「貴校」と「貴学」の使い分け
「貴校」と使うのは小学校、中学校、高等学校、専門学校のように、「校」がついている学校です。「貴学」は大学に使います。大学入学試験の面接などで、話し言葉として使う際は「御学」という表現もありますが、「音楽」と間違えやすいので、○○大学と固有名詞を使っても問題ありません。
また、「○○学院」「○○学園」「○○塾」という大学では「貴学院」「貴学園」「貴塾」と表記しますが、教育機関名としては大学には変わりないので「貴学」と表記しても構いません。さらに、大学院の場合は大学の研究機関の一部という考え方から「貴学院」ではなく「貴学」とします。
さらに、幼稚園・保育園の場合は「貴園」となります。たとえば「〇〇キッズアカデミー」といった名称でも教育機関の区分としては幼稚園・保育園となるので「貴園」を使います。
「貴校」の正しい使い方
「貴校」の正しい使い方を例を挙げて紹介します。
【小学校受験の志望理由書に使うとき】
貴校の「奉仕の心」という教育理念に惹かれました。常に、自分のことだけでなく、人のために奉仕するというところが私共の教育方針に一致していると思います。
【中学校受験の志望理由書に使うとき】
小学校低学年の頃にアメリカから帰国し、英語に親しんでおります。貴校の英語教育に力を入れている点や、ネイティブの先生が多数いらっしゃる点に魅力を感じています。
【高校受験の志望理由書に使うとき】
中学校時代に陸上の長距離走で県大会に出場経験があります。貴校は陸上部の実績が高く、自分の力が発揮できると思い志望いたしました。
【専門学校の志望理由書に使うとき】
幼少期から美容に興味があり、特にメイクに関心を持っていました。貴校には「メイクアップアーチストコース」があり、そこでの学びを活かして将来は海外でも活躍できるメイクアップアーティストを目指したいと思い志望いたしました。
「貴学」の正しい使い方
「貴学」の正しい使い方についても例を挙げて紹介します。
【大学の志望理由書に使うとき】
中学生の時に夏目漱石の『こころ』を読んで漱石の人間描写や心情表現に感動し、もっと、漱石のことを深く研究してみたいと思いました。貴学の文学部には夏目漱石研究で有名な〇〇教授がいらっしゃるので、是非〇〇先生のもとで学びたいと思い志望いたしました。
「貴校」の英語表現
最近では海外の学校に留学する人も増えてきて、英語で志望理由を書くケースも。英語ではどのような表現になるのか、紹介します。
1:I am looking forward to enter your school.(貴校への入学を楽しみにしています。)
2:I’m interested in your school curriculum.(あなたの学校のカリキュラムに興味があります。)
3:I would like to have a permission to enter your school.(貴校への入学の許可をいただきたいと思います。)
4:Could you explain about the characteristics of your school?(貴校の特徴について教えてください。)
英語では敬語表現がないので、貴校にあたる表現は「あなたの学校」という意味の「your school」となります。例文にあるように、「I’m looking forward to」などの熟語と一緒に使うことで、より丁寧な表現となり、好印象を与えることができます。また、大学、高校、専門学校などの区別もないのですべて「your school」となります。
まとめ
「貴校」は小学校、中学校、高校、専門学校などの「校」がつく学校に使い、「貴学」は「大学」に使います。また、「貴校」は書き言葉のときに、「御校」は話し言葉のときに使います。いずれも、学校に対する敬意を表す言葉。それぞれ言葉の意味に違いはありませんが、使い分けに気をつけるようにしましょう。
執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
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