夏バテ回避には、日ごろから「ボディバランスを整えておく」ことが大切
夏バテ予防について、「自律神経」というポイントについて、疲労予防に詳しい医師の中富康仁先生にお話しをうかがいました。
「テレワークが増え、睡眠覚醒リズムもくずれ、冷房ばかりの部屋にいては、いざ暑い環境におかれても体が適応してくれません。冷房ばかりの環境にいては、汗をかく汗腺の働きが低下することが知られています。自律神経はアクセルとブレーキであり、脳というエンジンが体を動かすときの手足のようなものです。日ごろから睡眠を十分にとり、脳と体を日々のダメージから回復させておくこと。さらに、ほどよい運動などで刺激と緊張を与えてリズムをつくっておくことで自律神経のバランスは整います。
ほどよい運動は睡眠を深くして、さらなる好循環を生み出しますが、睡眠もとれておらず、疲労も蓄積しているのに運動をすると、逆に悪循環を生み出します。きちんと体の声を聞いてあげて、こまめに体を休め、十分な睡眠をとったうえで、心地よい程度の運動をおこない、体のリズムを整えておきましょう」(中富先生 以下同)
休んでいるつもりでも休めていない人が多い!?
「昨今、スマートウォッチなどで睡眠や脈拍をはかれるものが増えてきました。疲労が蓄積すると副交感神経のパワー値が落ちて相対的に交感神経の興奮がおさまりにくくなります。休んでいるつもりでも脈拍が高いときは実際には体は休めておらず回復できていません。休むときは、鎮静系のハーブの効果やマッサージ、エステなどで身体をしっかりと休め、動くときは心地よい程度まで運動などの刺激や緊張を入れておく。オンとオフの切り替えでリズムよく過ごすことが大切です」
自分が思っている以上に体は睡眠を欲している
「働き方改革と言われ、残業時間が取り上げられることも多いですが、実は、過労による疲労の蓄積は、残業時間の長さとともに睡眠時間が短くなることが関連しているといわれています。残業時間が増えることが問題というよりも、残業によって睡眠という回復の時間が十分に取れなくなることが問題なのです。逆に残業時間が多くても、睡眠時間が十分にとれていると、過労によって引き起こされる生活習慣病の悪化やメンタルヘルスの問題がおこりにくいことがわかっています。
日本人は世界でいちばん、睡眠がとれていないという統計結果があります。『KAROSHI(過労死)』は日本語が英語になった不名誉な例。また、近年は子どもの睡眠時間が減少することで、起立性調節性障害から不登校になるお子さんが増えています。成人が平均的に必要とする睡眠時間は7.5時間程度といわれており、子どもはさらに1、2時間必要です。今の日本人には、思っている以上に睡眠が必要なのです。ちなみに私もこれまでに何度か体調をくずした経験があり、忙しいとき以外は8時間睡眠をとるように心がけています。その結果、体調をくずすことがなくなり、周りからも『元気だね』とよくいわれるようになりました!」
つまりは、仕事で残業が多い世代だけでなく、家事や育児のタスクが重なって十分に睡眠を取れない人も当然、疲労が重なって体調をくずす可能性が十分にあるということ。夏バテ回避には、十分な睡眠と程よい運動で体と生活のバランスを整えておくことが大切。逆に言えば、メリハリの利いた生活を送ることで、40代でも元気にすごせるということですね。
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ナカトミファティーグケアクリニック院長
中富康仁
医師、日本疲労学会評議員。大阪市立大学医学部代謝内分泌病態内科学・疲労クリニカルセンターにおいて疲労外来を担当しながら、疲労の臨床・研究に従事した。2014年から大阪市内に疲労や睡眠に特化したクリニックを開設し、診療を行っている。