人間性の意味を解釈しよう
人間性とは「人間らしさ」や「人間が持つ本性」のこと。「人柄」や「人徳」なども似た意味を持っていますが、どこが違うのでしょうか。人間性の正しい意味や、似た言葉との違いを見ていきましょう。
人柄との違いは?
人間性と似た言葉に「人柄」があります。同じような意味で用いられますが、厳密には異なる意味を持つ言葉です。人間性は「人間らしさ」を意味していて、人間が生まれたときから持つ「本質」を指します。他人の主観で変わることがないため、良し悪しなどの評価を付けられるものではありません。一方、「人柄」はその人に備わっている性質や品質を指す言葉で、他人の主観や一時的に良し悪しの評価を付けられることがあります。しかし、上辺を取り繕うことで「理想の自分」や「見せたい自分」を演じることも可能といえます。
【人間性:にんげんせい】
人間特有の本性。人間として生まれつきそなえている性質。人間らしさ。
「―にもとる行為」「―を疑う」【人柄:ひとがら】
1. その人に備わっている性質や品格。
「―がいい」「りっぱな―」
2. 性質がよいこと。品格がすぐれていること。また、そのさま。
人間性の類語
人間性と似た言葉には、他にも「人徳」「人格」「人望」などがあります。これらはその人自身の品性や道徳心の高さを指していますが、どれも人間しか持ち合わせていないものです。
【人徳:じんとく】
その人の身についている徳。にんとく。
「―のある人」「―を慕う」【人格:じんかく】
[1]
1. 独立した個人としてのその人の人間性。その人固有の、人間としてのありかた。
「相手の―を尊重する」「―を疑われるような行為」
2. すぐれた人間性。また、人間性がすぐれていること。
「能力・―ともに備わった人物」
[2]
心理学で、個人に独自の行動傾向をあらわす統一的全体。性格とほぼ同義だが、知能的面を含んだ広義の概念。パーソナリティー。
「―形成」「二重―」
[3]
倫理学で、自律的行為の主体として、自由意志を持った個人。
[4]
法律上の行為をなす主体。権利を有し、義務を負う資格のある者。権利能力。【人望:じんぼう】
信頼できる人物として、人々から慕い仰がれること。
「―を集める」「―を失う」
反対に人間らしい温かさが感じられない「非道」や「不道徳」な人は、一般的に人間性が高いとはされないものといえます。感情に乏しい人のことを「動物的」や「機械的」と例えることがあります。人間は本能をコントロールやセーブすることが可能ですが、多くの動物は本能のままに生きています。人間は喜怒哀楽を表現できますが、機械は感情を表現することができません。
【非道:ひどう】
1. 人としてのあり方や生き方にはずれていること。また、そのさま。
「―な仕打ち」「極悪―」
2. 専門外のこと。【不道徳:ふどうとく】
道徳に反していること。また、そのさま。
「―な行為」
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人から好かれる3つのタイプ
人間性の意味についてわかったところで、具体的にどのような人が「人間性が高い」と称されることが多いのでしょうか?心理カウンセラーの吉野麻衣子さんに教えていただきました。
包容力があり、様々な立場から物事を見られる
自分以外の人の立場に立って考えられる視野の広い人を、「人間性が高い」と感じる人は多いのではないでしょうか。
「自分と違う考えであってもしっかり受け止め、かつ相手の立場から物事がどう見えているかを理解することができる人。相手としては安心して自己開示ができるようになり、より人間関係が良好となります」(吉野さん)
人それぞれ考え方は違いますが、例えば話し合いの場で自分と異なる意見にも耳を傾けられる人は、尊敬できると思う人は多いのでは。
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イライラしているところを見せない
どんな人でも余裕がなくなったりイライラしてしまう瞬間はありますよね。でも、それをあまり外に出さない人は、例えば部下や同僚も話しかけやすく、接しやすいと感じるのではないでしょうか。
「自分がどんなに忙しくてもそれを見せずに、ゆとりを持った行動や接し方、見せ方ができると人には安心して何でも相談ができます。その結果コミュニケーションだけでなく、人間関係の構築もスムーズになるでしょう」(吉野さん)
相手と同じ目線で説明ができる
吉野さんによると、「相手にとってわかりやすい説明ができる人」は、「人の気持ちが理解できる」ということでもあり、信頼されやすいと言います。
「相手が理解しやすい説明ができるのは、相手と同じ目線に立ち、相手の思考回路や考え方の癖、前提条件を理解しているから。相手の思考レベルに合わせた上手な話し方ができる人は、話がわかりやすく意志疎通もスムーズになり、信頼を勝ち得ることができるでしょう」(吉野さん)
例えば、同じ職場でも上司と部下、もしくは担当が違っていたりすると、各々理解していることは違ってきますよね。そんなときに相手の目線になって話してくれると、説明がわかりやすく頼りがいがあると感じる人は多いはず。
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こんな行動は人間性が疑われるかも?
それでは、反対に人間性を疑われてしまうような行動には、どんなものがあるのでしょうか。
気が短く、すぐイライラする
「ちょっとしたことですぐいっぱいいっぱいになり、ぶつぶつ文句を言ったり、八つ当たりをしたり、怒鳴ったり、すぐ苛立ちを人に見せたり…。そんなキャパシティのなさを見せてしまうと、人間性を疑われてしまうかもしれません」(吉野さん)
誰しもイライラしてしまう瞬間はあるとはいえ、それを理不尽に他の人にぶつけてしまうと、周りの人は近づきづらいと感じてしまいますよね。特に自分より立場が上の人にこのような態度をされると、萎縮してしまう人も多いはず。