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2023.03.07

「鈴懸/篠懸」とは修験者が着る麻の法衣のこと|意味や鈴懸の木などをご紹介

「鈴懸/篠懸」とは修験者が衣服の上に着る麻の法衣のことです。また、「鈴懸の木」の意味もあります。今回は、鈴懸の概要や修験者の装いをご紹介します。また鈴懸の木の種類や名の由来も解説しているため、言葉の意味を知りたい方だけではなく、樹木に興味がある方もぜひ参考にしてください。

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「鈴懸/篠懸」の基礎知識

「鈴懸/篠懸」の読み方は〈すずかけ〉で、どちらの漢字でも表記可能です。この記事では、「鈴懸」という漢字で表記します。鈴懸とは、修験者が身に着ける麻の法衣のことなどを指します。

修験者が山上から山麓を見下ろしている様子

はじめに、鈴懸という言葉の詳しい意味や修験者とはどのような方か、鈴懸も含めた修験者の装いについて、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。

■鈴懸とは修験者が衣服の上に着る麻の法衣

【すず‐かけ・篠懸/鈴懸】
修験者(しゅげんじゃ)が衣服の上に着る麻の法衣。直垂(ひたたれ)と似た形に作る。すずかけごろも。
スズカケノキの別名。 花=春「―の更けつつ薫れ寝にかへる/波郷」

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

鈴懸とは修験者が身に着ける麻の法衣のことで、「すずかけごろも」と呼ばれる場合があります。また、「鈴懸の木(スズカケノキ)」の別名として使っていることもあるため、どちらのことかは文脈から読み取りましょう。鈴懸の木についての詳細は後述します。

鈴懸は、直垂(ひたたれ)と似た形に作られます。直垂とは、もともと庶民の平服だったものが鎌倉時代以後に武家の礼服となり、また公家(くげ)の常服としても使われるようになった服のことです。

■修験者(しゅげんじゃ)とは?

鈴懸を身に着ける修験者とは、山野を巡り修験道(しゅげんどう)を修行する人のことを指します。修験者のことは、行者や山伏、修験家、験者(げんざ・げんじゃ)などと複数の呼び方があります。修験者の姿の種類は、髪を剃らずに俗体のままでいる「法身形」と摘髪(つみがみ)の「報身形」、剃髪(ていはつ)墨染で僧の姿をしている「応身形」の3つです。

山の峰が遠くまで続いている様子

■鈴懸も含めた修験者の装い

修験者の恰好は、多くの場合髪を剃らずに半僧半俗の姿でいるようです。小さな布製のずきんである「兜巾(ときん)」をひもで下あごに結びとめ、鈴懸や「結い袈裟(ゆいげさ)」を掛け、「笈(おい)」を背に負います。動きやすくするためにすねに巻きつけてひもで結ぶ「脛巾(はばき)」をつけ、「念珠」を持ち、「錫杖(しゃくじょう)」や「金剛杖」を突いて歩くのが特徴です。

修験者は「法螺(ほら)」も持っていて、法螺を鳴らすことがあります。また、もともとは太刀を帯びていました。

鈴懸には「鈴懸の木」の意味も!概要を確認

鈴懸には、修験者が身に着ける麻の法衣のことを指す意味だけではなく、「鈴懸の木」の意味もあります。鈴懸の木は、現在街路樹に多く用いられている樹木です。また、鈴懸だけで意味するものではないものの、岐阜県の一部の竹林中にみられるゴマノハグサ科の多年草には「鈴懸草(すずかけそう)」と呼ばれているものがあります。

すずかけの木(プラタナス)の並木

それでは鈴懸の木とはどのようなものか、また木の種類、鈴懸の木という名の由来、プラタナスという名の由来をそれぞれ確認していきましょう。

■鈴懸の木とは街路樹に多く用いられている樹木

鈴懸の木は、街路樹としてよく用いられているスズカケノキ科の樹木です。鈴懸の木には種類があり、どちらもスズカケノキ科ですが、落葉高木を指す場合と、スズカケノキ科の双子葉植物の総称を指す場合があります。

スズカケノキ科の落葉高木のほうは、日本に明治末に渡来しました。この種類がもともと分布していたのは、地中海沿岸から東南アジアにかけての地域です。また、鈴懸の木は「プラタナス」とも呼ばれています

なお、鈴懸の木が街路樹としてよく使われていたのには、以下のような理由があります。

・成長が速くて堂々とした樹木になること
・移植・選定に強いこと
・乾燥・痩せ地・大気汚染に強いこと

 

しかし近年では、長所とされてきた「樹木の成長が速い」という点が、街路樹として使う場合の短所として見られて敬遠されるようになってきました。成長が速いと、樹木の選定をするために手間や費用がかかることが理由です。また、刈り込まれたときにコブだらけに見えて景観が良くないことも理由のひとつだとされています。

■鈴懸の木の種類

スズカケノキ科の落葉高木は、「スズカケノキ」と呼ばれています。樹皮が大きくはげて白と淡緑色のまだら状になること、切れ込みがあって大きな葉を付けることなどが特徴的です。花が咲く時季は春で、4月ごろに黄緑色の雌花と雄花をつけ、秋には鈴をかけたように丸い実がなります。

一方、スズカケノキ科の双子葉植物の総称を指す場合の鈴懸の木には「アメリカスズカケノキ」などがあり、1属10種が分布しているのは北半球です。

また、両方の雑種を「モミジバスズカケノキ」と呼びます。街路樹としてよく用いられているのは、このモミジバスズカケノキの樹木です。

■鈴懸の木という名の由来

鈴懸の木という名の由来は、多数ぶら下がっている鈴のような実や花が、まるで修験者が身に着ける鈴懸のようであったことです。修験者が身に着けるほうの鈴懸には、鈴玉のような飾りがついています。

すずかけの木(プラタナス)が身をつけた様子

なお、鈴懸の木はヨーロッパでは古くから栽培されていました。アテネには長い並木道があり、木陰で哲学者が哲学などを説いていたことから天才の象徴とされ、花言葉が「天才」になったといわれています。

■プラタナスの名の由来

一方、プラタナスという名の由来は、ギリシャ語の「platys(広い、もしくは平らな)」で、つまり「大きな葉」という意味からきています。スズカケノキやアメリカスズカケノキ、モミジバスズカケノキのどれもが、プラタナスと総称されるようです。

新宿御苑のプラタナス並木は、プラタナスを使った日本最初の並木だといわれています。この並木は、フランス人の専門家に依頼して作られました。

鈴懸/篠懸の意味を理解して正しく使おう

鈴懸は、すずかけごろもと呼ばれる修験者が身に着ける麻の法衣のことを指す場合と、鈴懸の木を指す場合があることに注意が必要です。修験者とは、山野を巡って修験道を修行する人のことを指します。

修験者が山の上から谷を見下ろしている様子

修験者が身に着けるほうの鈴懸には、鈴玉のような飾りが付いています。鈴懸の木という名は、多数ぶら下がっている鈴のような実や花が、まるで修験者が身に着ける鈴懸のようであったことからきました。

どちらの意味もあることをしっかりと理解して、言葉を正しく使いましょう。

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