「箝口令」読み方と意味
「箝口令」という言葉を見て、すぐに読み方と意味がわかる人は意外に少ないかもしれません。また、同じ読み方の「緘口令」との違いを知る人も多くないでしょう。
「箝口令」は、日常会話などであまり使われませんが、重要な意味を持ちます。正しい意味や適切な使い方を把握するためにも、本記事をお役立てください。
辞書で調べてみました
【箝口令】
読み方:かんこうれい
ある事柄に関する発言を禁じること。「—を敷く」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「箝口令」とは、話の内容や、生じた事柄に関する情報を口外しないよう命ずることという意味を持ちます。「箝口令」により、言葉や行動に制限がかかることが多いでしょう。発言の自粛だけでなく、情報を非公開にすることも「箝口令」の一つ。「箝口令」により、特定の情報が外部に漏れるのを防ぐようにします。
「箝口令」言葉の使い方
「箝口令」という言葉の使い方を見ていきましょう。例文とあわせてチェックしてくださいね。
よく使う言い回し
「箝口令」は、立場が上の人間から下の人間に指示をするということがほとんどです。ビジネスシーンで言えば、上層部から社員に対して「外部に情報を漏らしてはいけない」という命が下ると考えてください。
基本的には、「箝口令を敷く」というように使います。「敷く」は「しく」と読み、「隅々まで行き渡らせる」という意味。ある事柄について発言をしないよう、隅々まで命じるということを表します。
例文
ここからは例文を紹介します。参考にしてください。
《例文》
・春の人事異動について内示があったが、箝口令が敷かれたため誰にも話していない
・新規プロジェクトの情報には、箝口令が敷かれているようだ
・新製品の情報については箝口令が敷かれており、一部の人しか知らない
・事件について一切報道されなくなったのを見ると、箝口令が敷かれているのかもしれない
「箝口令」が敷かれた状態を終わらせることを表すのが、「箝口令を解く」。この表現も把握しておけるといいですね。
「緘口令」とは違う?
「箝口令」と同じ読み方をする言葉に、「緘口令」があります。「緘」には「手紙や書類に書く文字」という意味があるため、「新聞などに書かない」という意味で使われることがありますが、「箝口令」と同義。どちらを使っても問題ないでしょう。一般的に知られているのは「箝口令」なので、こちらを使う方が無難かもしれませんね。
「箝口令」と似た言葉
ここからは、「箝口令」に似た言葉を紹介します。それぞれの意味をチェックしてください。
「言論統制」
「言論統制」は、国や公共団体などが、書籍・新聞・雑誌・映画・放送や信書などの表現内容を、強制的に調べて、言論や表現を制限すること。「げんろんとうせい」と読みます。
具体的には、政治的権力などを批判するような思想や、考え方を表現している書籍・映像などの公開を禁じたり、検閲をしたりすることを指します。
例文:言論統制をしただけでは、解決にならない
「言論封殺」
「言論封殺」は、世間に知られたら困る都合の悪い話や議論、主張などが広まらないよう、権威をふりかざすなどして発言や発信を妨げ、黙らせること。読み方は「げんろんふうさつ」。権力者によって行なわれることがほとんどだと考えてください。
例文:反対派の意見を言論封殺するのは危険だ
「他言無用」
「他言無用」は、話や事柄について、他者に言い漏らしてはならないという意味の言い回し。「他の人には言わないでください」「部外者には話さないでください」ということを表す際に用いられています。読み方は、「たごんむよう」もしくは「たげんむよう」。
例文:この件の詳細については、他言無用でお願いします
「口止め」
「口止め」は、口外を禁じることを表します。「箝口令」と同義と考えていいでしょう。口外を禁じるために与える金品のことを「口止め料」と言います。「反論を封じること、納得させること」という意味も持つ言葉です。
例文:彼には口止めしたが、情報が漏れるのは時間の問題かもしれない
「社外秘」「部外秘」
社外の人にその情報を漏らさず、秘密にすることを指すのが「社外秘」です。所属部署以外の人に漏らさないようにするのが「部外秘」で、どちらもビジネスシーンでよく使われます。書類やデータなどに「社外秘」「部外秘」と明記している場合は、情報公開に制限があると考えてください。
例文:新製品の仕様については社外秘としますので、心得ておいてください
プロモーションの詳細は部外秘で進めて行きます
「オフレコ」
「オフレコ」は、記者会見などで、記録や公表をしないことを条件にすることや、そうした条件でする発言を表します。「off the record(非公式の)」を略した言葉。記録外という意味もあります。
例文:春の人事に関する情報を知ってしまったが、オフレコを念押しされた
「箝口令」と反対の意味を持つ言葉
「箝口令」とは、反対の意味を持つ言葉も見ていきましょう。
「オンレコ」
「オフレコ」の対義語です。「off the record(公式の)」の略語で、公表して差し支えないことを意味します。記者会見などで用いられることが多いでしょう。
例文:その情報はオンレコなので、話しても大丈夫です
「口外」
「口外」は、口に出して言うことを表す言葉。秘密などを第三者に話すことも意味します。読み方は「こうがい」。「口外する」のように使われることが多いでしょう。
例文:その件については部長から口外してよいと言われている
「公開」
「公開」は、公衆に開放することや、特定の人に限定せず、広く一般の人々に入場・観覧・使用などを許すことを表す言葉。「情報を公開する」「秘密を公開する」のように使います。
例文:情報を公開するにあたり、注意事項を説明します
「開示」
「開示」は、はっきりと示すことや、説き明かし示すことを表します。「情報を開示」「詳細を開示」のように使うことが多いでしょう。
例文:納得いかないことがあったので、情報の開示を求めた
最後に
「箝口令」についてまとめました。日常会話ではあまり使わない言葉かもしれませんが、重要な意味を持つため、正しい意味や使い方を把握しておくといいですね。「緘口令」とは同義ですが、より知られているのは「箝口令」の方と言えるでしょう。
ビジネスシーンにおいて「箝口令」が敷かれることは少なくありません。情報の取り扱いに十分注意し、指示を遵守してください。
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