「ご留意願います」
メールや手紙など、書き言葉としてよく使用される「ご留意願います」。「願います」は「願う」の丁寧語で敬語表現になるため、上司や取引先に対して使う人も少なくありません。ただし、「いただく」より雑な印象を与えることもあるので、立場が上の人に使用するのは避けたほうが無難でしょう。
例文
・〇〇には十分ご留意願います。
・今まで以上に〇〇の取り扱いにはご留意願います。
「ご〜願います」という形なので丁寧な表現に見えますが、少し冷たい印象を相手に与えることもあります。この場合は、「ご留意お願いいたします」「ご留意のほど、よろしくお願いいたします」に変えて表現をやわらかくしましょう。
【目次】 [hide]
「ご留意ください」と言われたときの返信
「ご留意ください」と言われたときは、何に対して「ご留意してください」と言われたのかが返信のポイントです。まず、前の文章に注目してみましょう。
「締め切り日にご留意ください」などの注意喚起や心に留めておいてほしいことを伝える内容であれば「承諾」を、「お体にご留意ください」など気づかいの言葉をかけられたときは、「感謝」の言葉を伝えるのが良いでしょう。
例文
・「○○の件、承知しました」
・「お気づかいいただきありがとうございます。〇〇様もどうぞお気をつけください」
「ご留意ください」の言い換え表現
「ご留意ください」の代わりに使える言い換え表現を紹介します。ニュアンスが少し異なる表現もあるので、それぞれの本質的な意味をしっかり理解して使いましょう。

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「ご自愛ください」
「ご自愛ください」は、「体には十分に注意してください」という意味です。ビジネスだけでなくプライベートにも使える表現で、相手への気づかいや愛情を伝えることができます。
例文
・どうぞご自愛ください。
・くれぐれもご自愛ください。
・ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
こちらは上司や社長など目上の人にも使用できるところが、「ご留意ください」と違う点です。
「ご配慮ください」
相手に配慮や心づかいを要望する「ご配慮ください」には、「気を配るようお願いします」という意味があります。「ご留意ください」との違いは〝気配り〟。つまり、気持ちの面での配慮を依頼していることです。
例文
・〇〇にご配慮ください。
・くれぐれも体調管理にはご配慮くださいませ。
・ご配慮いただきたく存じます。
注意すべきポイントは「ご配慮ください」では指示的なニュアンスが勝るので、目上の人に使用できないことです。その場合は、「ご配慮いただきますよう、お願い申し上げます」と伝えるのが望ましいでしょう。
「ご了承ください」
混同しやすい例にも挙げた「ご了承ください」は、一方的に了承を求める言葉になります。相手の意見を聞くというよりは、相手に受け入れてほしい気持ちが強い表現です。相手に選択肢があるわけではないので、上司や取引先に対して使用すると悪印象を与えてしまうこともあるでしょう。
例文
・どうかご了承くださいませ。
・ご了承いただきたく存じます。
・ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
一般的に「ご了承ください」は目上の人に対しては使用を控えるのが無難です。ただ、「ご了承いただきたく〜」「ご了承いただきますよう、」に言い換えることで上司や取引先にも使えます。
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「ご理解ください」
「ご理解ください」は、相手にお願いをする内容で、理解し納得を求めたいときに使う表現です。「ご留意ください」との違いは、「ご理解ください」はすでに起こったことに対して使用する点。一般的には、話し言葉より書き言葉として使用されます。
例文
・内容をご確認のうえ、ご理解ください。
・ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
・突然のことで申し訳ありませんが、何卒ご理解くださいませ。
「ご理解ください」は、「ご留意ください」よりカジュアルな表現です。取引先など立場が上の相手には「突然のことで申し訳ありませんが〜」など謝罪の言葉を入れ、より丁寧な言い回しに変えて使用することをおすすめします。
「ご留意ください」を英語で伝える場合は?

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ここからは、「ご留意ください」と同じ意味を持つ英語表現を紹介します。覚えておくと海外とのやり取りなどで役立つでしょう。
・Please be aware of 〜
「Please be aware of 〜」は、「ご留意ください」と同じ意味で使える英語表現です。「把握する」「認識する」という意味がある「be aware of」に、「Please」を付け加えることで、ビジネスで使える丁寧な言い回しになります。
例文
・Please be aware of that point.
(その点にはご留意ください。)
・Please be aware of the following important points.
(以下の注意事項にご留意いただけますと幸いです。)
・Please note that 〜
「Please note that 〜」、「ご留意ください」と同じ意味で使える英語表現です。「注意する」「気に留める」の意味がある「note」に「Please」を加えることで、取引先にも使える丁寧な言い回しになります。
例文
・Please note that no refund will be accepted.
(返金は受け付けられませんので、ご留意のほどよろしくお願いいたします。)
・Please note that we are closed on national holidays.
(祝日は休業となりますので、ご留意くださいませ。)
「ご留意ください」に関するよくある質問
ここからはご留意くださいという表現に関して、よく聞かれる質問に回答します。
Q1. 「ご留意ください」が目上の人に失礼なのはなぜですか?
「ご留意ください」は、相手に「注意して心に留めておいてください」と伝える言葉です。この表現には、相手に注意を促すニュアンスが含まれています。そのため立場が上の人に対して使うと、相手に指図または注意喚起するような印象を与えてしまい、失礼にあたるおそれがあるのです。 目上の方に対して同様の意図を伝えたい場合は、以下のようにより丁寧な表現を用いるのが適切です。
例文
・お含みおきください
・ご承知おきください
・念のため申し添えます
Q2. 「ご留意ください」と「ご了承ください」の違いは何ですか?
「ご留意ください」と「ご了承ください」は、どちらも相手に何かを理解してほしいときに使われる表現ですが、意味合いが異なります。
「ご留意ください」は、 ある事柄について注意して心に留めておいてほしいという意味合いが強く、今後の行動や判断に関する情報に対して使われることが多いです。
一方「ご了承ください」は、ある事柄について事情を理解し、納得してほしいという意味合いが強い表現です。変更や制約など、相手に受け入れてほしい事柄に対して使われることが多々あります。
例文
・明日の会議開始時間にご留意ください
・システムの都合上、一部機能がご利用いただけない場合がございます。ご了承ください
ビジネスの場面に合わせて「ご留意ください」を使おう!
- 「ご留意ください」は、リスク回避のために注意喚起を先に促す表現だが、立場が上の人に対しての使用は避けたほうが無難
- 言い換え表現には、「ご自愛ください」「ご配慮ください」「ご了承ください」「ご理解ください」がある
- 「ご留意ください」は注意して心に留めておいてほしい、「ご了承ください」は事情を理解してほしいというニュアンスが強い
「十分に配慮してください」という意味がある「ご留意ください」は、ビジネスの場面でよく使用される敬語表現です。ただし、目上の人に使う場合は要注意。冒頭でも説明したとおり、「ご留意」には相手に要望や懇願するニュアンスが含まれているため、上司や取引先の人に使用すると失礼にあたる場合があるのです。関連する表現も覚えておき、ビジネスの場面に合わせて「ご留意ください」を使いこなしましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/
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