ビジネスシーンでは「不撓不屈」をこう使う
ビジネスシーンにおいてどのように使うのか、具体的な例文とともに見ていきましょう。やや形式ばっているため日常会話ではあまり使いませんが、仕事などのオフィシャルな場での使用が馴染む言葉といえます。
例文
・厳しい状況に追い込まれてもあきらめずにプロジェクトを遂行した彼は、不撓不屈と称されるのにふさわしい。
・不撓不屈の精神で、部署に貢献できるよう努力する所存です。
・不撓不屈の努力がついに実り、営業部長に昇進することができた。
・彼女は決して自分から音を上げることはしない、不撓不屈の人物だ。
「不撓不屈」の類語・対義語
「不撓不屈」には似た意味をもつ類義語、反対の意味の対義語があります。ここでは、類語として「不退転」と「堅忍不抜」、対義語として「付和雷同」をご紹介します。
類語の「不退転」と「堅忍不抜」は、「不撓不屈」と同じように決意表明や座右の銘で用いられることが多い言葉です。いざ使おうとしたら人と被ってしまったという場合に、言い換え表現として使えます。それぞれ、意味や使い方を確認しましょう。
【類語】不退転(ふたいてん)
「不退転」は強い信念をもち、何事にも屈しないことを意味する言葉です。ビジネスやスポーツの場面で決意表明に使われることが多く、「不退転の覚悟」や「不退転の意志」のように使います。「退転」はもともと仏教用語で、修行をしなかったり悪いことをしたりすることを指しました。退転を「不」で打ち消すことで、たゆまぬ努力により修行を続ければ「不退転」の状態に到達するという意味になります。そこから転じて、現在のように強い信念をもち決して屈しない、という意味で使われるようになったようです。
【類語】堅忍不抜(けんにんふばつ)
「堅忍不抜」はどんな状況でもじっと我慢して耐え忍ぶことを指す言葉です。意思が強く揺るがないことをあらわすため、「不撓不屈」と同じような意味で使うことができるでしょう。「堅忍」は我慢強く意志が固いこと、「不抜」は堅くて抜けないことを意味し、2つの言葉が重なることで何事にも動じず耐え忍ぶさまをあらわすようになりました。「堅忍不抜の精神」「堅忍不抜の志」などと使います。
【対義語】付和雷同(ふわらいどう)
「付和雷同」は自分の主義や主張を持たず、安易に他人に同調する様子をあらわす言葉です。場の空気を読んだり相手を気遣ってあわせるということではなく、ネガティブな意味で使われることがほとんどです。「付」は相手の側につく、「和」は相手の主張に合わせることを指し、「雷同」は雷が鳴ると周囲のものも同じように鳴ることから、相手に合わせるという意味で使われます。「付和」と「雷同」という同じような意味をもつ言葉がくっつくことで、意味が強調されているといえるでしょう。「付和雷同な性格」「付和雷同な人」というように使われます。
▼あわせて読みたい
【対義語】意志薄弱(いしはくじゃく)
「意志薄弱」は物事をやり遂げようとする気持ちや、強い決断力に欠けていることを指す言葉です。どんな困難があっても決してくじけないという意味の「不撓不屈」と反対の意味をもちます。「薄弱」はあいまいではっきりしないという意味です。「意志」と「薄弱」の組み合わせにより、意思が弱くやり遂げることができない、きっぱりと決断することができない様子をあらわす言葉となりました。「彼は意志薄弱だ」「意志薄弱な性格」といった使い方をします。
「不撓不屈」の言葉の意味を理解し使いこなそう
「不撓不屈」とは、どんな困難な状況でも決してくじけずあきらめないことを意味する言葉です。前向きな言葉であるため、座右の銘や決意表明で多く使われます。類語としては「不退転」や「堅忍不抜」、対義語には「付和雷同」や「堅忍不抜」などがあります。「不撓不屈」は自分の強い決意をあらすことができる言葉です。ビジネスなどの重要な場面でぜひ使ってみてください。
写真・イラスト/(C) shutterstock.com
▼あわせて読みたい