「門限」とは?
「門限」とは、外出から帰らなければならない時刻のことをいいます。英語圏では「curfew」と呼ばれる門限ですが、江戸時代の武士にも門限があったそうです。戦うことが本分である武士は、24時間体制で非常時に備えるために、いつも午後6時には帰宅するという日々を送っていたとされています。
江戸時代後期には、庶民の間で旅行ブームが起こりますが、武士には厳しい門限があるため、ほぼ無縁だったのだとか。また、将軍家の子女や女中、夫人が生活する大奥にも厳しい門限が定められており、「御年寄」と呼ばれる、大奥の中でも位の高い女中が門限を破ったことで、多くの関係者らが処罰される事件が起きました。
門限といえば、何となく昔のしきたりのようなイメージがあるかもしれませんが、現在でも門限が決まっているという家庭は少なくありません。
また、成人してしまえば帰宅時刻などは自分で考えてある程度自由に行動することができますが、まだ幼い小学生や中高生は、犯罪に巻き込まれる可能性が高くなるため、理由のない深夜の外出は禁じられています。
なるべく日が暮れて暗くなる前に帰宅してほしいと思う保護者の方も多いはず。そのような家庭では、門限が決められていたり、大体何時までには帰宅すると暗黙の了解で決まっていたりすることが多いのではないでしょうか。
「門限」は法律で定められている?
18歳未満の未成年単独で、理由なく深夜に外出することは、「青少年保護育成条例」という条例で禁じられています。外出が禁止されている時間帯は午後11時から午前4時まで。そのため、この時間帯に未成年が繁華街や商業施設で遊んだり、バイトしたりすることはできません。
しかし、部活や塾などの習い事で、どうしても子どもの帰宅が遅くなってしまうということも少なからずあるでしょう。そのような場合は事前に連絡を取ったり、近隣まで迎えに行ったりと、できるだけ夜遅くまで未成年だけで外にいるということは避けたいところです。
「門限」を設定している家庭はどのくらいある?
では、門限を設定している家庭の割合はどの程度なのでしょうか? 住宅情報サイト・オウチーノが調査した「子どもの門限に関するアンケート調査」によると、「門限を設定していない」と回答したのは全体の50.7%で、門限を設定している家庭の割合は半数を下回っていることが分かりました。
学齢別に見ると、小学生の子どもを持つ家庭の56.1%が、そして、中学生の子どもを持つ家庭の41.6%が、門限を設定していると回答しています。また、高校生の子どもを持つ家庭は、45.3%が門限を設定していると回答する結果に。
門限を設定していない理由として、「授業が終わったらすぐに帰宅するから」といった内容が挙げられます。
「門限」を設定するメリット
「門限を設定するのは過保護ではないか?」という意見もありますが、メリットも複数挙げられます。ここでは、門限を設定することで得られるメリットについて紹介しますね。
1:防犯に効果的
先述の通り、18歳未満の未成年が深夜に外出することは、青少年保護を目的とした条例で禁止されています。条例の詳細については、各自治体によって異なりますが、ほとんどの場合、未成年のみでの深夜徘徊は警察の補導対象となるのです。
しかし、都市部の繁華街などには未成年が好む商業施設が多いため、つい寄り道をしてしまうということも考えられるでしょう。そのような未成年を狙った犯罪が都市部を中心に頻発しており、とても安全であるとは言えません。
あらかじめ門限を設定して帰宅時間を確認することで、子どもが犯罪に巻き込まれるリスクを回避しやすくなるということが、最大のメリットとして挙げられるでしょう。
2:防犯の意識を高められる
門限を設定する際、単に時間だけを決めて「何時までに帰ってきなさい」と子どもに伝えるのではなく、門限を設定する理由について説明することで、子ども自身が常に警戒心を強く持って行動することができるのではないでしょうか。
門限が決まっているからというだけでなく、夜遅くに外出することで犯罪に巻き込まれる危険性が高くなるということをしっかりと理解していると、成人してからもあまり羽目を外すことなく、自分で考えて行動することができそうです。
3:子どもの行動を把握しやすい
門限を設定せずに、基本的に何時に帰宅しても大丈夫という状態になると、連絡を取り合わない限り、帰宅するまでの間に子どもが何をしているのか分かりません。友達と遊んだりして夜遅くまで子どもが帰ってこないとき、途中で連絡が途切れて心配になるということもあるでしょう。
そのような場合は、事前に門限を設定しておくことで、子どもの帰宅時間を把握することができ、少しでも不安材料を減らすことができるのではないでしょうか。
「門限」の平均時刻は?
では、門限の平均時刻は何時頃なのでしょうか? 先述の通り、オウチーノが行った調査によると、小学生の子どもを持つ家庭では17時頃、中学生の子どもを持つ家庭では18時頃が、門限時刻として最も多いということが分かりました。
また、高校生の子どもを持つ家庭では22時頃と、小中学生に比べて門限時刻が遅めに設定されています。高校生になると、電車やバスなどの交通機関を利用して学校に通ったり、部活やバイト、塾などで帰宅が遅くなったりする子どもが多くなるため、門限時刻も比較的遅めになっているということが考えられるでしょう。
そして、子どもが門限を守っているかという質問に対しては、「常に守っている」「たいてい守っている」と回答した割合が全体の9割以上を占めるなど、ほとんどの子どもが門限を守っているということが分かりました。
最後に
今回は、「門限」の平均時刻やメリットについて紹介しました。門限を設定するのは過保護だといわれることもありますが、現在でも門限を設定している家庭は少なくないようです。
犯罪やあらゆるトラブルから子どもを守りたいと思うのが親心。しかし、一方的に門限を子どもに押し付けるのではなく、まずは門限を設定する理由について子どもに伝えたうえで、しっかり話し合ってから決めるのがよいでしょう。
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