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2023.01.26

最強の武将と呼ばれた【上杉謙信の名言】現代も生きる数々の言葉、生い立ちとは

「生を必するものは死し、死を必するものは生く」

戦場に向かうとき、「生きたいと思っている者は死に、死ぬ覚悟をもっている者は生きる」という意味です。謙信は生涯に70回戦って負けたのは2回と言われるほど、勝ち続けた最強の武将。なぜなら、死ぬ覚悟を決めて戦に挑んでいたから。生きたいと思っていると、つい逃げ腰になってしまい、命取りになると考えていました。何事も覚悟をもって取り組むというのは現代にも通じることですね。

「争うところは弓箭(きゅうせん)にありて、米塩(べいえん)にあらず」

当時の戦国大名たちは領地の維持、拡大だけでなく、国内の人々が安心して暮らせるようにするのも仕事の一つでした。生活必需品である塩を、海のない甲斐国(現在の山梨県)の武田信玄は駿河国(現在の静岡県)の今川家から買っていました。しかし、武田家が今川家に攻撃を仕掛けたので、今川氏は立腹し、塩を売ることをやめてしまったのです。

塩がなければ甲斐国の人々は困窮してしまいます。それを聞いた謙信は「戦は弓や矢を使ってするもので、米や塩を使ってするものではない」と言って甲斐国に自国の塩を売ってあげたのです。謙信と武田信玄は宿敵同士。それでも謙信は、困っている時は助けるべきという「義」の心で救いの手を差し伸べました。

このエピソードから「敵に塩を送る」という言葉が生まれました。現在も「苦境にある敵を助ける」という意味の故事成句として使われています。武士としての心意気が伝わってきますね。

山のように積まれた海塩とそれをすくっている様子の水彩イラスト

「大事なのは義理の二字である。死ぬべきに当たってその死をかえりみず、生きる道においてその命を全うし、主人に先立つ、これこそ武士の本意である」

この言葉は、家臣に向けてのものではなく、謙信が自らに言い聞かせていたものとされています。「日々死を覚悟して戦に臨む際、死ぬにしても、生きているときにやるべきことをきちんと果たすことが義理である。それで主人に先立ったとしても武士の本望だ」ということ。この「義」を重んじる謙信の思いはのちに、人々の「信頼」を得ることになります。

北条氏康は「謙信は一度請け負ったら、骨になっても義理を通す」と言い、武田信玄は死に際に後継の武田勝頼に「いざとなったら謙信を頼れ。あの男は頼めば嫌とは言わない」と言ったとされています。敵対する武将にここまでの信頼を得た武将はいないでしょう。

【目次】

まとめ

負けなしの戦の天才と呼ばれた上杉謙信。一方で「義」を重んじ、困った人には分け隔てなく手を差し伸べる。このような姿勢や「戦は自国の領土を広げたり自国の富につなげたりすることでなく、他国を救済するために行う」という考え方が現代人にも広く共感を与え、長く人気を誇る秘密なのかもしれません。

画像ALT

執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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