【使い方2】天皇弥栄(すめらぎいやさか)
天皇の御代が末永く栄えますようにという気持ちを込めて、「天皇弥栄(すめらぎいやさか)」と表現することがあります。天皇弥栄は祝詞(のりと)にも使われている言葉です。
天皇の御代が続く平和な世の中を願うとき、例えば天皇が即位したときやお正月などのおめでたいことがあったときに用いられます。
なお、すめらぎとは天皇の大和言葉です。大和言葉とは奈良時代よりも前からある日本古来の言葉で、漢字が伝来するよりも早く日本語として存在していました。すめらぎは「天皇」という漢字を当てることが一般的ですが、「皇」を当てることもあります。
「弥栄」の類語は?例文もご紹介
弥栄には、類似する意味を持つ言葉がいくつかあります。例えば、次の言葉は弥栄と似たような意味で使われることが多いです。
・万歳
・清栄
・繁栄
・繁盛
それぞれの言葉をどのようなシチュエーションで使うのか、例文を挙げて解説します。
■万歳
万歳(ばんざい)とは、お祝いするときや嬉しいことがあったときに使う言葉です。勢いよく両手を挙げながら、「万歳」ということもあります。
万歳という言葉はもともとは「天子が一万歳まで生きて欲しい」という意味を込めて、天子の長寿や世の中の繁栄を祈るときに使われていました。今でも天皇の長寿を祈って万歳ということがありますが、個人的に良いことがあったときも使うことがあります。
・一般参賀に参加して万歳を叫んだ。
・社運を左右する大きなプロジェクトが成功し、社員全員で万歳をした。
・ご両家のご多幸を祈念して、万歳三唱の音頭を取らせていただきます。
また、幼児語として、手を挙げる意味で「万歳する(万歳をする)」と使うことがあります。
・お風呂に入るよ。お洋服を脱ぐから、万歳をしてね。
■清栄
清栄(せいえい)とは、相手の繁栄や健康を喜ぶ言葉です。そのため、自分自身や自分の家、会社などには使うことがありません。しかし、清栄という言葉だけでは敬語表現にならないため、「ご清栄」と「ご」を付けて使うようにしましょう。
また、清栄は経済的な繁栄について使う傾向にあります。そのため、組織や事業などに対して繁栄を祈るときに用いられることが多いです。例えば、次のように使うことがあります。
・益々のご清栄をお祈りいたします。
・益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
・貴社のご清栄を心よりお祈り申し上げます。
■繁栄
繁栄(はんえい)とは、栄えることや発展することを意味する言葉です。どちらかというと個人的な発展ではなく大規模な組織や事業、家系の発展を指して使う傾向にあります。いくつか例文を見ていきましょう。
・日本の繁栄を願い、賽銭箱にお金を投げ入れた。
・さらなるご繁栄をお祈り申し上げます。
・歴史を見ると、どの国も繁栄と衰退を繰り返している。
■繁盛
繁盛(はんじょう)も繁栄と同じく、栄えることや発展することを意味する言葉です。しかし、基本的には商売について使う言葉のため、組織や家系、家の発展にはあまり使いません。例えば、次のように使うことがあります。
・いつもお客さんが多く、繁盛していますね。
・神社で商売繁盛を祈った。
・繁盛しているようで安心しました。
繁盛は繁昌(はんじょう)と書くことも多いです。意味は同じで、商売において栄えていることを指します。
弥栄を正しい読み方で使おう
弥栄は通常は「いやさか」と読みますが、地名や神社名のときはその限りではありません。「やさか」や「やえい」などと読むこともあるので、地域の方に確認するなどして正確に発音するようにしましょう。
また、弥栄はおめでたいときに使う縁起の良い言葉です。会話で使うことは滅多にありませんが、スピーチなどで使えるように意味を正確に理解しておきましょう。
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