「鰯」とはどのような魚?基礎知識を解説
そもそも「鰯(いわし)」とは、一般的にニシン科やカタクチイワシ科の魚の一部を指して使われる言葉です。そのため、鰯と呼ばれているのは一種類の魚だけではありません。マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシ・オグロイワシ・カタボシイワシ・カリフォルニアマイワシなど、複数の魚が鰯と呼ばれています。
はじめに鰯とはどのような魚なのか、代表的な3つの種類とそれぞれの旬、栄養成分、美味しい鰯の選び方、代表的なレシピを確認していきましょう。
■代表的な鰯の3つの種類とそれぞれの旬
鰯にはさまざまな種類があるものの、現在日本で流通している代表的な3つの種類は以下のとおりです。
1.マイワシ
2.カタクチイワシ
3.ウルメイワシ
これらの種類の鰯は漁獲量が多く、鮮魚にも加工品にも活用されています。なお、種類を特定せずに単に鰯という場合は、マイワシを指すことが多いです。さらに近年では、カタボシイワシなどのサッパ属の漁獲量が増加傾向にあります。
それでは、代表的な鰯の3つの種類とそれぞれの旬をチェックしていきましょう。
1.マイワシ
マイワシは、鰯と呼ばれる魚の種類のなかでも特に漁獲量の多い魚です。かつては、国内の全魚種漁獲量のおよそ40%にあたる450万トンも漁獲されていました。現在の漁獲量は当時の10分の1以下になっているものの、今でも鮮魚や干もの、缶詰などとしてさまざまな活用がされています。
マイワシは回遊魚で、日本各地で水揚げできる魚です。季節に応じてさまざまな場所で水揚げされているため、旬が長く、5月から10月にかけて食べられます。
2.カタクチイワシ
カタクチイワシは、稚魚をゆでて干した「しらす干し」や「ちりめん」として有名です。コイワシと呼ばれることもあります。
一般に出回るのは加工されたものが多く、鮮魚としてはあまり流通していません。少し成長したカタクチイワシは、「煮干し」としても活用されています。また、アンチョビの材料としても知られています。
初夏から秋にかけてが旬だといわれることもあるものの、1年を通して水揚げされていて、季節による味の変化もあまりありません。
3.ウルメイワシ
ウルメイワシは、大きな目玉が特徴的な種類です。「目ざし」や「丸干し」という場合はウルメイワシを使っていることが多く、そのまま干してつくられます。主な産地は西日本側に集中していて、旬の時期は脂がのる10月から2月ごろです。
鮮魚としての流通量は少ないものの、刺身の味は代表的な3種類の鰯のなかで特に美味しいともいわれています。
■鰯の栄養成分
鰯は栄養価が高いことでも知られています。健康によいとされる主な栄養成分は、以下のとおりです。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
身体によい油として注目を集める不飽和脂肪酸の一種です。脳・神経系の機能を向上させる効果などが期待されています。
EPA(エイコサペンタエン酸)
不飽和脂肪酸の一種で、血中の中性脂肪を減らして血栓や動脈硬化を起こしにくくするといわれる成分です。
ビタミンB6
たんぱく質の合成をサポートし、皮膚や髪、爪などの細胞の再生を助ける働きがあります。
カルシウム
丈夫な骨や歯をつくったり、筋肉の収縮と弛緩を調節したり、神経の情報を伝達したりする働きがあります。
■美味しい鰯の選び方
美味しい鰯を選ぶ際は、以下のポイントに気をつけましょう。
・澄んだ黒い目をしているか
・色つやはよいか
・うろこが残っているか
・太っていてまるまるとしているか
鰯は、非常に鮮度が落ちやすい魚だといわれています。特に生で食べたいときは、見極めるための上記のポイントをチェックして、鮮度が高くて美味しいものを選びましょう。
■鰯のレシピは梅煮や蒲焼、生姜煮など
鰯のおすすめの食べ方には、梅煮や蒲焼、生姜煮などがあります。鰯は、煮る、焼くなどさまざまな調理法で美味しく食べられる魚です。また、新鮮なものであれば、マリネや酢じめといった生のまま食べる方法でも親しまれています。
ほかにも、鰯のハンバーグやつみれ汁、パン粉焼きなど、さまざまなレシピがあります。
「鰯の頭も信心から」の意味
【鰯(いわし)の頭も信心から】
イワシの頭のようなつまらないものでも信心する人には尊く思われる。物事をかたくなに信じる人を揶揄(やゆ)するときなどにもいう。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
鰯が使われている言葉には、「鰯の頭も信心から」などがあります。「鰯の頭も信心から」とは、「どのようなものであっても、信じている人にとってはありがたいものになる」という意味です。このことわざでは、鰯の頭のことを「取るに足らないもの」「つまらないもの」として表現しています。
信心深さを表すだけではなく、皮肉やからかいの意味としても使われる言葉です。使う際はネガティブなニュアンスがあることに注意しましょう。
節分に鰯と柊を飾るのはなぜ?
日本の一部の地域では、節分の飾りものとして葉っぱつきの柊の枝に焼いた鰯の頭を刺したものを飾る伝統があります。これは「柊鰯(ひいらぎいわし)」といい、魔除けや厄除けの意味を込めて飾られているものです。先が鋭いものや鰯を焼くときの強い臭いを鬼が嫌うとして、節分に鰯と柊を飾るようになったとされています。
鰯をさらに理解しよう
一般的に鰯とは一種類の魚だけではなく、マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシ・オグロイワシ・カタボシイワシ・カリフォルニアマイワシなど、複数の魚を指して使われています。
そのなかでも、現在日本で流通している以下の代表的な3つの種類を指すケースが多いです。
1.マイワシ
2.カタクチイワシ
3.ウルメイワシ
それぞれの特徴や栄養成分、選び方、レシピなどを知り、鰯への理解を深めてみてはいかがでしょうか。関連する言葉や行事などもあわせて、チェックしておきましょう。
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