カビの基礎知識
こまめに掃除をしていても、気付いたらカビができていたという経験をしたことのある人は多いことでしょう。カビが発生するメカニズムを理解しておくと、日々の掃除に役立ち、カビが生える前に対処することができます。
まずは、カビが発生しやすい環境や周囲に及ぼす影響を見ていきましょう。
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カビが発生する原因
カビが発生する原因にはいくつかの条件があり、「温度が20〜30℃」「湿度が80%以上」「汚れやホコリが溜まりやすい場所」の三つが揃うことで繁殖しやすくなります。
家の中にもこれらの条件が揃う場所が多くあり、特に以下の場所に発生します。
・水回り(洗面所・浴室・トイレ)
・結露が発生しやすい場所(窓のサッシ・クローゼットの中・マットレスの下)
また、カビの発生には季節も関係しており、湿度が常に高くなる梅雨の時期は要注意です。油断していると、床や壁などにカビが生えることもあるので、特に意識して掃除しましょう。
カビがもたらす悪影響
カビがもたらす悪影響は、見た目の悪さだけではありません。健康面にも被害を与えることが知られています。カビが出している有毒な胞子は、長期間吸い込み続けるとアレルギー疾患を引き起こすこともあるのです。
具体的には、喘息・アトピー・結膜炎・アレルギー性鼻炎などが挙げられます。さらに、免疫力が落ちているタイミングで吸い込んでしまうと、水虫などの真菌症・胃腸炎・髄膜炎などの感染症になるケースも報告されています。
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カビに使える洗剤と掃除の注意点
カビ掃除におすすめの洗剤や掃除のコツを紹介します。洗剤を使用する際の注意点も解説しているので、チェックしておきましょう。
効率よく安全にカビ掃除をするためには、カビに効果的な洗剤の特徴を押さえて、適切に使い分けることが大切です。
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カビに利用可能な洗剤の種類
カビ掃除には「塩素系漂白剤」「エタノール」「重曹」の3種の洗浄剤が有効です。
「塩素系漂白剤」は、頑固なカビ掃除に便利なアイテムです。強い漂白力があり、根を張ってしまった黒カビもしっかりと落としてくれます。一方で、強い効果があるからこそ、金属や木などの素材には使えなかったり、肌にかかると荒れてしまったりすることもあるため、使用法を守って使いましょう。また、有毒ガスが発生するので、酸性の洗浄剤と混ぜるのはNGです。
「エタノール」には除菌効果があり、カビ予防にも使えます。アルコール度70~80%ほどがおすすめです。漂白力はありませんが、肌に触れてもOKな成分なので、子どもやペットがいる場合にも安心して使えます。
「重曹」は、殺菌・漂白効果はありませんが、研磨作用がポイントです。重曹が持つ弱アルカリ性の成分でカビの細胞を弱め、研磨作用でカビをスムーズにこすり落とせます。
してはいけない掃除の仕方
カビ掃除をするときに「水拭き掃除」「お酢で拭き取る」「掃除機で吸い取る」などの方法は避けましょう。
水だけで拭くとカビに栄養を与えてしまうため、洗剤と併せて使うのがポイントです。お酢も水と同様、原料の穀物がカビの栄養分になってしまうため、カビが繁殖する可能性があります。
また、掃除機の使用もNGです。吸い取ったカビが、排気口から放出され、胞子を撒き散らしてしまいます。部屋に胞子が飛び散り、新たなカビが生える原因になります。
部屋の中のカビの掃除方法
天井やフローリング、畳の上など、カビは部屋のあらゆる場所に生えるものです。場所ごとに、適切な洗剤や掃除方法を具体的に解説していきます。
気になる場所があれば、すぐに試してみましょう。
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天井や壁のカビ
天井や壁などの、高い位置にカビが生えたら「フロアワイパー」が便利です。柄を長く伸ばし、「エタノール」をしみ込ませたシートをセットして掃除しましょう。
塩素系漂白剤は、液だれして肌に付着したり目に入ったりすると危険なので避けます。また、天井や壁の色が抜けてしまう可能性もあります。エタノールスプレーの場合、直接吹きかけたくなるかもしれません。しかし、カビの胞子が舞い上がってしまうため避けましょう。
フローリングのカビ
フローリングのカビ掃除には、「雑巾」などのいらない布と「エタノール」「爪楊枝」を準備します。掃除をするとカビの胞子が舞い上がるため、窓をしっかりと開けて換気しながら掃除をするのもポイントです。
床を満遍なく水拭きしたら、「エタノール」をスプレーで全体に吹きかけます。フローリングの溝に潜んでいる黒カビは、爪楊枝で掻き出しましょう。ここまで終わったら、乾いた雑巾などで床全体を乾拭きします。
なお、フローリングにエタノールを使用すると白く変色してしまう場合があります。カビが生えた部分に限定して行うなど、注意しながら作業しましょう。
畳のカビ
畳のカビ掃除をする際には、「エタノールのスプレー」と「乾いた雑巾」を用意します。畳の細かい目に頑固なカビが生えている場合には「ブラシ」もあると便利です。
窓を開けて換気をしたら、畳全体にエタノールをスプレーしていきます。そのまま20分ほど放置し、カビが浮き上がってくるのを待ちましょう。しつこいカビは、このタイミングでアルコールを付けたブラシで掻き出します。全体を乾いた雑巾で拭き取り、再度エタノールを全体にスプレーします。畳は特に湿気に弱いため、仕上げに乾いた雑巾で畳の目に沿ってしっかりと水気を拭き取りましょう。
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窓ガラスやパッキンのカビ
窓ガラスのカビ掃除には、「エタノール」や「薄めたキッチンハイター」が便利です。カビが生えているところを中心に満遍なく塗布し、10分ほど放置します。水拭きして、乾燥させたらOKです。
パッキンは素材の特性上、窓ガラスよりもカビが取りづらくなります。洗剤は、カビの生え具合に応じて、「塩素系漂白剤」「エタノール」「重曹ペースト」から選びましょう。
キッチンペーパーに洗剤をしみ込ませ、カビが生えた部分に置いたら、上からラップをして5分放置します。時間が経ったら、雑巾で拭き取って完了です。放置しすぎるとパッキンのゴムが変色することがあるため時間は必ず守りましょう。
水回りのカビの掃除方法
水回りは、家の中で一番カビが生えやすい場所です。お風呂やキッチンの流し台の周りのカビは、特にこまめなチェックをおすすめします。カビが発生し始めたら、すぐに以下の方法を試してみましょう。
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お風呂のカビ
お風呂のカビ取りの際には、掃除をする前に浴室全体をしっかりと乾燥させておくのがポイントです。水分があると効率よくカビ取りができないので、事前準備をしておきましょう。
お風呂のカビ掃除は「塩素系漂白剤」を使うとスムーズに掃除できます。乾いた雑巾でカビを除去したい場所を拭き、塩素系漂白剤をスプレーし、上からラップをかけましょう。そのまま30分放置し、洗剤をカビに浸透させます。時間が経過したらラップを取り、上からシャワーで洗剤を流し切って完了です。掃除が終わったら、しっかりと換気もしておきましょう。
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流し台周辺のカビ
流し台周辺のカビ取りをする場合は、まず素材をチェックしましょう。素材には、ステンレスや人造大理石が使われているのが一般的です。
ステンレスの場合には「塩素系漂白剤」を使っても問題ありません。カビが気になる部分を中心に満遍なくスプレーして、3分放置しましょう。そのまま水で洗い流し、乾拭きしたらOKです。カビがしつこく残る場合には、スポンジに漂白剤を付けて磨いてみましょう。タワシはステンレスを傷つけるのでNGです。
一方、人造大理石の場合には「中性洗剤」を使用しましょう。全体に吹きかけたら、キッチンペーパーで拭き取ります。カビが残る場合には、柔らかいスポンジで磨いてみましょう。
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家電や家具に付いたカビの掃除術
家具や家電にも、カビが発生することがあります。洗濯機・エアコン・ベッドのマットレスなど日常的によく使うものにカビが生えると、日々カビを吸い込むような状況にもなりかねません。カビを発生させないためにも、こまめな掃除が大切です。
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洗濯機のカビ
洗濯機のカビ取り掃除の前には、ゴミ取りネットや洗濯ネットなどを、洗濯槽の外に出しましょう。洗濯槽の中に40〜50℃のお湯を満水まで注ぎ、「酸素系の洗濯クリーナー」を入れていきます。洗濯クリーナーの量は、パッケージを参照しましょう。そのまま蓋を閉め、標準コースで洗濯機を回します。
排水前に洗濯機を止めて、4〜6時間放置します。ゴミすくいネットなどでゴミを取り出したら、すすぎ洗いをしましょう。「洗濯機を回す→すすぎ洗い」の工程を、ゴミが出なくなるまで繰り返します。最後にゴミ取りネットを戻し、洗いから脱水まで行ったら完了です。
なお、ドラム式洗濯機をはじめ、一部の洗濯機では酸素系洗濯クリーナーが使えないものもあります。使用前に必ず、洗濯機とクリーナー双方の説明書きを確認するようにしてください。
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エアコンのカビ
エアコンのカビ対策は、フィルターと送風口の掃除がポイントになります。フィルターのホコリは、カビのエサになってしまうため、定期的な掃除がおすすめです。
まず、安全のためにエアコンのブレーカーを落としておきます。次にフィルターを外したら、掃除機などでホコリを表側から吸い取り、裏側からシャワーで洗い流します。濡れたままエアコンに戻すと、カビだけでなく故障の原因にもなるため、しっかりと乾燥させましょう。
吹き出し口を掃除する際には、薄めた中性洗剤を付けたタオルで、吹き出し口を拭きます。細かい部分は、割り箸にタオルを巻きつけて拭くと隅々まで掃除できます。拭き終わったら、よく絞った雑巾で、洗剤を拭き取ります。仕上げにコンセントを差込み、送風運転をして、よく乾かしたら完了です。
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ベッドのマットレスや布団
ベッドのマットレスや布団のカビ取りには、「重曹スプレー」を使います。寝る場所なので、肌に刺激が強い塩素系漂白剤の使用は避けましょう。
重曹スプレーは、ぬるま湯200ccに小さじ1杯くらいの配合がおすすめです。スプレーボトルにお湯と重曹を入れてよく振り、カビが気になる部分に吹きかけます。5分ほどでカビが浮いてくるので、雑巾などでつまむように拭き取りましょう。その後、布団全体に消毒用エタノールを満遍なくスプレーし、天日干しでしっかりと乾燥させたら完了です。
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