡英。息子は8歳〜11歳までオックスフォードの名門校で寮生活、娘は6歳にして世界的絵画コンクールで最優秀賞を受賞。現在は東京在住、起業・マーケティング会社経営の他、インスタグラムも大人気。(Instagram▶︎@mayamaya411)noteのお受験記事の執筆・講演活動に続き、2022年秋より自らが主宰するオンラインコミュニティ「Bon Voyage」もスタート。

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Interview& Writing

田口まさ美

<教育エディター>
小学館で教育・ファッション・ビューティ関連の編集に20年以上携わり独立。現在Creative director、Brand producerとして活躍する傍ら教育編集者として本連載を担う。私立中学校に通う一人娘の母。Starflower inc.代表。▶︎Instagram: @masami_taguchi_edu


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