「蝗」の文字が入った他の単語は?
「蝗」という文字自体、普段見かけることはあまりありませんが、漢籍や昔の日本の文献では使われています。古くから使われている「蝗」の入った単語を、紹介します。
「飛蝗」
「飛蝗」は、バッタ目バッタ科に属している昆虫の総称です。「いなご」は、バッタ目イナゴ科ですので、含まれません。ただし、バッタ科の中には、アメリカイナゴ、ナキイナゴなど、名前に「いなご」が付く虫にもいるので使う時には要注意です。普段使うことはありませんが、使う時には気をつけないと誤解を生む可能性がありますね。
「蝗虫」
「蝗虫」は日本語だけでなく、中国語でも同じ表記をします。日本では「いなご」を、中国では「バッタ」のことです。ですので、この文字を見た時は、「いなご」なのか、「バッタ」を指しているのか、気をつける必要のある単語です。
「蝗害」
「蝗害」とは、最近の話だと、東アフリカや中国でサバクトビバッタが大量発生し、農作物や草木を根こそぎ食べてしまう天災のことです。大量発生する原因は、干ばつや大雨が原因だとも言われています。恐ろしいことに、この大群はアフリカから中国まで、大陸間を移動出来てしまうこと。まるで、砂嵐のように、黒い雲のようなものが、近寄ってきて、雨のようにバッタが降り注ぎ、一度来ると、草木が無くなるまで食べ続け、その食べている音が響き渡るのだそう。食糧危機にも繋がる、大変な天災のことを意味する言葉です。
日本では起こりにくい天災だった為か、ウンカやもち病による稲の大害も「蝗害」と言われてきました。映画や文学の題材にもよく使われています。
「蝗」の英語名は?
「蝗」は英語で「locust」と言います。ただし、これはバッタ科の総称でもありますが、一般的に英語でバッタは、「grasshopper」です。「locust」は、主に群れを成す習性のあるイナゴに使います。因みにイナゴ科の総称は、「catantopidae」です。こちらは専門用語ですので日常では使いません。また、「蝗害」は「Locust plague」と表現します。
最後に
「蝗」について紹介してきましたが、「いなご」と「バッタ」の表現方法が国によって、曖昧だったりする為、ややこしい部分もありましたね。海外でも地域を問わず、「いなご」もしくは「バッタ」からの「蝗害」に悩まされてきたことや、また食料として扱われてきた2面性を持つ昆虫であることは、珍しいのではないでしょうか。どこかで「蝗」の文字を見かけたら、トリビアとして人に話してみたら楽しいかもしれません。
▼あわせて読みたい