夕方とは何時から何時まで?
こちらの意図を相手に伝えるには、使用する言葉の定義を正しく理解し、シーンに合わせて的確に使い分けることが求められます。相手に時間を伝えるために知っておきたい、夕方の定義について解説します。
辞書上では「日が沈む頃」
辞書に記載されている夕方という言葉の意味は「太陽が沈む頃」「日暮れの時間」とされ、具体的な時間が定義されていません。
ゆう‐がた〔ゆふ‐〕【夕方】
《「ゆうかた」とも》日の暮れがた。日の沈むころ。
[補説]気象庁の天気予報等では、15時頃から18時頃までをさす。
引用:小学館 デジタル大辞泉
ただし、辞書が定める夕方の時間帯は、季節によって変動すると考えられます。辞書が夕方と定義する「太陽が沈む頃」、すなわち日の入りの時間は、時期によって異なるからです。
たとえば、国立天文台がまとめた「日の入り」を見ると、2023年の東京都における日の入りの時間は、最も早くて16時28分(11~12月頃)、最も遅くて19時1分(6~7月頃)です。
辞書による夕方の定義をそのまま当てはめるのであれば、夕方の時間は季節によって約2時間30分も前後することになります。
出典:東京(東京都)のこよみ 令和 5年(2023) – 国立天文台暦計算室
気象庁の定義では「15~18時」
気象庁では、時間を表すさまざまな言葉について、具体的な時間帯を定義しています。気象庁が定める夕方の時間帯は15~18時です。季節によって変動することはありません。
気象庁が使う「時間帯を表す言葉」の定義は以下の通りです。
・未明:0~3時
・明け方:3~6時
・朝:6~9時
・昼前:9~12時
・昼過ぎ:12~15時
・夕方:15~18時
・夜のはじめ頃:18~21時
・夜遅く:21~24時
天気予報を見るときは、上記の時間帯の定義を参考にすると、雨が降り出したり、晴れ間が見え始めたりする時間帯が分かりやすいでしょう。
ビジネスシーンにおける夕方
気象庁が夕方の時間帯を具体的に定めているとはいえ、一般的に広まっているとはいえないでしょう。一般的な認識では、夕方が指し示す時間帯は曖昧なままといえます。
ビジネスシーンにおいても、夕方の定義ははっきりしていません。このような状態で安易に夕方という言葉をビジネスで使うと、相手の終業間近に連絡してしまったり、希望する時間までに資料を提出してもらえなかったりと、時間に関するトラブルが起きてしまう可能性も。
このようなトラブルを防ぐためには、相手に「夕方」と伝える代わりに、具体的な時間を指定するのが有効です。もしも相手から「夕方に」と告げられたのであれば、具体的な時間を確認するのが賢明といえます。
夕方の類義語は山ほどある!
夕方という言葉には類義語が数多く存在します。それぞれ字面や音の響きが異なるので、表現したいシチュエーションにぴったりの言葉を選んで使うのとよいでしょう。夕方の類義語を「夕」という漢字を使っているもの・いないものに分けて紹介します。
「夕」という漢字を使う類義語
「夕」という漢字を使った夕方の類義語として挙げられるのは「夕暮れ」「夕べ」「夕間暮れ」などです。どの言葉も夕方と同じ意味を持っています。
夕暮れは、日が沈みだして周囲が暗くなり始めた「状態」を表す言葉です。日が暮れだした「時間帯」を示す夕方とは、少しニュアンスが異なります。
夕べは、夕方とともに「催し物が開かれる夜」「昨日の夜」も意味する言葉です。昨夜という意味で
夕べという言葉を使うときは、平仮名で「ゆうべ」と表記される場合があります。
夕間暮れは夕方を示すとともに、「夕闇に紛れること」を表します。夕間暮れの「間暮れ」は、「目暗(まぐれ)」の当て字です。
「夕」という漢字を使わない類義語
「夕」という漢字が含まれていない夕方の類義語には「日暮れ」「晩方(ばんがた)」「黄昏」などが挙げられます。基本的な意味はいずれも夕方と同じです。
日暮れは「夕暮れ」と同じく、日が沈みだして周囲が暗くなりだした状態を表す言葉です。夕方を表すと同時に「太陽の中心が地平線より下の7度21分40秒に到達した時刻」も表します。これは、寛政10年に施行された寛政暦を元にした定義です。
晩方は「日が暮れだした時間帯」を表す点では夕方と共通していますが、夕方よりもやや遅い時間を表すとされています。
黄昏は、辺りが暗くなり、人の顔を見分けるのが難しくなる時間帯を表す言葉です。日暮れ頃を意味することから「ピークを過ぎて終わりに向かっている頃」を表します。
夕方の定義は業界や地域ごとに異なる
自治体や、時間と関わりの深いサービスを展開している業界では、各自で「何時頃を夕方とするか」を定めています。夕方が指し示す時間について、独自の定義を採用している業界や自治体を紹介します。
高速道路
NEXCO東日本・中日本・西日本、宮城県道路公社および本州四国連絡高速道路では、「ETC 平日朝夕割引」を実施しています。ETC平日朝夕割引とは、平日の指定された時間帯に高速道路を利用すると、利用回数に応じて30%もしくは50%が還元されるサービスです。
ETC平日朝夕割引で割引の対象となる時間帯は、朝6~9時の間と夕方17~20時の間です。
つまり、NEXCO東日本・中日本・西日本、宮城県道路公社および本州四国連絡高速道路では、夕方を17~20時と定義していることが分かります。
夕方のチャイム
自治体によっても夕方の定義は異なります。それを反映していると取れる指標の一つが、地域に住む子どもたちに帰宅を促す「夕方のチャイム」です。たとえば東京都であれば、下記の時間に夕方のチャイムが流れます。
・千代田区:17時
・北区:3~9月は18時、10~2月は16時30分
・杉並区:4~9月は18時、10~3月は17時
・江東区:4~9月は17時、10~3月は16時30分
同じ都道府県内でも区や市が異なれば、夕方を何時と設定するかは異なります。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
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