付き添い人の交通費
通院に家族などが付き添うケースもありますが、このときかかった交通費は、付き添いの必然性によって控除の対象となるかが決まります。たとえば、患者が幼い子どもや高齢の親など1人で行くのが困難なときには、付き添い人の交通費も含めて構いません。しかし、1人でも行けるのに付き添った場合などは対象にならないため、注意しましょう。
対象にならないものは?
通院にかかる交通費の中には、医療費控除の対象にならないものもあります。対象外となる交通費には、どんなものがあるのでしょうか?
自家用車のガソリン代、駐車料金
自家用車を使って通院する人も、数多くいます。当然ながらガソリン代や駐車料金などが交通費としてかかりますが、これらは対象になりません。国税庁のサイトには、ガソリン代等について、以下の記載があります。
医療費控除の対象となる通院費は、医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要とされており(所得税基本通達73-3)、この場合の通院費は、電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。
ここで注目するポイントは「人的役務の提供の対価」という文言です。これは、誰かに何らかのサービスを受けたとき、その対価として代金を支払うことを意味します。電車やバスの料金はこれにあたりますが、自家用車のガソリン代や駐車場代は、他者から受けたサービスに対して支払うものではありません。このような理由から、ガソリン代は対象外になるのです。
自己都合の新幹線、飛行機代
場合によっては、新幹線や飛行機を使って、遠方の医療機関へ通院する人もいます。このときにかかってくる費用は、その医療機関でなければならない理由があるときに限り、控除の対象にすることが可能です。たとえば、自宅の近くでも同様の治療ができるのに、自己都合でその医療機関を選んでいるのであれば、その分の費用は対象になりません。その医療機関でしか治療ができないときや、かかりつけ医の紹介によって医療機関が決まったケースなどが対象です。
医療費控除の確定申告のやり方
医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。確定申告は、基本的に毎年2月16日~3月15日の間に、前年分の申告を行います。土日などの並びによって、申告期間の日付は少し前後することもあるため、注意しましょう。なお、医療費控除は過去5年までさかのぼって申告できます。過去に申告を忘れていた場合には、さかのぼって申告することで税金が戻ってくるかもしれません。
必要な書類を準備する
まずは、申告に必要な書類を準備しましょう。医療費控除の確定申告には、「確定申告書」と「医療費控除の明細書」が必要です。これらはどちらも税務署の窓口や国税庁のホームページで入手できます。領収書の添付は必要ありませんが、申告に必要な明細書を作るために必要です。また、勤め先の健康保険組合から医療費通知が届いている場合は、その書類も用意しておきましょう。
医療費控除の明細書の書き方は?
確定申告書と合わせて提出する医療費控除の明細書は、「1.医療費通知に関する事項」と「2.医療費(1以外)の明細」の2項目の記載箇所があります。まずは、医療費通知を元に、自己負担額などを記入しましょう。
次に、医療費通知に記載のない費用について記入していきます。医療費通知には、年の途中までの受診記録しか記載されていないことが多いため、領収書と照らし合わせて記入漏れがないようにしましょう。利用した人ごと・医療機関ごとに、年間の合計金額を記入すればOKです。明細の「医療費の区分」欄では、交通費は「その他医療費」にチェックを入れます。最後に医療費を合計し、明細書に記載されている計算式に従って項目を埋めていけば完成です。
医療費集計フォームを活用しよう
年間の領収書の件数が非常に多い場合、明細書の記入に手間がかかります。そんなときは、国税庁から提供されている「医療費集計フォーム」を活用すると便利です。エクセルで簡単に入力できるフォーマットで、ファイルは国税庁の確定申告書等作成コーナーページからダウンロードできます。あらかじめ自分のパソコンに保存しておき、日ごろから医療機関にかかるたびに入力しておきましょう。1年分のデータの入力が完了したら、確定申告書作成コーナーの医療費控除の画面でファイルを読み込むことで、医療費控除の数値が反映されます。
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