「触らぬ神に祟りなし」の例文
ここでは、「触らぬ神に祟りなし」の例文をいくつかご紹介します。
【例文】
・部長は最近、奥さんと喧嘩して機嫌がよくないらしい。そのため【触らぬ神に祟りなし】と周囲に近づく人はあまりいない
・課題を解決するアイデアが閃いた。しかし【触らぬ神に祟りなし】で様子を見てから提案することにした
「触らぬ神に祟りなし」の4つの類義語
「触らぬ神に祟りなし」とその類義語の違いを理解することで、使い方がより分かりやすくなります。「触らぬ神に祟りなし」の類義語は次の4つです。
・当たらぬ蜂には刺されぬ
・君子危うきに近寄らず
・参らぬ仏に罰は当たらぬ
・触り三百
類義語ごとのニュアンスの違いを例文を挙げて解説します。それぞれの言葉を状況ごとに使い分けるための参考にしてみてください。
【類義語1】当たらぬ蜂には刺されぬ
「当たらぬ蜂には刺されぬ」は、「触らぬ神に祟りなし」の類義語のひとつです。「当たる」は「関わる」の意味で使われています。
つまり、自分から関わらなければ、蜂には刺されないことを表現しています。転じて、「自ら災難を招くことをしなければ自分に害はない」のような意味合いで使われる消極的な表現です。
【例文】
・ここでうっかり発言したらやりたくない作業を押し付けられそうだ。ここは【当たらぬ蜂には刺されぬ】でいよう
・【当たらぬ蜂には刺されぬ】の言葉があるし、この件は見て見ぬ振りでやり過ごすのが良さそうだ
【類義語2】君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず)
「君子危うきに近寄らず」の「君子」とは、古代中国の位が高い人を指します。これは、位が高く賢明な人は初めから危険を感じる人物や場所に近づかないことを意味します。
つまり「自分自身を守れるのは自身の行動だけである」ことを表し「触らぬ神に祟りなし」と比較すると、主体的なニュアンスを伝える場合に使われる場合が多いでしょう。
【例文】
・危険な人には近づかない、【君子危うきに近寄らず】の教えを守ろう
・怪しい話を信じては失敗を繰り返す人には、【君子危うきに近寄らず】の教えを伝えたい
【類義語3】参らぬ仏に罰は当たらぬ
「参らぬ仏に罰は当たらぬ」は「お参りに出かけず仏様から距離を置いていれば、 ご利益もないかわりに罰を与えられることもない」ということを意味します。「触らぬ神に祟りなし」と同じような意味を表現したい場合に使用します。
【例文】
・良かれと思って手を貸しても、人によっては余計なお世話と捉えられることもある。【参らぬ仏に罰は当たらぬ】というし、何もしないほうが自分のためだ
【類義語4】触り三百(さわりさんびゃく)
「触り三百」は余計なことに関わると三百文の損をすることを表現しています。三百文は江戸時代のお金の単位ですが、現在の価値に換算すると数千円程度です。
少し痛い出費といえるでしょう。こちらも「触らぬ神に祟りなし」と同じような意味を表現したい場合に使用します。
【例文】
・諍いを仲裁したばかりに自分も巻き込まれて嫌な気分になる。これぞ【触り三百】だ
まとめ
捉え方によっては、薄情なイメージが連想される「触らぬ神に祟りなし」のことわざ。しかし、無用なトラブルが身に及ばないよう余計な手出しや口出しをしない処世術のひとつです。
また「目先の利益にばかり気を取られ、リスクを見失わないように注意する」や、「リスキーな賭けはするな」という戒めの意味でも使えます。
今回ご紹介した使い方や例文、類義語などを参考にして、「触らぬ神に祟りなし」を正しく使えるようにしておきましょう。
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