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2023.08.26

「パンドラの箱」とは?意味や由来、類似表現などを解説

パンドラの箱とは、あらゆる災いの要因を意味する言葉で、ギリシア神話では決して開けてはいけないと命じられていました。しかし箱が開いてしまい、人間界に不幸や災い、悪が広がったとされます。今回は、パンドラの箱の意味や由来、類似表現について解説します。

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「パンドラの箱」は“あらゆる災いの要因”

パンドラの箱とは、あらゆる災いの要因を意味する故事成語です。パンドラの箱を開けてしまったために、不幸や病気、犯罪といった災いが引き起こされたというエピソードから転じて、あらゆる災いの要因のたとえとして使われます。

■ギリシア神話が由来

パンドラの箱はギリシア神話が由来の故事成語であり、「パンドラ」はギリシア神話に登場する、人類最初の女性です。パンドラは、美貌をはじめとしたあらゆる魅力を神から授かっていた一方で、「恥知らずの心」や「虚言」なども併せ持っていました。

ギリシャ神話の女性パンドラが壺の蓋を開けている様子 イラスト

最高神ゼウスによって人間界に送り込まれたパンドラは、箱を持っていました。その箱を「決して開けてはいけない」と言われていたにもかかわらず、パンドラは好奇心から箱を開けてしまいます。それにより入っていた不幸や災いが飛び出し、以後人類は、パンドラが箱を開けたことによってもたらされた災いとともに、生きていかなければならなくなったといわれています。

このギリシア神話がもとになり、パンドラの箱は「触れてはいけない、あらゆる災いの要因」のたとえとして使われるようになりました。

なお、もともと、ギリシア神話ではパンドラが開けたのは「箱」ではなく「壺(つぼ)」です。しかし、古代ギリシア語で壺をあらわす「ピトス」が、途中でラテン語で箱を意味する「ピュクシス」と訳されたことから、いつしかパンドラの箱といわれるようになりました。

パンドラの箱に最後に残ったのは希望

パンドラの箱からあらゆる災いが飛び出した後、最後に残ったのは、古代ギリシア語で「エルピス」と呼ばれる「希望」です。

これに対して、「人類に希望が残された」と肯定的に解釈されることもあれば、「人類には希望にすがって生きる選択肢しか残らなかった」と否定的に解釈されることもあります。

■パンドラの箱を使った例文

パンドラの箱は、「触れてはいけない災いの要因」のほか、「手に負えないことを押しつけられた」ことも表現できます。パンドラの箱を使った例文は、以下のとおりです。

・彼にとってのパンドラの箱とは知らずに、話題に挙げてしまった

・うっかりパンドラの箱を開けてしまわないように、注意したほうがいい

・この大変なときに、マネージャーからパンドラの箱を渡されてしまった

 

パンドラの箱の類語・類似表現

パンドラの箱の類語や類似表現には、以下のような言葉があります。それぞれの言葉の意味や使い方を解説します。

手のひらとSTOPの文字が書かれた赤い円 イラスト

・タブー

タブーは、サモア語やハワイ語などのポリネシア語の「タブ」や「タプ」から派生した、触れてはいけない話や禁忌を意味する言葉です。

もともとは、「はっきり印をつけられる」「区切られる」といった意味で使われる言葉でした。そこから派生して、「神聖」や「禁忌」といった意味をあらわすようになります。「行方不明になった彼の話題を出すことはタブーとなっている」などと使います。

・禁忌

禁忌は「きんき」と読み、やってはいけないことや慣習的に避けることなどを意味する言葉です。「イスラム教徒が豚肉を食べることは禁忌とされます」といったように使います。

・禁句

禁句は「きんく」と読み、使ってはいけない言葉を指す言葉です。その言葉を使うことで、相手の気分を害したり刺激したりすることを避けます。「受験を控えた彼女の前で、落ちるという言葉は禁句だよ」というように使いましょう。

・玉手箱

玉手箱は、竜宮城に行った浦島太郎が乙姫からもらった箱のことです。乙姫から決して開けてはいけないと言われていたのに開けてしまったために、浦島太郎は一瞬で老人になりました。開けてはいけないと言われていたことや、開けてしまったことで災いや老化を引き寄せたという意味では、パンドラの箱とよく似ているといえるでしょう。

しかし、「玉」には美しいという意味があるため、玉手箱は美しい手箱を意味する言葉としても使われる点に注意しましょう。

・不興を買う

不興を買うは「ふきょうをかう」と読み、自分の言動によって相手の機嫌を損ねるという意味で使います。「忠告したら、不興を買ってしまった」などと使います。目上の人に対して使うことが多いですが、目上の人にしか使えないわけではありません。

・忌諱に触れる

忌諱に触れるは「ききにふれる」と読み、自分の発言や行動で目上の人の機嫌を損ねるという意味の言葉です。「その言葉が忌諱に触れ、厳しい追及を受けた」といった使い方をします。不興を買うと違い、相手が目上の人に限定される点がポイントです。

パンドラの箱と同様にギリシア神話が語源の表現

パンドラの箱と同じように、ギリシア神話を語源とする表現には、「トロイの木馬」や「アリアドネの糸」などが挙げられます。それぞれの意味をみていきましょう。

ギリシャの神殿の遺跡 イラスト

「トロイの木馬」

トロイの木馬とは、安全なプログラムに見せかけてユーザーを油断させてから、システム内に侵入する、悪意のあるソフトウェアの一種です。感染すると顧客情報や口座番号などの重要情報を盗まれたり新たな攻撃の踏み台にされたりと、さまざまな被害を被ります。

ギリシア神話では、ギリシアが強固な守りのトロイを攻めるために、内部に兵を忍ばせた巨大な木馬を使い、トロイの陥落に成功したというエピソードがあります。安全に見せかけてシステム内部に侵入するさまが、兵をしのばせた木馬に重なることから、トロイの木馬と呼ばれるようになりました。

「アリアドネの糸」

アリアドネの糸は、「困難な状況から脱出するための道しるべ」のたとえとして使用される言葉です。ギリシア神話において、怪物ミノタウロスを討伐するために迷宮に入り、脱出方法に悩んでいたテセウスにアドバイスをくれたのが、アリアドネという少女です。

ミノタウロスを倒したテセウスは、アリアドネに教わった「糸を張りながら迷宮内を進み、自分の糸をたどって戻る方法」によって、無事に元いた場所に戻れたといわれています。

パンドラの箱の意味や由来を知ろう

パンドラの箱とは、あらゆる災いの要因を意味する言葉です。パンドラという人類最初の女性が、開けてはいけない箱を開けてしまったために、人間界に不幸や災い、悪が広がってしまったというギリシア神話のエピソードが由来とされます。パンドラの箱の意味や由来を知り、正しく使えるようにしましょう。

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