なかなか落ちないシャツの黄ばみ…
白くパリッとのりのきいたシャツは、清潔感がありますよね。フォーマルな場でもカジュアルな場でも着用することができる、万能アイテムのひとつとも言えるのではないでしょうか? 使用頻度が多いからこそ、汚れや黄ばみなどの「使用感」を出さないようにすることが大切です。
しかし、お気に入りのシャツに限って黄ばんでしまうことって、ありますよね。好きだから着る回数が増える…、ゆえにこれは仕方のないことかもしれません。かといって、「買い換えればいいじゃない?」と思っても、同じものを入手するのもときに難しいもの。できるなら、お気に入りのシャツがいつも新しく、買ったときと同じような状態で、できるだけ長く愛用したいですね。
そうした衣類の悩みについて、着物や高品質のブランド衣類はもちろん、天然素材の品のメンテナンスを行っている「きものトータルクリニック 吉本」の新井 修さんに対処法を教えてもらいました。本記事では、シャツの黄ばみの原因や黄ばみの落とし方のポイント、そしてシャツの黄ばみを予防する方法について解説します。
シャツの黄ばみの主な原因とは?
シャツの黄ばみを落とすためには、まずその原因を特定する必要があります。汚れや黄ばみの考えられる主な原因を紹介するので、心当たりがないか思い出してみてください。
1:皮脂の汚れ
まずいちばんに確認すべきなのは、皮脂の汚れです。皮脂がシャツに付着したまま酸化すると、黄ばんでしまいます。それは、皮脂に含まれるたんぱく質が、空気のなかを漂う酸素に反応して、酸化してしまうからです。
2:十分に乾燥した場所で保管していなかった
シャツの黄ばみは、保管状態も関わってきます。衣類の保管をする際は、湿った場所は適していません。衣類の劣化やカビによる変色に繋がるため、湿っている場所は避けて保管するようにしましょう。
3:日焼け
シャツなどの衣類にとって湿った場所はNGですが、直射日光もNGです。日焼けにより、シャツが色あせたり黄ばんで見えたりしてしまいます。
4:洗濯時のすすぎ不足
洗濯石鹸や、洗剤に含まれる蛍光増白剤の洗い残しには要注意。これらがよくすすげていないと、酸化による黄ばみが発生してしまうからです。洗濯をするとき、少しでも汚れを落とそうとして規定量より多くの洗剤を入れてはいませんか? これは、洗濯をするときにありがちなNG行為です。
規定量より多く洗剤を入れてしまうと、すすぎきれない恐れがあります。黄ばみを落とすどころか、増やすことにも繋がってしまうので、洗剤を多めに入れたい気持ちをぐっとこらえて、適量を入れるように心がけましょう。
黄ばみを落とす原理
黄ばみを落とすために、少し理科の復習をしましょう。「なぜ理科が必要なの?」と思うかもしれませんが、汚れの成分を把握することで、黄ばみや汚れが落としやすい洗剤を選べるようになります。
たとえば、シャツの黄ばみの大きな原因である、皮脂による黄ばみ。皮脂は酸性です。ということは、皮脂を落とすためには、酸性の反対、つまりアルカリ性の洗剤が効果的。洗剤のパッケージを見ると「アルカリ性」や「弱アルカリ性」と表記されている洗剤があるので、それらを選ぶとよいでしょう。
シャツの黄ばみの落とし方を紹介!
続いて、いよいよ黄ばみの落とし方を紹介します。手軽に用意できるアイテムばかりなので、ぜひトライしてみてください。ただし、高額品やデリケート素材はプロに任せる方が無難です。時間の経った変色は衣類自体の色を変えてしまっているので、無理をしないようにしましょう。
1:固形石鹸を使う
固形石鹸は弱アルカリ性。先ほど紹介したように、皮脂の黄ばみや汚れに効果的です。黄ばみが気になる部分に固形石鹸をこすりつけた後に揉み洗いをしましょう。そしてそのまま洗濯機へ。これだけで、かなり黄ばみが落とせますよ。
2:セスキ炭酸ソーダを使う
セスキ炭酸ソーダもアルカリ性です。そしてアルカリ性や酸性の強さをpH0~14で表すpHだと、セスキ炭酸ソーダはpH9.8。pH7が中性で、数字が高くなるほど強いアルカリ性、低くなるほど強い酸性を表します。
そう考えると、セスキ炭酸ソーダはそこそこのアルカリ性だと言えますね。このセスキ炭酸ソーダを水10リットルに対し、大さじ1の割合で混ぜ合わせ、セスキ炭酸ソーダ水をつくります。
このなかにシャツを浸け込み、水が汚れてきたら取り替えましょう。1時間ほど浸けたら、洗濯機に入れて洗濯をします。
3:食器用洗剤を使う
実は食器用洗剤もシャツの黄ばみや汚れに使うことができます。特にリップやファンデーションなどがシャツについてしまったときにおすすめです。食器用洗剤は、油汚れに強いのでこれらの汚れには効果てきめん。全体的な黄ばみよりは、こうした部分的な汚れに適しています。
4:酸素系漂白剤
広範囲な黄ばみを落としたい場合は、粉末タイプの酸素系漂白剤がおすすめです。洗浄力が強く、シャツ全体の黄ばみに効果があります。
使用方法は、パッケージの表示に従いながら、お湯に粉末を溶かして浸けておくだけ。お湯の温度は40度以上が効果的です。30分浸け置いたら、洗濯機に入れて洗濯をしましょう。
シャツの黄ばみを防ぐ方法はあるの?
ここまでは、シャツの黄ばみの落とし方を見てきましたが、そもそも黄ばみを防ぐ方法があったらありがたいですよね。そこで、あらかじめシャツの黄ばみを防ぐ方法についてふたつ紹介します。
1:早めに洗う
何はともあれ、1度着たらすぐに洗うのが鉄則。皮脂や汚れを長時間付着させないことが大切です。酸化が進む前に素早く洗い落としましょう。
2:洗濯機で洗う前にベンジンで拭く
シャツの黄ばみの原因は皮脂がほとんどです。着物の衿をベンジンで拭くのもファンデーションや皮脂汚れを落とすため。完全に乾いてから、そのまま洗濯機で洗います(※ベンジンが乾いていないのに洗濯機に入れると危険なので、注意してください)。これで皮脂や汗もかなりの確率で落ちるため、変色を防いでくれます。
最後に
本記事では、シャツの黄ばみの原因や落とし方、シャツの黄ばみを防ぐ方法を詳しく紹介しました。日頃からシャツのケアを意識していれば、自宅でもシャツの黄ばみに対応することができます。ただし、無理は禁物です。黄ばみを取るのが難しい場合は、プロに任せるのも手でしょう。
ぜひ、本記事をひとつの参考にしてみてくださいね。
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