熱中症予防の基本は「水分補給」と「塩分摂取」
「暑い環境下では、環境に適応するために汗をかいて体の熱を下げる必要があります。体からでる汗がないと熱が下がらないので、汗のもととなる水分、そして電解質を補充しておくことが重要。体の水分は電解質のバランスで移動するので、水分だけではなく、塩飴などの塩分接種も必要です。また、熱がこもらないように、時折日陰に移るなど、体をこまめに冷やすようにしましょう」（中富康仁先生 以下同）
体の冷やしすぎで体調が悪くなることも！
「基本の熱中症対策は、すでに実践されている方も多いかと思います。ここでもう一つ重要なことは、体の温度、特に深部体温（内臓の温度）は冷やしすぎてもいけないということです。冷たいものを摂りすぎて、おなかが冷えて調子が悪いという経験があるかもしれません。冷えた環境ばかりにいると、汗腺(汗の出る分泌腺)の働きが悪くなり、環境変化に対応しにくくなることがあるようです。体調管理には、ほどよいバランスが必要。重要なのは、環境変化に対して機敏にバランスよく反応できるように、日ごろから自律神経をはじめとするボディバランスを整えておくこと。いつ何がおこってもいいように十分な睡眠と十分な栄養を摂取しておいて、体のリソースに余裕をもたせておき、外界に対して適応能力が高い状態にしておきましょう。また、普段からほどよい刺激を与えて体のリズムをキープしておくことも大切です」
夏バテ予防には「メリハリのある生活」を
「同じ年齢なのに、暑くても元気な人がいるのはなぜでしょうか？ そういう人は、メリハリのつけかたが上手な人です。オンとオフの切り替えがポイント。暑さに限らず、忙しそうにしているのに元気な人もいますよね。もともとの体力的、性格的なものもありますが、元気な人には、自分のペースでオンとオフの切り替えができている人が多いようです」
暑いからといって、冷たいものを飲みすぎたり、クーラーの利いた部屋に長時間こもっていることで、体を冷やしすぎることも！ 基本の熱中症対策を行いつつ、体を冷やしすぎないよう気をつけて、メリハリの利いた生活を送ることが大切なんですね。
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ナカトミファティーグケアクリニック院長
中富康仁
医師、日本疲労学会評議員。大阪市立大学医学部代謝内分泌病態内科学・疲労クリニカルセンターにおいて疲労外来を担当しながら、疲労の臨床・研究に従事した。2014年から大阪市内に疲労や睡眠に特化したクリニックを開設し、診療を行っている。
