考え方は人それぞれ
社会で他者と関わりながら生きていくうえで、意見が衝突してしまうこともありますよね。無益なぶつかり合いは避けたいですが、なにか物事を変えたり改善しようとしたりするときには、お互いの意見や気持ちを言い合って、理解しようと歩み寄ることが大切だと感じることもあるのではないでしょうか。
「三者三様」は、そんなときにも使える言葉。本記事では、「三者三様」の意味や使い方、類語表現などを一緒に深掘りしていきましょう。
「三者三様」とは?
それでは早速、「三者三様」の意味から説明します。
「三者三様」の意味
「三者三様」とは、「考え方や捉え方、やり方、言動などが人それぞれ違う」ということ。「三者」は言葉の通り「三人」、「三様」は「三つの様子」と捉えるとわかりやすいでしょうか。3人いれば、3つの考え方ややり方があるということを表しています。
人の数だけ考え方ややり方、こだわりがあるのだから、それぞれ異なる部分があるのは当たり前ですよね。そんなときにも「三者三様」という言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。
「三者三様」の使い方を例文で紹介
続いて、「三者三様」の使い方について紹介します。「三者三様」は、さまざまな場面で使うことができる便利な表現です。この機会に、使い方を押さえておきましょう。
1:「考え方は三者三様なんだから、○○の好きなほうを選んだらいいと思うよ。後悔のないようにね!」
カジュアルな場面や友人相手にも、「三者三様」という言葉を使うことができます。この例文のように、アドバイスをしたりたしなめたりするときに便利な表現です。
2:「三者三様の意見が飛び交い、ミーティングは終了時間を大幅に超過しても、結論を出すことはできなかった」
「三者三様の意見が飛び交う」という表現はよく使われます。このときの「三者三様」は、必ずしも3人の意見というわけではありません。この例文では、「たくさんの意見」の比喩として用いられています。
3:「季節の変わり目だからか、街中では半袖の人も長袖の人もいて三者三様の装いが目立った」
意見や考え方などの概念だけでなく、目に見える外見などに「三者三様」を当てはめて使うこともできます。「いろいろな装い」と表現するよりも、かしこまった印象を与えられるかもしれません。
「三者三様」の類語表現について
ここまでは、「三者三様」の意味や使い方について見てきました。ここからは、範囲を広げて「三者三様」の類語表現について紹介します。
1:三人三様
「三者三様」とほとんど同じ漢字を用い、意味も同じ言葉が「三人三様」です。違いは「者」と「人」のみ。「さんにんさんよう」と読みます。
たとえば「三人三様の考え方を受け入れるべきだ」のように使うことができ、「三者三様」と置き換えが可能です。
2:千差万別
「さまざまな違いがあること」や「多くの差異があること」を「千差万別」といいます。「せんさばんべつ」「せんさまんべつ」「せんしゃばんべつ」「せんしゃまんべつ」と、読み方にばらつきはありますが、意味は一緒です。「趣味や好みは人によって千差万別だ」というように使います。
3:各人各様
「人によってそれぞれやり方などが違うこと」を「各人各様」といいます。読み方は「かくじんかくよう」です。「各人各様で目的地まで行くことになった」のように使えば、「それぞれの方法で目的地に行く」というニュアンスになります。
4:蓼食う虫も好き好き
慣用句も紹介します。「蓼食う虫も好き好き」とは、「ある人が好まないものでも、別の人にとっては好みである」という意味です。人の好みはさまざまであることを表しています。
「蓼」は「たで」と読み、タデ科で辛みがある植物として有名です。つまり、辛みのあるタデでも好んで食べる虫もいるように、好みはさまざまだということですね。
5:十人十色
「十人十色」は、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。「考え方や趣味嗜好などが人によって異なる」ということを表した言葉が「十人十色」です。「十人寄れば十色」といったりもします。「十人集まれば、十人全員が違う好みや個性を持っている」ということを「色」で表現した言葉です。
最後に
「三者三様」のニュアンスや使い方、類語表現はしっかり押さえられたでしょうか。「三者三様」とは、「考え方や捉え方、やり方、言動などが人それぞれ違う」ということ。
人が大勢集まれば、意見や好みもその人数分だけあるはず。ときにはぶつかってしまうこともあるでしょう。大切なのは、それらの意見を排除したり否定したりするのではなく、お互いが理解しようと歩み寄り、みんなにとって1番よい方法がないか模索していくことなのかもしれません。
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