「薄利多売」の意味や読み⽅は?
「薄利多売」の読み方は、「はくりたばい」です。わずかな儲けという意味の「薄利」と、文字通り、商品をたくさん販売するという意味の「多売」が合わさってできている「薄利多売」。商品ひとつあたりで得ることができる利益を少なくして大量に販売することで、全体としての利益を上げるという意味があります。
つまり、仕入れた商品をより安価で売りさばき、全体の収益を上げるということです。この「薄利多売」の戦略で収益を上げている企業は数多く存在します。その一例として挙げられるのが、100円ショップです。
最近では、驚くほどクオリティの高い商品なども豊富に販売している100円ショップ。よく利用しているという方も多いのではないでしょうか。100円ショップは一般的に、ほとんど利益を得ることができないほどの安い値段で、仕入れた商品を販売しているとされます。
また、ファーストフードや回転寿司のチェーン店などにも、この「薄利多売」の特徴が見られます。顧客に商品を安価で提供し、回転率を上げることで、結果として大きな利益を得ることができているのです。
商品ひとつあたりの利益は少なくても、大量に販売して売りさばくことで、結果として多くの利益を得ることができます。全国各地に拠点を置いている100円ショップやコスパの高い大手チェーン店などは、この企業戦略で成功を収めているということがわかりますね。
「薄利多売」のメリットは?
では「薄利多売」のメリットとして、どのようなものが挙げられるでしょうか?
1:売り上げを伸ばしやすい
利潤を少なくして、仕入れた商品を大量に売るのが「薄利多売」の最大の特徴です。利潤が少ないということは、原価とほぼ変わらない値段で商品を販売しているということ。顧客側からすれば、より安く商品を手に入れることができるというメリットがあるため、通常の値段で販売されている場合よりも購買意欲が増すといえるでしょう。
高い利益を得ようとして、高額な価格設定をした商品を販売しても、顧客が購入しなければ売り上げを伸ばすことはできません。一方で、ほとんど利益を得ることができないような値段で商品を販売した場合、「この値段なら買ってみよう」と思う顧客が多くなるため、結果として売り上げを伸ばすことにつながる可能性が高くなるのです。
また、売り上げが伸びるということは、取引実績が上がるということ。人気商品として売り出すことができるため、その分顧客の目に留まりやすくなると考えられます。
2:多くの顧客を獲得できる
欲しいものをより安く手に入れることができたときは、何だか得をしたような気分に。顧客の多くは、できるだけ出費を抑えて欲しいものを購入したいと思っているでしょう。そのため、より価格が低いということは、顧客の購買意欲を一層かきたてることにつながるのです。
また、高額な商品を購入する場合、自分が望んでいたものと違っていたりするなど、購入したことを後悔してしまうリスクを考えて躊躇してしまいがちですが、より安価な商品の場合は、仮に希望通りのものでなかったとしても、そこまで気落ちすることはないかもしれません。
先述の通り、「この値段なら買ってみよう」と思う顧客が多くなる上、クオリティの高い商品の場合は口コミなどで情報が広がり、ますます多くの顧客を集める可能性も高くなるといえます。
「薄利多売」のデメリットは?
いいこと尽くめに思える「薄利多売」ですが、もちろんデメリットも。ここでは、「薄利多売」のデメリットについて紹介します。
1:赤字になりやすい
利潤を少なくして商品を大量に販売するという商法の「薄利多売」。大量販売が功を奏し、売り上げを伸ばすことができれば問題ないですが、売り上げが伸び悩んだ場合にはすぐに赤字になってしまうというデメリットがあります。
「薄利多売」の場合は、一定の顧客数を獲得しなければ、収益を上げることが難しくなるのです。
2:顧客離れが起こりやすい
「薄利多売」は通常より低い価格を設定して商品を販売するため、多くの顧客を獲得することが期待できます。しかし、さまざまな事情で値上げしなければならなくなった場合、通常の値段で商品を販売する場合に比べて、顧客離れが起こりやすいのです。
その理由として挙げられるのが、値段が安いというだけで商品を購入していたという顧客が多いから。つまり、商品自体に魅力を感じているというよりも、単にほかのものに比べて安いから購入していたという顧客が少なからず存在しているということです。
そのため、価格を変更した途端、売り上げが下がってしまうという問題が発生してしまう恐れがあるのです。値段をアピールポイントとして商品を販売するということも大切ですが、商品自体に魅力を感じてもらえるような工夫をすることも必要であるといえるでしょう。
「薄利多売」の反対は?
販売する商品の数を少なめにして、その分商品ひとつあたりで得ることができる利益を多めに設定することが、「薄利多売」の反対といえます。ビジネスやマーケティングの世界では、「高利少売」「厚利少売」なんていう言い方がされているのを目にすることも。
「薄利多売」とは対照的に、より高い値段で商品を販売するため、顧客に商品を確実に売り込めば、多くの収益を上げることができるのです。高級ブランド店などでよく見られる商法といえるでしょう。
たとえば、1着数十万円のコートを販売した場合、設定価格が高額であるため、「薄利多売」に比べて大量に売りさばくということはできないかもしれません。しかし、顧客の何人かがこのコートを購入すれば、売れた商品の数は少なくても、確実に利益を得ることができるのです。
最後に
今回は、「薄利多売」の意味やメリット・デメリットについて紹介しました。買い物をする際などは、この「薄利多売」について思い返してみてください。