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秀逸(しゅういつ)の意味や使い方は?
秀逸とは、どのような意味を持ち、どのような使われ方をする言葉なのでしょうか? 適切な使い方をするために、間違いやすいポイントについても解説します。
他より優秀なさまを指す
秀逸は、「他のものよりも抜きん出て優れていること・様子」を意味する言葉です。
複数のものを比較する中で、他を圧倒して優秀だと認められる対象について用いられます。伝統的に、句や歌・書などにおいて、優れた作品を表するときに使われる言葉としても知られています。
秀逸の「秀」は、「他より優れている」「秀でている」という意味を持つ漢字です。秀逸の「逸」は兎が逃げることを表した漢字で、転じて「足が速い・優れている・抜きん出ている」という意味を持つようになったとされています。
つまり、ともに「他よりも優れている」ことを意味する漢字の組み合わせによってつくられた熟語が「秀逸」なのです。
秀逸の使い方
「他よりも抜きん出て優れている」ことを意味する秀逸は、具体的にはどのように使われる言葉なのでしょうか? 例文を用いて紹介します。
〈例文〉
・今年の応募作は総じてハイレベルだったが、その中でも彼の作品は秀逸だった。
→数ある作品の中で、抜きん出て優れていたことを表現する言い回しです。
・これは事件の全体像がよくわかる秀逸な記事だ。
→感銘を受けたものに対する称賛の表現として、「秀逸」が使われています。
・あの映画が秀逸であることに異論はないが、わたしの好みではない。
→他の映画作品と比較して、明らかに優れていることを表現するために「秀逸」が使用されています。
「秀逸」この使い方は間違い?
秀逸とは、明らかに優れているものに対して使う言葉です。文脈にもよるものの、評価の難しい人柄に対してや、比較が難しいものを並べて使うことは基本的にはありません。「彼の人柄は秀逸だ」「この学校は、教師の質よりも部活動の質の方が秀逸だ」といった表現は、見聞きする人に違和感を覚えさせる可能性があるため、避けた方が賢明です。
また、同じく間違いやすい言い回しに「ずば抜けて秀逸」「抜きん出て秀逸」などがあります。秀逸という言葉そのものに「ずば抜けて優れている」「抜きん出て優れている」という意味があるため、これらの言葉を重ねて使うのはくどい印象を与えてしまいます。
秀逸の類義語
秀逸を他の言葉で表現しようと思ったら、どのような言葉が適しているのでしょうか。秀逸と似た意味をもつ言葉を紹介します。
秀抜(しゅうばつ)
秀抜も、秀逸と同じく「他よりも抜きん出て優れていること」「際だって優秀なさま」を意味する言葉です。秀逸と同様に、明らかに飛び抜けて優れているものを表現する場面で使います。
〈例文〉
・今回の展示の中では、このデザインが秀抜だ。
・思いがけず秀抜な意見が出たことにより、会議は短時間で終了した。
・誰もが秀抜だと認められる作品でなければ、この賞を贈るに値しないだろう。
卓越(たくえつ)
卓越は、「他のものよりもはるかに抜きん出ている」「群を抜いて優れている」といった意味を持つ言葉です。「秀逸」や「秀抜」と近い意味があります。
〈例文〉
・その卓越したパフォーマンスは、会場にいる人すべてを圧倒した。
・彼女の卓越した頭脳をもってすれば、その程度の問題は簡単すぎるだろう。
・せっかく学ぶのであれば、誰もが認める卓越した能力を身につけたいものだ。
秀逸の対義語
秀逸と対照的な意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。秀逸の主な対義語を紹介します。
遜色(そんしょく)
遜色は、「他と比べて見劣りすること」を表します。他よりも優れていることを意味する「秀逸」とは、反対の意味を持つ言葉です。見劣りしないことを意味する「遜色ない」という言い回しで利用されるケースが多いです。
〈例文〉
・一時はどうなることかと思ったが、他チームと比べても遜色ない出来栄えだ。
・見た目も味も、本場の日本料理と比べて遜色ありません。
・ライバル社の提案は素晴らしいと聞いたが、弊社の提案だって遜色ないはずだ。
劣等(れっとう)
劣等とは「他よりも程度が低いこと」「劣っている」ことを意味する言葉です。「劣等感」「劣等生」のように、他の語と組み合わせて使われることが多くあります。
〈例文〉
・劣等感を抱えた彼は、いつもうつむいて過ごしている。
・当時は劣等生で随分と心配させられたものだが、いつの間にか立派な大人になっていて感無量だ。
・人間からすると劣等生物と捉えられがちだが、大切な命であることに変わりはない。
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