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2023.09.08

京野菜「九条ねぎ」ってどんな野菜? おすすめレシピも紹介【専門家監修】

 

京都の伝統的な野菜「九条ねぎ」。青々としていて風味のよさから、「葉ねぎの王様」ともいわれています。本記事では、九条ねぎとはどんな野菜なのか、名前の由来や、おいしい食べ方、おすすめレシピなどを紹介します。

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九条ねぎってどんな野菜?

九条ねぎは、伝統的な京野菜の1つです。京都で「ねぎ」といえば、この「九条ねぎ」のことをいい、京都の料理には欠かせません。近頃では、全国的に京野菜が流通し、京都に住んでいなくても、九条ねぎは見聞きしたことがあるのではないでしょうか。しかし「九条ねぎは、一般的なねぎとどう違うの? どんな食べ方がおすすめ?」など、九条ねぎについて詳しく知りたいという方も多いと思います。

そこで、京都の伝統野菜「九条ねぎ」について、京都・錦の老舗「かね松」の主人・上田欣司さんに、お話をうかがいました。

九条ねぎ 京都 大原野

京都の伝統野菜である九条ねぎは、緑の葉の部分を食べる、青ねぎ(葉ねぎ)の1つです。九条ねぎの緑の葉は、厚みがありながらも柔らかく、この部分にはカロテンやビタミンが多く含まれています。また九条ねぎは、香りがよく、甘味が強いのが特徴。緑の葉先から根元の白い部分まで全ておいしく食べることが可能です。

九条ねぎは主に関西地方でよく食べられていて、風味のよさからも「葉ねぎの王様」ともいわれます。

季節によって味わいが変わる

九条ねぎは年間を通して出回りますが、季節によってその味わいが変わるといわれています。春はまろやかな味わいで、夏から秋はピリッとした辛さがあり、そして、最も甘くなるといわれているのが1~2月の冬。京都の底冷えの寒さで九条ねぎの甘味が凝縮されるのです。

一般的なねぎとどう違う?

九条ねぎと一般的なねぎの違いは、葉の内側にあるトロっとした「ぬめり」です。万能ねぎや白ねぎにも「ぬめり」はありますが、九条ねぎにはさらに多くの「ぬめり」があり、そこに甘みが凝縮しています。九条ねぎの甘さの秘密は、この「ぬめり」にあるのです。

九条ねぎの栽培方法は?

九条ねぎは一年を通して栽培することができます。一般的に種まきを開始するのは4月~9月、植え付けを行うのは6~11月。そして収穫時期が7月~翌4月と幅が広いのが特徴です。

本来の伝統的な九条ねぎの栽培方法は、非常に手間がかかります。秋に種を撒いて、春に植え替え、さらに夏に一度それを掘り起こして天日で乾燥させ、また植え替えてから、その後にやっと収穫を迎える、というように時間と手間がかかるものです。

野菜の畑

しかし九条ねぎは、そのようなプロセスを踏まなくても、プランターなどでも育てることができます。そのため家庭菜園にもおすすめです。九条ねぎの栽培に適した温度は、15~25℃。日当たりや風通しのよい場所を好みます。また、九条ねぎの栽培期間のほとんどが育苗にかかります。そのため、家庭菜園では種からではなく、苗を購入してきて栽培するのがおすすめです。

九条ねぎの栄養や健康効果は?

よく「風邪や咳にはねぎがよい」といいます。九条ねぎに含まれる香り成分の「アリシン」には、消化機能の働きを高めたり、血行を促進し、体を温めたりする効果も。そのため、風邪のひき始めなどに効果的だといわれています。このアリシンは、九条ねぎの白い部分に多く含まれていて、葉の部分には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンC、カロテンが多く含まれています。

なぜ「九条ねぎ」っていうの? 由来や歴史は?

九条ねぎは京都の九条という地区で栽培されていたことから「九条ねぎ」といわれるようになりました。九条ねぎの歴史は古く、今から約1,300年以上も前の771年(和銅4年)、稲荷神社が建立されたときに、京都伏見の深草で九条ねぎの原種の栽培が始まったとされています。その後、834~848年には、九条で栽培されていたという記録が残っています。

九条ねぎは、京野菜の中でも最も歴史が古い野菜の1つなのです。

関東と関西のねぎの違い

関東と関西でねぎの主流が違うのをご存じでしょうか?

ねぎには九条ねぎのように葉の部分を食べる「葉ねぎ」と、白ねぎや下仁田ねぎのように、白い部分を食べる「根深ねぎ」があります。京都をはじめ、主に関西でよく食べられているのは「葉ねぎ」。一方で、関東では「根深ねぎ」が主流。関東では、葉ねぎが広まるまで、緑の葉の部分を食べる習慣はあまりなかったそうです。

カット葱

九条ねぎのおいしい食べ方は?

九条ねぎは肉厚で食べ応えのある食感が魅力です。そのため、薬味としてだけでなく、メインのおかずにもぴったり。生でそのまま食べてもおいしく、サラダなどにするのもおすすめです。また煮たり、焼くなどの加熱調理する際は、ザクザクと大きめにカットすると、その食感と風味を楽しむことができます。

京都ではどんな料理に使われている?

京都では、九条ねぎは鍋やすき焼きに入れたり、煮物や味噌汁の具として使われているようです。また京都には、九条ねぎを使った有名な料理に「衣笠丼」というものがあります。甘辛く炊いたおあげと九条ねぎを卵でとじ、それをご飯にのせた京都のご当地丼です。「衣笠」という名前は、京都の北西部にある「衣笠山」に由来しています。

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九条ねぎを使ったおすすめレシピ

甘さと食感を楽しみたい、九条ねぎを使った2つのおすすめレシピを紹介していきます。

1:九条ねぎのあげ包み焼き

材料(4人分)

・うすあげ… 大1枚
・九条ねぎ… 2本
・赤味噌… 80g
・酒… 60cc
・みりん… 40cc
・砂糖… 30g

作り方

1. うすあげを4つ切りにし、包丁で開いて、袋状にします。
2. 九条ねぎを厚めの小口切りにします。
3. 赤味噌、酒、みりん、砂糖を混ぜ合わせ、味噌だれを作ります。
4. 切った九条ねぎに3の味噌だれ混ぜ合わせます。
5. 開いたうすあげの中に4を入れます(うすあげの3/1ぐらいの量)。
6. 熱したフライパンに油をひかずに、5を並べ強火で加熱します。
7. 両面がきつね色になったら完成です。

2:九条ねぎとしらすのチーズトースト

材料(1枚分)

・九条ねぎ… 1本
・食パン… 1枚
・しらす… 適量
・ピザ用チーズ… 適量
・オリーブオイル… 適量
・ブラックペッパー… 適量

作り方

1. 九条ねぎを厚めの小口切りにしておきます。
2. 食パンにカットした九条ねぎとしらす、チーズをのせて、トースターで焼きます。
3. チーズが溶けたら、お皿に出して、オリーブオイル、ブラックペッパーをかけて完成です。

最後に

京都の伝統野菜「九条ねぎ」。関西で多く食べられてきたものですが、流通が発展すると関東にも浸透していきました。今では全国のデパートやスーパーなどでも多く見ることができます。食べ応えのある食感と甘さが魅力の九条ねぎ。季節ごとに変わるその味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

監修

かね松老舗 上田欣司(うえだ・きんじ)

明治15年から続く老舗の青果店の代表取締役。京都の錦市場を拠点に関西地域で3店舗の運営管理を行なっている。京野菜を中心に商品販売しており、松茸や筍など季節ごとに旬の食材を多数仕入れている。特に松茸に関しては、京都で最も古くから販売しているお店として、京都の知事老舗賞を受賞した経歴を持つ。

構成・執筆/京都メディアライン

引用・参考/『もっと知りたい京野菜』(上田耕司著、淡交社)

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