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2023.02.03

「東風」←なんと読む?どんな意味? 例文、その他の難読漢字も解説

東の風と書く「東風」は、日本の気候にまつわる難読漢字のひとつです。さまざまな読み方がありますが、日本では「こち」と読むケースが多いです。この記事では、東風の意味や使い方をご紹介します。気候に関する他の難読漢字も解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

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難読漢字「東風」の読み方とは?意味も解説

「東風」は、以下のようにさまざまな読み方をもつ言葉です。

桜の木が風に吹かれて花びらが舞い上がる様子

・こち

・とうふう

・ひがしかぜ

・あゆ

・とんぷう

 

読み方によって意味やニュアンスが異なるため、文脈から読み方を判断しなければいけません。日本では春に吹く風の呼び方として東風を用いることが多く、その場合は「こち」と読みます。ここでは、東風(こち)の意味や他の読み方との違い、語源などをご紹介します。

■東風は“春に吹く風”のこと

まずは、東風(こち)の意味を辞書で調べてみましょう。

【東風:こち】
東の方から吹いてくる風。ひがしかぜ。《季 春》「―吹くや山一ぱいの雲の影/漱石」

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

東風は東から吹く風のことで、特に日本では春に吹く東寄りの風を指します。また、主に関東地方では苗字に用いられることもあります。「こち」と読む由来は諸説あり、昔の「小風(こち)」という表記に由来する説や、瀬戸内海の漁師言葉を語源とする説などさまざまです。

「とうふう・ひがしかぜ・あゆ」は、いずれも「こち」と似た意味をもちます。「とうふう」は東寄りの風を意味する中国語、「ひがしかぜ」は東から西向きに吹く風のことです。

「あゆ」は東の風を表し、別名「あゆのかぜ/あいのかぜ」とも呼ばれます。「とんぷう」は麻雀用語のひとつで、場風(ばかぜ)を表す際に用いられます。

東風の意味やさまざまな読み方とあわせて、東風の類義語も知っておきましょう。東風と同じく、ひとつの熟語に対して複数の読み方があります。

・西風:西から吹く風(読み方|にしかぜ、せいふう、ならい)

・南風:南から吹く風(読み方|はえ、はい、なんぷう、みなみかぜ)

・北風:北から吹く風(読み方|きたかぜ、きた、あなじ)

 

■菅原道真の有名な歌に由来する

東風(こち)の発祥とされるのは、菅原道真が詠んだ歌です。平安時代中頃の『拾遺和歌集』には、「東風吹かば」から始まる道真の歌が集録されています。東風はすでに「こち」と読まれており、春の訪れを告げる風という意味で使われました。

つまり、東風は単に「東から吹く風」を表しているわけではなく、本来は「春がやってきたことを知らせる風」というニュアンスをもちます。春の訪れという意味合いは現代にも伝わっており、春の代表的な食物や食材を「桜ごち」「鰆ごち」と表す地域もあります。

■【例文付き】東風の使い方

東風を使う主なシーンは、春に吹く風や東寄りの風を表すときや、季節について述べるときなどです。趣味で麻雀をする人は、「とんぷう」を使うこともあるでしょう。ここでは、東風の使い方を例文で見ていきます。

・東風が吹くと「春だなぁ」と実感する。

・東風は春の季語ですが、場合によっては夏の季語としても使えます。

・東風が吹いても馬の耳は何も感じないことから、人の意見を聞き流す人は「馬耳東風(ばじとうふう)」といわれる。

 

日本の気候にまつわる難読漢字4つ

日本の気候にまつわる難読漢字は、東風以外にも複数あります。なかには、パッと見ただけでは読み方がわからないものもあるでしょう。ここでは、日本の気候を表す難読漢字を4つご紹介します。

草原に吹く風

1.虎落笛
2.凩
3.乾風
4.雁渡し

1.虎落笛

虎落笛(もがりぶえ)とは、冬に吹く強風が竹垣や柵にあたった際、笛のようにひゅうひゅうと鳴る様子です。「虎落(もがり)」と「笛」を組み合わせた言葉で、虎落は竹で作った柵や竹垣を意味します。

虎落笛は冬の季語として俳句にも用いられます。日常会話では、「虎落笛が鳴りそうな天気ですね」といった使い方が一般的です。

【虎落笛:もがりぶえ】
冬の激しい風が竹垣や柵(さく)などに吹きつけて発する笛のような音。《季 冬》「一汁一菜垣根が奏づ―/草田男」

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

2.凩

凩(こがらし)は、晩秋から冬にかけて吹く冷たい風のことです。冷たくて強い風が吹いた際に、木の葉がしおれて枯れ木のようになる様子が由来とされています。

一般的には「木枯らし」と表記するケースが多く、凩は日本で作られた文字(=国字)です。凪(なぎ)や凧(たこ)に似ているため、混同しないように注意しましょう。

【凩:こがらし】
こがらし。秋の末から冬にかけて強く吹く冷たい風。
[参考]木を吹きからす風(几)の意を表す国字。また、「こがらし」は木枯らしの意。

(引用〈goo漢字辞典〉より)

3.乾風

乾風(からかぜ)とは、雨や雪などを伴わずに激しく吹く風のことです。特に関東地方で吹く寒風を指し、冬の季語としても使われます。

【乾風:からかぜ】
冬に雨・雪などを伴わないで強く吹く乾いた北風。多く、関東地方に吹く寒風をいう。からっかぜ。《季 冬》「雪は来で―きほふ空凄し/曽良」

(引用〈goo国語辞書〉より)

また、乾風には「あなじ」という読み方もあります。「あなじ」と読む場合の意味は、西日本で吹く北西風のことです。中国地方では、船の航行を妨げる強風をあなじと呼んでいたとされています。

【あなじ】
西日本で、船の航行を妨げる冬の北西風。あなぜ。《季 冬》

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

なお、乾風を「かんぷう」と呼んでも間違いではありません。ただし、乾風(かんぷう)は夏に吹く乾いた高温の風を指すため、「からかぜ」や「あなじ」とは意味が異なります。

4.雁渡し

雁渡し(かりわたし)とは、雁(がん)が渡ってくる秋ごろに吹く北風のことです。雁はカモ目カモ科に属する鳥類のことで、カモ以上ハクチョウ未満の大きさであるのが特徴です。

雁渡しは「雁」に「渡し」がくっついた言葉ですが、「がんわたし」と読むのは誤りのため注意しましょう。

【雁渡:かりわたし】
〘名〙 初秋に吹く北風。青北(あおぎた)。《季・秋》

(引用〈コトバンク〉より)

東風の意味やその他の難読漢字を覚えておこう

東風(こち)とは、春に吹く風を表す言葉です。「こち」以外にもさまざまな読み方があり、読み方によって細かなニュアンスが異なります。場面に応じて正しく使い分けられるように、それぞれの違いを理解しておきましょう。

また、日本の気候にまつわる難読漢字はほかにも存在します。意味や読み方を知っておくと教養が深まるのはもちろん、漢字を見ることで季節の移ろいを感じられるようになるでしょう。

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