Contents
「深謀遠慮」とは遠くを見据えた深い思考のこと
「深謀遠慮(しんぼうえんりょ)」とは、深く将来を見据えて考えることを意味する言葉です。また、遠くを見据えて計画を立てることも、「深謀遠慮」と表現できるでしょう。
なお、「謀」は、「はかりごと」とも読み、計画をすることやたくらむなどの意味で用いることがあります。深くまで計画し、遠くを慮(おもんぱか)ることが、「深謀遠慮」なのです。
【深謀遠慮】しんぼうえんりょ
遠い将来のことまで考えて周到にはかりごとを立てること。深慮遠謀。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
由来は『過秦論』のエピソード
「深謀遠慮」という言葉は、中国の前漢時代に執筆されたとする『過秦論(かしんろん)』に由来します。『過秦論』の中には「深謀遠慮 行軍用兵之道 非及曩時之士也」という一節があり、「将来について深く考えて計画を立てることや軍事においても、他の国々には及ばない」と訳され、その中でも「深謀遠慮」が四字熟語として使われるようになりました。
これは、法治国家であった秦が法律を重んじる余り、そのときに応じて深く考えることをしなくなったことを批判する文章です。実際に秦は長く続かず、わずか二代で終わりました。
「深謀」も「遠慮」も深く考えること
「深謀」とは、深い考えや深く考えることです。一方、「遠慮」も深くまで考えることを指します。つまり、「深謀遠慮」は類似する言葉を重ねて強調した言い回しだといえるでしょう。
「深謀遠慮」のように類似する意味の言葉を重ねた四字熟語としては、「栄枯盛衰(えいこせいすい)」が挙げられます。「栄枯」は、栄えることと枯れることを指し、発展していくときもあれば衰えていくときもあると解釈することが可能です。一方、「盛衰」も盛んになっていくときもあれば衰退するときもあるという意味で、「栄枯」とほぼ同じ意味を指しています。
▼あわせて読みたい
「深謀遠慮」の使い方を例文を使ってご紹介
「深謀遠慮」という言葉は日常生活でも比較的よく使われます。例えば次のように使うことができるでしょう。
・彼の【深謀遠慮】する姿勢は、皆、見倣うべきといえるでしょう。
・軽率な行動はしたくなかったので、彼女は【深謀遠慮】の末、今の会社を選んだらしい。
・私の子どもは誰に似たのか【深謀遠慮】な性格だ。
「深謀遠慮」の類語
「深謀遠慮」と似た意味の言葉として、「深慮遠謀(しんりょえんぼう)」と「遠望神慮(えんぼうしんりょ)」が挙げられます。いずれも発音が「深謀遠慮」と似ていますが、語順や漢字に違いがあるので正しく書けるようにしておきましょう。
それぞれの使い方を例文を使って紹介します。
深慮遠謀(しんりょえんぼう)
「深慮遠謀」とは、「深謀遠慮」の「謀」と「慮」を入れ替えた四字熟語です。意味はまったく同じで、将来のことなどを深く考えて計画を立てることを指します。次のように日常生活でも使ってみましょう。
【例文】
・彼女はまさに【深慮遠謀】の人だ。話を聞いていると、本当に深くまで考えて行動をしていることがよくわかる。
・彼は【深慮遠謀】なので、会社が倒産したときのことまで考えていた。おかげで社員に迷惑をかけずに済んだ。
・【深謀遠慮】を巡らせているのか、課長に聞いてもいつもすぐには答えが返ってこない。深く考えすぎるのも困ったものだ。
遠望神慮(えんぼうしんりょ)
「遠望神慮」も、先を見越して深く考えること、あるいは先を見越した深い考えを指す四字熟語です。「深慮遠謀」と意味は似ていますが、「謀」という漢字は使われていないので、計画を立てるというニュアンスはあまりありません。
「遠望」とは遠くを見ること、「神慮」とは神の心、あるいは神のように深い考えのことです。「深」の漢字は使わないため、間違えないようにしましょう。
【例文】
・この考えはまさに【遠望神慮】といえる。ここまで深く考えているとは思いもよらなかった。
・彼女の【遠望神慮】により、チームの仕事はスムーズにはかどった。
・【遠望神慮】ともいうべきか、まるで今日の出来事が事前にわかっていたかのような判断だった。
「深謀遠慮」の対義語
「深謀遠慮」の対義語としては、次の2つが挙げられます。
・軽率短慮(けいそつたんりょ)
・軽挙妄動(けいきょもうどう)