こどもの日の由来や意味
5月5日は「こどもの日」です。1948年に制定された「国民の祝日」で、現在はゴールデンウィークの最終日にあたります。こどもの日には本来、どんな意味や由来があるのでしょうか?
こどもと母親を大切にする日
国民の祝日に関する法律によると、こどもの日は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日と定義されています。5月5日というと男の子のお祝いのイメージが強いですが、こどもの日は性別に関係なく「すべての子ども」が対象。
この日は、動物園・水族館・公園などの一部の施設が無料になったり、全国各地でさまざまなこどもの日のイベントが開催されます。こどもの日が5月5日に制定されているのは日本と韓国のみで、トルコでは4月23日、中国は6月1日、ブラジルは10月12日と、国によって月日が変わります。
「端午の節句」と同じ日
5月5日は「端午の節句(たんごのせっく)」でもあります。端午の節句は、男の子の健やかな成長を祈るとともに、一族の繁栄を願う日とされていますが、奈良・平安時代はしょうぶ湯(菖蒲湯)に入ったり軒先にヨモギを吊るしたりと、「災厄」を避けるための行事が行われていました。
端午の節句が男児の行事となったのは江戸時代ごろから。武道・武勇を重んじることを「尚武(しょうぶ)」といい、武家の間では「菖蒲」と「尚武」を掛けてこの日を重んじるようになったといわれています。こどもの日をいつにするかについて、当初は桃の節句の3月3日という案も浮上しましたが、気候的に寒い地域があることなどが考慮され、端午の節句と同日の5月5日に制定されました。
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こどもの日の風習
こどもの日はすべての子どものための祝日ですが、男児の成長を願う「端午の節句」の習わしが色濃く反映されています。こどもの日の代表的な風習をチェックしていきましょう。
鯉のぼりをあげる
こどもの日は各家庭の庭先に「鯉のぼり」をあげる習慣があります。鯉のぼりは主に3種類で、1番大きな黒い鯉は「真鯉(まごい)」、2番目に大きな赤い鯉は「緋鯉(ひごい)」、小さな青い鯉は「子鯉(こごい)」と呼ばれます。
素材には、風にたなびきやすい紙・布・不織布などを使用し、竿の1番上には矢車や吹流しを付けるのが一般的。鯉のぼりは中国の故事「登竜門」が由来で、流れに逆らって川を上る鯉は、難関を突破して成功に至る「立身出世」の象徴とされています。一説では「この家の子どもをお守りください」と、神に守護を願う目印ともいわれています。
兜や五月人形を飾る
こどもの日には「兜」や「五月人形」を飾る家庭もあります。兜や鎧を飾るのは、江戸時代の武家社会から生まれた風習。かつての武将は戦いの神社にこれらを奉納し、身の安全を祈願しました。これが転じて、現在は事故や病気から子どもを守るという意味が込められています。
鎧や兜を身に着けた「五月人形」は、強くたくましく成長する男児の象徴で、金太郎や戦国武将など、さまざまなモチーフがあります。子どもの身代わりとなって災いを引き受ける「身代わり人形」としての意味もあり、他人の五月人形を譲り受けたり、兄弟で兼用したりしないのが通常です。
柏餅を食べる
子どもの日には「柏餅」を食べるのが習わしです。「柏の葉」には、新芽が出ないと古い葉が落ちないという特徴があります。「子どもが生まれるまで親は死なない」という意味になり、転じて「子孫繁栄」や「家系が途絶えないこと」の象徴となりました。また、古くから柏の葉は神聖なものと見なされ、神事においては「お供え物をのせる器」として用いられてきた歴史もあります。
端午の節句に柏餅を食べる習慣が一般化したのは、江戸時代中期ごろから。参勤交代の大名が江戸から地方へと柏餅を広めていったことが影響しているといわれています。柏餅にはもち米ではなく、うるち米を加工した「上新粉」を使用するのが特徴。中にあんこを入れ、柏の葉で包みます。
しょうぶ湯に入る
昔は、端午の節句にしょうぶの葉や根を入れて沸かした「しょうぶ湯」に入るのが習慣でした。「しょうぶ(菖蒲)」は水辺に生える植物。剣のような鋭い形をし、強い芳香を放つことから「端午の邪気を払う厄除けの植物」として重宝されてきた歴史があります。
平安時代の宮中では、端午の節句になると、軒にしょうぶを挿して邪気払いを行っていたそう。「しょうぶ湯」もそのひとつで、しょうぶの葉を入れたお湯に浸かると、災いや厄が遠ざかると考えられていました。しょうぶ湯が庶民の間に広まったのは、銭湯文化が花開いた江戸時代ごろといわれています。
こどもの日におすすめの食べ物
子どもの健やかな成長を祝い、5月5日は特別な献立を用意する家庭も多いのではないでしょうか。こどもの日にふさわしい縁起のよい食材と、料理のアイデアを紹介します。
ブリやカツオ
こどもの日に縁起のよい食材といえば、「ブリ・スズキ・ボラ」などの魚類です。これらは成長するにつれて名前が変わる「出世魚」で、子どもの成長と出世を願うこどもの日の献立にはぴったりな食材。
「スズキ」は5月に旬を迎えるため、フライやホイル焼き、塩焼きなど、さまざまな調理法で味わいましょう。また、「勝男」にちなんだ「カツオ」も、こどもの日に食べたい食材のひとつ。たたきや刺し身、レアステーキなどにして食べるのがおすすめです。
タケノコやヨモギ
「真っすぐ、すくすくと育つように」という願いが込められた「タケノコ」も、こどもの日にぴったりの食材です。タケノコはアクが強いので、調理前にしっかりとアク抜きをしましょう。春先に旬を迎えるワカメを使って「若竹汁」や「若竹煮」を作ってみてはいかがでしょうか。
また、邪気を払うとされる「ヨモギ」を使った料理もおすすめ。ヨモギは砂糖やあんことの相性がよく、「ヨモギだんご」にするとおいしくいただけます。
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こどもの日におすすめのゲーム
こどもの日は、ゴールデンウィークの最終日です。外で思う存分遊んだ後は、家族や友人と家でまったり過ごしては。こどもの日にぴったりの、日本の伝統的なゲームを紹介します。
坊主めくり・かるた
「坊主めくり」は、百人一首の絵札を用いたゲームで、ひらがなが読めない小さな子どもでも楽しく遊べます。シャッフルした絵札を裏向きにして積み、参加者が順番に札を取っていきます。「殿」を引いたらそのまま自分の手札にし、「坊主」を引いたら手持ちの札を全部捨て、「姫」を引いた人は捨てられた札をすべてもらうというルール。山札がなくなったときに、最も多くの札を持っていた人が勝ちです。
「かるた」は正月遊びの定番ですが、人が集まればいつでもどこでも行えます。知育効果が高く、ひらがなを勉強する機会としても役立ちます。
すごろく
「すごろく」は室内遊びの定番です。サイコロを振って目が出た数だけコマを進み、ゴールに早く着いた人が勝ちです。ルールは単純ですが、子どもにとっては数を覚えるためのよい練習に。また、3人以上ですごろくをすると、必ずさいころを振る「順番」が回ってきます。「時計回り」や「反時計回り」など、頭を使いながら新しい言葉を覚えるよいチャンスにも。
日本地図を模したすごろくや、お金の概念が学べる「おかいものすごろく」、年間行事が理解できる「行事すごろく」など、近年はすごろくのバリエーションが増えています。遊ぶメンバーの年齢に合わせたもので楽しく盛り上がってみてはいかがでしょうか。
写真/(C)Shutterstock.com
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