「汰」という漢字の意味や成り立ちとは?
皆さんは、「汰」という漢字の意味についてご存じでしょうか? 漢字の部首が「さんずい」であることから、何となく水に関連する漢字ではないかと予測できます。
「汰」には、水で洗い流す、良いものと悪いものを選別するという意味が含まれます。また、「汰(よな)げる」と書いて、不要なものを洗い流すという意味となり、昔は米や豆をざるに入れて水で洗う際などによく使われていました。
「汰」は音読みで「タ」「タイ」と読み、部首の「さんずい」が水を意味し、「太」が読みを表しています。「太」は、豊富・大量という意味が含まれる「泰」の異体字です。そのため、おごる・ぜいたくをするという意味を持つ言葉として使用されることもあります。
「沙汰」とはどのような意味?
「沙汰」という言葉は、あらゆる場面でよく見聞きするでしょう。日常会話でも使われることの多い「沙汰」ですが、複数の意味が含まれるため、同じ言葉でも使い方を間違えると、意味が通らないことがあります。ここでは、「沙汰」が持つ意味について、例文とともに紹介します。
1:地獄の沙汰も金次第
「地獄の沙汰も金次第」とは、この世では金を持っていればたいていのことは解決できるという意味です。ここでの沙汰は、物事を処理すること・物事の善悪や是非を論じ定めることという意味として使われています。
砂を表す「沙」という漢字と、選び分けるという意味を持つ「汰」と組み合わせて、善悪を判断する・裁決するという意味として使われるようになったと考えられます。
2:沙汰を仰ぐ
自分で判断するのではなく、相手からの指示を待つという意味です。ここでは、決定事項を伝える通知や、命令・指示という意味として使われているのが分かります。こちらの意味として沙汰が使われる機会は、現在では少ないでしょう。しかし古典では、改めて処分や指令を検討することを「改沙汰(あらためざた)」と表記していました。
3:音沙汰がない
音信不通・連絡が取れないという意味。久しぶりに連絡を取ったり、会ったりした人への挨拶として、「ご無沙汰しております」という表現もよく使われています。ここでの沙汰は、便り・音信という意味を持っているのが分かります。
また、することがなくて暇を持て余している様子を「手持ち無沙(てもちぶさた)」とも。
4:取り沙汰される
話題のニュースが連日取り上げられる時などによく耳にする表現。ここでは、話題になる・うわさになるという意味として、沙汰が使われています。また、あらゆる評判やうわさが広がっていくことを「縦横沙汰(たてよこざた)」といいます。