「人事考課」とは?読み方などの基礎知識を解説
「人事考課」の読み方は「じんじこうか」で、企業が定める評価基準にもとづいて、社員を査定することを指して使う言葉です。人事考課と似た言葉には「人事評価」があります。
はじめに、人事考課という言葉の意味や人事評価との違いはあるのかどうか、実施する目的、メリットとデメリットについて、それぞれチェックしていきましょう。
「人事考課」とは企業の評価基準で社員を査定する制度
【(じんじ‐こうか)人事考課】
従業員の業務成績や能力・態度を評価すること。勤務評定。能力考課。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
人事考課とは、企業が定める評価基準で社員の業務成績や能力、取り組みに対する態度などを総合的に評価することです。評価はおもに経営者や管理職、人事部がおこないます。人事考課の結果をもとに、賃金管理や能力開発、昇格・昇進、異動配置といった人事に関することを決めます。
また「人事考課制度」とは、適切かつスムーズに人事考課を実施するために定めた社内ルールを指す言葉です。
■人事評価との違いはある?
人事考課とよく比較される言葉に、「人事評価」があります。これらの言葉の意味に、大きな違いはありません。実際に、人事考課と人事評価について区別せずに使用している企業はよくあります。
一般的には、人事評価制度の概念の一部に人事考課制度が含まれると考えられているようです。また、社員のランク付けをおこなう人事評価制度のことを人事考課制度と指す場合もあります。
■人事考課を実施する目的
人事考課を実施する目的は、大きく分けると以下のとおりです。
・企業の方針や理念、評価基準を伝えるため
・社員評価の可視化のため
・適切な評価によって社員のモチベーションを高めるため
・能力に応じた適材適所の人事ができるようにするため
待遇の明確な根拠となる人事考課を実施し、能力や功績に応じて社員へ適切なインセンティブを付与することで、社員の統率や意識向上につなげられると考えられています。
■人事考課のメリットとデメリット
人事考課のメリットとデメリットについてもチェックしていきましょう。人事考課のおもなメリットは以下のとおりです。
〈メリット〉
・企業にとっても社員にとっても、一人ひとりの能力や課題をはっきりさせられる
・キャリア形成に役立てられる
・人事に対する根拠が可視化できる
・モチベーションやロイヤリティーの向上が見込める
一方で、人事考課のデメリットとして挙げられるのは以下のとおりです。
〈デメリット〉
・労力や時間といった運用コストがかかる
・人事考課をだれが実施するかによって評価が異なるなど、社員の不満につながる恐れがある
・社員の可能性を狭め、人材が画一化されてしまうケースがある
人事考課の実施方法とは?
人事考課を実際にどのように運用するのか、その実施方法についてもチェックしていきましょう。
人事考課制度を運用する際は、はじめに制度自体の策定からおこないます。このとき、評価制度や等級制度、報酬制度を連動させて、人事考課制度を導入します。
ちなみに、等級制度とは能力などを階層的に定めて社内での序列をはっきりさせる制度です。これら連動させる3つの制度は相互に作用する関係にあります。評価制度の策定をする際は等級制度や報酬制度も見直し、整合性のある制度づくりをしましょう。
それでは、人事考課制度を運用する手順と3つの評価基準、運用する際のポイントを解説します。
■人事考課制度を運用する手順
人事考課制度を運用する基本的な手順は、以下のとおりです。
1. 評価する基準や項目、方法を策定し、制度を導入する
↓
2.社員が達成すべき目標を各々と直属の上司とで決定し、業務を遂行する
↓
3.自己評価と上司など他者による評価を実施する
↓
4.評価をもとに考課者によるフィードバックをおこなう
このように、最終的にフィードバックを実施することで社員が達成できた点と不足点を理解できるようになります。今後新しい目標を立てる際に参考にできるうえに、社員のモチベーション維持にもつながるでしょう。
■人事考課における3つの評価基準
人事考課における3つの評価基準は、以下のとおりです。
<業績考課>
業績考課とは、評価期間における目標達成度・業績・成果に対する評価です。成果にたどり着くまでの過程も評価に含まれます。過程を正確に評価するためにも、最終目標(KGI)だけではなく中間目標(KPI)も策定しておきましょう。
<情意考課>
情意考課とは、日々の業務に対する取り組み方や姿勢に対する評価です。規律性・協調性・積極性・責任性といった観点から、上司や同僚などからの評価を含めて判断します。
<能力考課>
能力考課とは、社員の能力に対する評価のことです。評価の際は、保有能力と発揮能力、潜在能力の3つの要素からチェックしましょう。企業によっては、潜在能力を評価に含めないケースもあります。
■人事考課制度を運用する際のポイント
人事考課制度を運用する際のポイントは、以下のとおりです。
・考課者が陥りやすい人事評価エラーの存在を認識する
・評価者に対して事前に公平さなどの人事考課の心構えを伝えておく
・数値化可能な目標と数値化不可能な目標に分けて書く
・社員に経営戦略や部署の目標を伝え、本人が目標を立てるようにする
・定量的な情報を使い、客観的に人事考課をおこなう
人事考課とはどのようなものか理解しよう
人事考課のメリットとデメリット、運用する手順、3つの評価基準、運用する際のポイントなどをしっかりとチェックして、正しく理解できるようにしましょう。
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