「海蘊」ってなに?
「海蘊」という漢字は、一般的には知られていないかもしれません。なかには、初めて見たという方もいるのではないでしょうか。「海蘊」は、海に生息しているある海藻の名前です。本章では、この言葉の読み方を紹介します。同じように海に関連した「難読漢字」も紹介するので、読めるかどうかぜひ試してみてください。
■「海蘊」の読み方は?
「海蘊」は「もずく」と読みます。音で聞くと、「なんだ、食べ物のもずくのことか!」とわかりますよね。
もずく【水=雲/海=蘊】
モズク科の褐藻。静かな内湾のホンダワラ類に着生し、春から初夏にかけ繁茂。茶色で柔らかく、糸状で、よく分枝して房のように見え、ぬるぬるしている。酢の物にして賞味。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉)
海にまつわる難読漢字
海にまつわる難読漢字は、たくさんあります。よく聞く魚や海の生き物の名前も、漢字で書くと見慣れない場合が多いかもしれません。ここでは、海をテーマに難読漢字を8つ紹介します。いくつ正解できるかチャレンジしてみてください。
1.海豚
2.鮟鱇
3.海獺
4.海豹
5.海象
6.鱏
7.若布
8.水母
▼〈正解〉はこちら!
1.いるか
2.あんこう
3.らっこ
4.あざらし
5.せいうち
6.えい
7.わかめ
8.くらげ
食材としての「海蘊」は?
もずくは、昆布やワカメなどと同じ褐藻類で、温暖な地域の浅い海に生息しています。流通しているものの約9割は、沖縄で養殖された「オキナワモズク」と呼ばれる種類。オキナワモズクは別名「太もずく」とも言われ、太くてぬめりが少ないのが特徴です。シャキシャキとした食感も楽しめます。
また能登半島や山陰地方には「糸もずく」と呼ばれる細くてぬめりの強いもずくも存在します。糸もずくは細いため口当たりがよく、なめらかな食感が特徴です。生産量は少なく、市場にはあまり出回っていないため、価格も高くなります。
もずくは1年中スーパーで入手可能ですが、旬は4月から6月頃です。塩蔵や乾燥状態でも販売されています。
「海蘊」ってどんな栄養があるの?
もずくは海藻の一種であり、さまざまな栄養素を含んでいます。主な栄養成分として、ヨウ素・βカロテン・マグネシウム・カルシウム・フコイダンなどが挙げられます。本章ではもずくに含まれているこれらの栄養素について、それぞれ解説していきます。
1)ヨウ素
ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成要素であり、代謝の促進や体の成長を助ける重要なミネラルのひとつです。特に成長期の子供にとっては、欠かせない栄養素となります。
2)β-カロテン
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAへと変換されます。ビタミンAは目や皮膚、粘膜の健康維持に必要な栄養素であり、免疫力の向上にも寄与するとされる成分です。
3)マグネシウム
マグネシウムは、リンやカルシウムと協力することで、歯や骨を形成するミネラルのひとつです。体内の酵素の活性化を促し、筋肉の調整においても重要な役割を果たしています。
4)カルシウム
カルシウムは、骨や歯の形成に不可欠なミネラルです。さらに、筋肉の運動や神経の安定にも重要な役割を果たします。カルシウムは吸収が難しい栄養素。ビタミンDと一緒に摂取すると、吸収の促進につながるとされます。
5)フコイダン
もずくのぬめり成分に多く含まれるフコイダンは、水溶性食物繊維の一種です。コレステロールの抑制や、血糖値の改善などの機能があると言われ、生活習慣病の予防に効果が期待されています。
海蘊にはさまざまな種類がある!
もずくには、いくつかの種類があります。ここでは岩もずくと細もずく、そして太もずくの3種類を紹介します。
・岩もずく
ナガマツモ科に分類される岩もずくは、主に日本海沿岸に自生しています。その名前の由来は、岩に密着して成長する様子とされています。
ぬめりが少ない岩もずくの特徴は、歯ごたえと口に広がる磯の香り。食べる際には、その独特な風味を楽しむことができるでしょう
・細もずく
「糸もずく」としても知られる「細もずく」は、モズク科に属しています。
1本1本が細くやわらかい細もずくの繊維表面にはぬめりがあり、なめらかな食感が特徴です。その独特ななめらかさは、まさに細もずくの魅力といえるでしょう。
・太もずく
「太もずく」はナガマツモ科に属し、一般的には「オキナワモズク」と呼ばれています。主に、沖縄の沿岸地域に広く分布しているもずくです。
市場でもよく見かける太もずくは、太さがありながらもシャキッとした食感が特徴。ほかのもずくとは、まったく異なる食べ応えを感じられるでしょう。
最後に
今回は、「海蘊」の読み方や種類などについて紹介しました。海の生き物や海藻は、なじみのない漢字で表されることも多いので、この機会にまとめて覚えておくのはいかがでしょうか。
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