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【目次】
「ご足労おかけいたしますが」の意味
「ご足労おかけいたしますが」は、「わざわざ出向いていただくことになってしまい、申し訳ありませんが」という気持ちを表す言葉です。相手が自分のいる場所を訪れてくれる場合に使います。
ビジネスシーンでは、取引先の人間が自社を訪問することが決まったさいに、使うケースが多い言葉です。出向いてもらうことへの感謝と恐縮の気持ちを伝えるというニュアンスもあるでしょう。
■「ご足労」の意味
「ご足労」の「足労」は、「足を使って労力をかける」「足を疲れさせる」「足を働かせる」などの意味のある言葉です。実際に徒歩かどうかは、関係ありません。利用する交通機関を問わず、出向いてもらうことに対して用いられます。
さらに細かく分解すると、「労」には「ねぎらう」という意味があり、「足労」には来てもらうことに対してねぎらいの言葉をかけるニュアンスもあるといえるでしょう。
この「足労」に尊敬の接頭語である「ご」をつけて、敬語として表現しているのが「ご足労」です。
■クッション的なニュアンスがある
「ご足労をおかけいたしますが」には感謝や恐縮の意味を伝えるニュアンスのある言葉と前述しました。しかし、明確な意思を伝えるというよりも、丁寧にお願いしているニュアンスのある言葉といえるでしょう。
たとえば、相手を呼び出す場合に、きつい印象を与えないようにするために、「ご足労をおかけいたしますが」という言葉をクッションとしてはさむことがあります。この言葉を間に入れることによって、印象を柔らかくする効果が期待できるでしょう。
「ご足労おかけいたしますが」を使う際の注意点3つ
「ご足労おかけいたしますが」は丁寧語であるため、目上の人に対しても使えます。また、メールや手紙などでの書き言葉としても、口頭での発言でも使えるとても便利な言葉です。しかし、使う際に注意すべきことが3つあります。
1.基本的には社内の人間には使わない
「ご足労おかけいたしますが」は基本的には、社内の人間には使いません。相手が自社を訪れる場合に使う言葉だからです。
ただし、会社が本社・支社・工場など、複数の場所にあって、上司が違う場所から自分のいる場所に出向いてくる場合には、「ご足労おかけいたしますが」という言葉を使えます。現場視察で上司が訪れた場合にもよく使う言葉です。
この場合に注意しなければいけないのは、社外の人間がいない場合という条件がつくことです。他の敬語と同様に、社外の人間がいるところで、社内の人間に対して使わないように、注意してください。
2.相手の来社が決まる前には使わない
ビジネスシーンで「ご足労おかけいたしますが」という言葉を使えるのは、相手の来社が確定している場合です。相手が来社することを前提とした言葉であるため、承諾する前に使うのは、押しつけがましい印象を与えてしまい、失礼になる可能性があります。
来社を承諾してもらったお礼として使うのが自然です。また、実際に相手がこちらに来たタイミングで使うのは、まったく問題ありません。
3.「ご足労様です」と省略して使わない
「ご足労おかけいたしますが」は丁寧語であるため、短縮して使いません。「お疲れ様です」というフレーズが挨拶の言葉として一般的に広まっていることから、同じようなニュアンスで「ご足労様です」と使ってしまうケースが少なくないようです。
しかし、これは間違った使い方であり、失礼にあたるため、省略して使わないように注意しましょう。
「ご足労おかけいたしますが」の使い方と例文
「ご足労おかけいたしますが」はさまざまなビジネスシーンで使える便利な言葉です。クッション言葉にもなるため、効果的なタイミングで使うといいでしょう。
【例文】
・弊社の音響システムの性能を現場でご確認いただけるとのこと、ご足労をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
・明日の午後2時より弊社で開催される新規プロジェクト会議にご参加いただけるとのこと、承知いたしました。ご足労をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
「ご足労おかけいたしますが」の類義語2つ
「ご足労おかけいたしますが」のおもな類義語は以下の2つです。
どちらの言葉も、相手に自分のところに出向いてもらう場合の丁寧な言い方として使えます。「お手数をおかけしますが」はより幅広いシチュエーションで使用できる言葉です。それぞれの意味、使用場面、例文をご紹介します。
1.「お手数をおかけしますが」
「お手数をおかけしますが」は、相手が自分のところに来る場合だけでなく、労力を費やすシチュエーションで使える言葉です。
【例文】
・お手数をおかけしますが、昨日提出したプレゼンテーションの内容のご確認、よろしくお願いいたします。
・お手数をおかけしますが、問題が発生した場合の迅速な対応のために、緊急時の連絡先を教えていただけますか?
2.「お呼び立てして恐縮ですが」
「お呼び立てして恐縮ですが」は「ご足労おかけいたしますが」と同じようなシチュエーションで使える言葉です。違いは、申し訳ないという気持ちがより強調されていることでしょう。
【例文】
・私どものミスが原因であるのに、お呼び立てして恐縮ですが、問題解決のお力添えをお願いいたします。
・お呼び立てして恐縮ですが、会議へのご参加をお待ち申し上げております。
「ご足労おかけいたしますが」の意味を知って正しく使おう
「ご足労おかけいたしますが」という言葉は、相手に自分のいる場所に来てもらう場合に使う丁寧語です。感謝や恐縮の思いを伝えるニュアンスもありますが、表現をやわらげるクッション言葉としても便利に使われています。
基本的には社内の人間には使いません。また、未確定なことには使わない、省略して使わないなど、いくつかの注意が必要です。「ご足労おかけいたしますが」の正確なニュアンスや使えるシチュエーションを理解して、正しい使い方をしてください。
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