類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
この世の無常を表す言葉は、他にどのようなものがあるのでしょうか。「盛者必衰」の類語、または、言い換えることができる熟語をチェックしていきましょう。
「栄枯盛衰(えいこせいすい)」
「栄枯盛衰」は、「人の世は栄えるときもあれば衰えるときもある、また、その繰り返しだ」という人の世のはかなさを表した言葉。「栄枯」とは、植物が茂り、そして枯れることを意味し、人や家の繁栄と衰退を表しています。「盛衰」は、物事が栄えることと、衰えることを表現した語。
「栄枯盛衰」と「盛者必衰」は、少し意味合いが変わります。「盛者必衰」は、「繁栄を極めたものも、いずれは衰退するということ」を表すのに対して、「栄枯盛衰」は、「繁栄と衰退を繰り返すこと」を示しています。
▼あわせて読みたい
「生者必滅(しょうじゃひつめつ)」
「生者必滅」は仏教用語の一つです。「命あるものは、いつか必ず死が訪れる」という意味で、人の世の儚さを表した言葉です。「生者」とは「生あるもの。生きもの」という意味。「必滅」は「必ず滅びる」ということを表しています。また、「生者必滅」は「会者定離(えしゃじょうり)」と併せて用いられることが多いのが特徴。
「会者定離」とは、「現世で出会ったものとは、必ず別れがくる」という意味の言葉です。「生者必滅会者定離」ということで、「命あるものはいつか死に、出会ったものとは必ず別れがくる。それが、この世の決まりだ」ということを表しています。
「諸行無常(しょぎょうむじょう)」
「諸行無常」は「世の中のすべてのものは常に変化していて、永遠に変わらないものなんてない」という意味。「諸行」は「この世の中の全てのこと」、「無常」とは「この世には、永遠に変わらないものはない」ということを表しています。「諸行無常」は、『平家物語』の冒頭の文であまりにも有名ですよね。その冒頭文と訳をチェックしていきましょう。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」
訳:「(古代インドの)祇園の寺の鐘の音には、万物が変化し永遠なものはなにもないというこの世の道理を表す響きがある」(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「盛者必衰」の対義語にはどのようなものがある?
「盛者必衰」の対義語、「変わらないこと」や「勢いを盛り返す」ことを表す言葉をみていきましょう。
「千古不易(せんこふえき)」
「千古不易」は、「永久に変わらないことやその様」を表す四字熟語。「千古」は「永遠」や「永久」を意味し、「不易」とは「ずっと昔から変わらないこと」を表した言葉です。
(例)そこには千古不易の自然がある。
「捲土重来(けんどちょうらい)」
「捲土重来」は、「一度失敗した者が、勢いを盛り返し、もう一度巻き返すこと」。「けんどじゅうらい」と読まれることもあります。「捲土」は土煙が巻き上がることを意味し、勢いの激しい様を表す語。「重来」は、「再び来る」ことを意味しています。
(例)前年は敗れたが、今年は捲土重来を期す。
▼あわせて読みたい
「盛者必衰」の英語表現とは?
「盛者必衰」は「繁栄」を意味する「prosperous 」と、「衰退」を意味する「decay」を使って表すことができます。または、「美しいものは必ず衰える」という英語のことわざを使って表現することも。
・The prosperous must decay(盛者必衰)
・All that’s fair must fade(美しいものは必ず衰える)
最後に
「盛者必衰」は、「永遠に存在するものはない」という儚さに美を感じる日本人なら、共感を覚える言葉ではないでしょうか。そして、現在ではビジネスの興亡や教訓として使われている言葉です。スピーチなどで、教訓や世の中の儚さを表したい時に使ってみてはいかがでしょうか。
トップ画像・アイキャッチ/(C)Shutterstock.com
▼あわせて読みたい