人生の三大資金の一つが、学費
子供が大学進学を希望したら、叶えてあげたいとは思うけれど、学費が不安という人は多いもの。特に、住宅ローンを払いながら学費の準備をするのは大変ですよね。
「住宅」「教育(学費)」「老後」この3つにかかるお金は、「人生の三大資金」といわれます。いずれも何千万単位のお金がかかるため、短期で準備するのは難しいことがほとんど。時間をかけて貯めていくことになるので、早いうちから考えることをおすすめします。
学費は、必要になる時期が決まっているお金
学費は、必要になる時期が決まっているお金です。子供が生まれたら、大学に進学するのは約18年後。ということは、18年後に向けて大学の学費を準備していきたいところです。つまり学費は、計画的な準備がしやすい資金。子供が小さいうちに、学費をどう準備するかについて考えることをおすすめします。
大学にかかる学費、平均額を解説
大学の学費を準備する場合、まずは各大学の学費がどれくらいかかるのかを把握しておきましょう。特に、入学した年に払う「初年度納入金」は、100万円以上かかることがほとんど。一括で払うので、意識することをおすすめします。
ここからは、大学別に初年度納入金の平均額を解説します。
国立大学(昼間部)の学費
国立大学でかかる学費は、文部科学省により標準額が決められます。令和3年度時点の標準額は以下です。
入学金:282,000円
授業料:535,800円(年額)
初年度納入金合計:817,800円
なお、上記標準額と異なる入学金や授業料を設定している国立大学もあります。
公立大学の学費
公立大学の学費は、入学者や養育者の住所により学費が変わるケースがあります。特に変わるのが、入学金。令和3年度の公立大学学費は、次の通りです。
《地域外入学者》
入学金:391,305円
授業料:536,363円(年額)
初年度納入金合計:927,668円
なお、地域内入学者は、上記金額よりも安くなります。
私立大学の学費
私立大学についても、令和3年度の学費平均を見ていきましょう。私立大学は、学部で学費が異なります。私立大学の場合、入学金と授業料以外に、施設設備金の負担も必要です。
《私立大学文科系学部》
入学金:225,651円
授業料:815,069円
施設設備費:148,272円
初年度納入金合計:1,188,992円
《私立大学理科系学部》
入学金:251,029円
授業料:1,136,074円
施設設備費:179,159円
初年度納入金合計:1,566,262円
《私立大学医歯系学部》
入学金:1,076,278円
授業料:2,882,894円
施設設備費:931,367円
初年度納入金合計:4,890,539円
《その他の学部》
入学金:254,836円
授業料:969,074円
施設設備費:235,702円
初年度納入金合計:1,459,612円
《私立大学短期大学部・私立短期大学》
入学金:237,615円
授業料:723,368円
施設設備費:166,603円
初年度納入金合計:1,127,586円
私立大学の場合、国公立大学よりも学費の負担は大きい傾向にあります。
出典:文部科学省|私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
国公立大学データ:国公私立大学の授業料等の推移
私立大学データ:令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
大学の学費はいつ払う?
現時点では、大学合格後、入学を希望する場合はすぐに学費を納入しなければなりません。大学の学費を納入するタイミングを見ていきましょう。
入学金の納入期限
希望する大学に合格したら、まず入学金を納入しなければなりません。納入方法は大学から通知があります。具体的な日程は大学により異なりますが、多いのは、合格してから1~2週間以内。それを過ぎると、入学辞退となります。
入学金の納入時期は、受験方式でも異なります。また、複数大学を受験した場合は、滑り止めの大学をキープするために、とりあえず入学金を納入するというケースがあります。
授業料について
大学の場合、授業料は前期(春学期)と後期(秋学期)に納めます。基本的には、4月または5月、9月または10月が多いでしょう。大学によっては、1年分一括払いの選択があることも。
なお、入学した年の前期授業料は、入学金と一緒に納める場合と、入学後に納める場合があります。入学後に納める場合は、4月または5月頃になるでしょう。
大学の学費以外にもかかるお金がある
大学の学費準備で意識したいのが、学費以外にかかるお金です。大学進学には、次のようなお金もかかることを押さえておきましょう。
・受験料
・大学で使う教科書などの教材代
・パソコン代
・通学にかかるお金
・自宅外通学の場合は、生活準備(引越しや電化製品など)にかかるお金
・自宅外通学の場合は、寮費や家賃、生活にかかるお金など
大学の学費が足りない場合は?
もし、大学の学費が足りない場合は、どうすればよいのでしょうか? 必要額が準備できなかった場合に備え、学費を調達する方法について解説します。
奨学金制度を利用する
奨学金は、学生がお金を借り、学生自身が返済します。返済がはじまるのは、就職後。学生の間は、返済する必要はありません。
奨学金には、給付と貸与の2つがあり、条件を満たせば利用することができます。奨学金を取り扱う団体は、次の通りです。
日本学生支援機構
もっともよく知られている奨学金です。返済不要の「給付奨学金」、返済が必要な「貸与奨学金」をはじめ、海外留学のための奨学金などもあります。手続きは大学を通して行うのが一般的。更新の手続きは毎年しなければなりません。
大学独自の奨学金
大学が独自で設けている制度です。成績優秀者や経済的に厳しい学生に対して、給付または貸与の形で支給されます。
上記以外に、地方自治体や民間団体による奨学金制度も。奨学金の利用は細かな条件が定められていることが多いので、事前によく調べることをおすすめします。
教育ローンを利用
教育ローンは、親が借り、返済も親がします。教育ローンは、「国(教育一般貸付)の教育ローン」「民間金融機関の教育ローン」の2種類。内容や金利、貸付限度額は、各ローンで異なります。
参照:りそなグループ|大学の学費の平均はいくら?教育資金の準備方法についても詳しく解説!
まずは、初年度納入金の準備を
大学の学費として必要になる総額は、進学先によりますが、500~1,000万円といわれます。しかし、実際に貯めるとなると、中学や高校の学費を払いながら準備することに。また、塾や習い事などにもお金がかかるので、総額を準備するのは難しいという人もいるでしょう。
その場合は、初年度納入金だけでも準備するといいですね。前述したように、短期間で一括納入を求められるため、すぐに支払えるよう準備しなければなりません。これから学費を準備する人は、まず初年度納入金を用意することを目指してみてください。
最後に
人生の三大資金の一つである学費。特に大学の学費は負担が大きく、短期間で準備するのは難しいことがほとんどです。大学の学費で特徴的なのが、入学金。合格後、短期間で一括納入しなければならないため、すぐに準備できる状態にしておかなければなりません。学費は一朝一夕で準備できないもの。子供が小さいうちにしっかりと考え、計画的に準備するようにしてくださいね。
益田瑛己子
ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)として活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン
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