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LIFESTYLE インタビュー

2023.12.06

ロッチ・コカドケンタロウさん「結婚より楽しい趣味」で、おなかいっぱい【連載/こじらせ男のひとりごと#12】

イケてるのに「こじらせてる」大人男子の大人気連載。今回は、ミシンの腕前とセンスで話題を集めているロッチのコカドケンタロウさんが登場! この日の服とバッグもすべて自分でつくったもの。趣味と仕事、そして結婚の、独自のバランス学を明かします。

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趣味ばっかりになってお金なくなっても、楽しかったらそれでいいです

恋愛はそれなりにしてきたけれど、結婚となると、楽しい趣味と比べて優先順位がなかなか上がらないというコカドさん。45歳、趣味はミシン。結婚は「ご飯と同じ」。さて、その真相は?

語り/コカドケンタロウさん(ロッチ)

こじらせてると思ったことは
ないけれど…

え、僕がこじらせ男? そんなふうに思ったことはないけど…。ただ、将来の奥さんのために、「ウエディングドレスを手づくりしたい」って番組で話したら、女性たちにドン引きされました。結婚の予定はありません。というか、結婚よりもようやく出合えた最高に楽しい趣味に今は夢中です。満たされているから、気持ちが結婚には向きません。でも、ウエディンドレスはつくってみたい。こじらせてます…か?

おしゃれな壁の前で佇むコカドさん

その趣味が、ミシンです。バッグづくりから始めて、自分のシャツやパンツをつくって、最近女性もののスカートをつくるようになりました。

それまでの僕には趣味といえるものがなく、何かに熱中できる人をうらやましく思っていました。毎年ひとつずつ、「新しいことを始める」と決めたのが、今から5年前、40歳になったとき。ゴルフ、ギター、料理…、とやってはみたけれど、結局どれもそこまでハマらず。2022年1月1日は、「ミシンを始めます」。仕事と関係なく、誰に何を言われるとか関係なく、しかも家でひとりでできることをと考えて、ミシンか英会話の二択でした。で、ミシンを始めてみたら、触った瞬間からもう楽しくて楽しくて。ああ、これや。これやったんや、僕が探していたものは。そう思いましたね。

始めるときに、まず業務用のミシンを買いました。でもその時点では長続きするかわからなかったし、高い買い物だったから、まずは中古で。それでも5~6万円はしたかな。それで最初につくったのが、小さめのバッグ。正しいやり方もわからないし、出来上がりは汚かったけど、すごくうれしかった。どんどんハマって、翌月にはロックミシンも買いました。

そこからは、毎日ミシンに向かう生活です。やり方は、YouTubeを見てまねたり、本やテキストを参考にすることもあります。半年たって、自分のパンツをつくりながらポケットの付け方がわからなったとき、服屋の友達に教えてもらったりもしました。今着ているシャツやパンツは、型紙を買ってきて自分なりにアレンジしてつくったものです。

微笑むのコカドさん

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喜んでもらおうなんて、
こっちの押し付けです

単独ライブでは、抽選で20人くらいに手づくりのバッグをプレゼントしたんですが、そのときはコントづくりとバッグづくりでめっちゃ忙しかった。でも、仕事のことを考えなくていいなら、1日中ミシンに向かっていたいです。朝から始めて、食事をするのも忘れて、気がつけば夕方になっていたなんてことは、よくあります。完成に近づくのがうれしくて、ついやめられなくなってしまうんです。この感覚こそ、僕が求めてたもの。そう、熱中というやつです。

つくったもののほとんどは、人にあげてしまいます。「つくること」が楽しいから、自分の手元に残らなくても、いいんです。あげたからといって、もらった人が使わなくてもいいし、ほかのだれかにあげても構わない。喜んでもらおう、使ってもらおうなんて、こっちの押し付けですからね。

歩いているコカドさん

「どうして結婚しないの?」は
「どうしてご飯食べないの?」と同じ

「ウエディングドレスをつくりたい」のは、結婚したいというわけではなく、ミシンを続けていくうえでの目標だから。たぶん、めっちゃ難しいんだろうな。生地の量もものすごいいるだろうし、場所も必要になる。日暮里で生地探しをするのは楽しい時間で、ときどきチラっとドレス生地に目をやったりするけど、やっぱりまだまだ。今年の誕生日に我が家の坪倉から女性用のトルソーをもらったので、女性もののスカートやワンピースをつくり始めたところです。

そもそも、結婚を人生の優先事項として考えるタイプではありません。「どうして結婚しないの?」と聞かれることもあるけど、僕にしてみたら、「なんでご飯食べないの?」と聞かれるのと同じで、答えは「おなかがすいてないから」。おなかがすいてて、自分で欲したらご飯を食べるし結婚するけど、ほかのもので今はおなかいっぱいだから、ご飯はいらない。結婚も必要ない。それだけのこと。僕にとってミシンは、おいしくて栄養も与えてくれる最高のおかず。それでおなかいっぱいだから、今はご飯はいりません。

生地をチェックするコカドさん

趣味ばかりでお金がなくなっても
楽しかったらそれでいい

僕も相方の中岡くんも、仕事に対してきっちり目標をつくって、がんがん進むタイプではありません。目標を立てても、それが叶わなかったらマイナスの感情になって、せっかくの楽しい仕事が楽しくなくなりそうで。それより、仕事につながるとは思ってもいなかった趣味のことを笑ってもらえたり、番組のトークのきっかけになったり、予想できなかった展開が、うれしいんです。

理想とするのは、趣味の延長が仕事で、さらにその延長がまた趣味で…って、ぐるぐる回っている状態。10年前に甲本ヒロトさんが言っていたことなんですけど、今やっとその意味がわかってきました。どれが仕事でどれが趣味かわからへん状態を、続けていけたら最高です。その結果、趣味ばっかりになってお金がなくなっても、楽しかったらそれでいいんです。

そんな僕なので、悩みもないんですが、最近ひとつだけ…。どうやら老眼が進んできたみたいで。老眼を機にミシンから離れてしまう人もいると聞くし、やっぱり細かい作業は目がつらい。そろそろ老眼鏡、必要かなぁ。(おわり)

芸人

コカド ケンタロウ

コカド ケンタロウ/1978年生まれ、大阪府出身。お笑いコンビ・ロッチのネタ作り担当。相方は中岡創一。現在のレギュラーは、Eテレ『ロッチと子羊』木曜日20:00~、Eテレ2355『BAR仮設』、0655『仮設小学生』、フジテレビ『世界のなんだコレ!?ミステリー』水曜日19:00~。NHKラジオ第一『さくらひなたロッチの伸びしろラジオ』。
インスタ:@kokado_kentaro
YouTube:「ロッチナイト

 


撮影/高木亜麗
取材・文/南 ゆかり

連載:こじらせ男のひとりごと

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