「教示する」の意味は〝教えること〟
「教示する」は、教えることを意味する言葉です。漢字の意味をそのまま汲めば、「教え示すこと」と言い換えられます。
■「ご教示」と表現することで敬語として使える
尊敬の意味のある接頭語「ご」をつけて「ご教示」と表現することで、敬語として使えます。
たとえば「教えてください」という意味で「ご教示ください」と表現できます。また、「教えてくださったことが」という意味なら「ご教示いただいたことが」のように表現できます。
■「ご教示」は話し言葉としても使える
「ご教示」は、ビジネスメールなどで書き言葉として使われることが多いですが、話し言葉としても使用できます。たとえば、上司や取引先に「教えてください」と言いたいとき、「ご教示ください」と言い換えるだけで少しかしこまったニュアンスで伝わるでしょう。
■「ご教示」と「ご教授」の違い
「ご教示」と「ご教授」は意味も響きも似ているため、混同しがちな言葉です。「ご教授」とは「教え授けること」の敬語表現で、「ご教示」と同じく、相手に何かを教えてほしいときに使えます。それぞれの意味を大辞泉で確認してみましょう。
きょう-じ【教示】
《「きょうし」とも》知識や方法などを教え示すこと。示教。「御教示を賜りたい」
きょう-じゅ【教授】
1 学問や技芸を教え授けること。「書道を教授する」
2 児童・生徒・学生に知識・技能を授け、その心意作用の発達を助けること。
3 大学や高等専門学校・旧制高等学校などで、研究・教育職階の最高位。また、その人。「大学教授」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
両者の違いをはっきりと示すのは難しいですが、たとえば「参加するかどうか教えてほしい」など、はい・いいえで答えられるような内容であれば基本的に「教示」が使われます。一方、教えてくれる方だけが有する専門知識について問うときは、「教授」がより適切といえそうです。
■「教示する」「ご教示」を使った例文をご紹介
「教示する」と「ご教示」を使った例文をご紹介します。使い方のニュアンスを感じ取ってください。
・教室でのパソコンの使用ルールを知らないようだったため、基本的なことを教示した。
・この部分が理解しかねます。お手間をおかけしますが、ご教示いただけないでしょうか。
・ご不明点などがございましたら、お早めにご教示いただけますと幸いです。
「教示する」の言い換えを例文でご紹介
「教示する」とは、教えるという意味の言葉です。
使い勝手のよい言葉ですが、多様な表現をするためにも言い換えできる言葉を覚えておいてはいかがでしょうか。主な言い換え表現としては、次の言葉が挙げられます。
・指南する
・指導する
・助言する
それぞれのニュアンスの違いや例文をご紹介します。
■指南する
「指南する」も、教えるという意味の言葉です。目上の方に教えてもらうときには、「ご指南ください」のように敬語表現にできます。
しかし、「指南する」は、もともと芸事や武道などを教えるときに使われることが一般的です。たとえば習い事の場面などで、次のように使えます。
・教えていただいたようにしているつもりですが、まだ手の振りに不安があります。恐れ入りますが、もう一度ご指南ください。
・大先生にご指南いただいた。やはり教え方も素晴らしく、一気に上達したような気がする。
■指導する
「指導する」も、教えるという意味の言葉です。書き言葉だけでなく話し言葉としても使う機会が多いため、「教示する」と同様、使い方を覚えておくと便利です。
ただし、「ご指導ください」などと言うとき、本当に相手からの指導を期待しているというよりは、「これからもよろしくお願いします」といった意味で使われていることもあります。そのため、「指導する」という言葉に対して社交辞令的なニュアンスを感じる方も少なくありません。
・先日はご指導いただき、本当にありがとうございました。
・今後とも、ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。
・ご指導いただいたことを胸に、今後も努力を続けてまいります。
■助言する
「助言する」とは、アドバイスをするという意味の言葉です。相手からアドバイスを受け取りたいときには、「ご助言をお願いします」のように使えます。ただし、「指導する」と同様、少し社交辞令的なニュアンスを含んで使われる場合もあるため、使い方に注意しましょう。
・ご助言いただけますと幸いです。
・ご助言いただき、感謝しております。
・今後もご助言をお願い申し上げます。
教示するは使いやすい言葉!普段から使おう
「教示する」は、日常生活で使いやすい言葉です。目上の方に話すときやビジネスシーンでも活躍します。使い方をマスターし、普段の会話に活かしてみてください。また、場面によって、教授や指南、指導、助言などと言い換えると、さらに表現力が高まります。
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