【例文】
・毎年、ハロウィンがやってくると、渋谷のスクランブル交差点周辺は、立錐の余地もない状態になります。
・今年に入ってから外出する人が増えたため、この週末に開催されるイベント会場はきっと、「立錐の余地もない」と報道されるでしょう。
・私は人ゴミが大嫌いなので、立錐の余地もないところはずっと避け続けてきました。
「立錐の余地もない」の類義語・類似表現5つ
「立錐の余地もない」には類義語・類似表現がいくつかあります。おもなものは以下の5つです。
それぞれの意味・読み方・例文を解説します。
「密」
密とはこまかいこと、すきまのないこと、またはそのさま、ゆきとどいていること、関係が近いことなどの意味があります。近年は「三密」という語句でも使われており、注目された言葉といえるでしょう。読み方は「みつ」です。
【例文】
・ここ数年、密な空間を避けるようにしてきましたが、気にしすぎることに疲れていたところはあります。
・彼は彼女との密な関係を死ぬまで誰にももらしませんでした。
「稠密」
稠密とは、一つの場所に多く集まって混み合っていること、もしくはそのさまを表す言葉です。読み方は「ちゅうみつ」です。よくある誤った読み方として、「ちょうみつ」がありますが、正しくは「ちゅうみつ」なので、注意してください。
【例文】
・この森林の大きな特徴は笹の稠密な分布であるため、もしもここにパンダが生息していたら、大喜びしたことでしょう。
・都市部の中でもこの地区はとくに高層ビルが稠密に立ち並んでいます。
・歴史のあるこの街には、文化財が稠密に点在しています。
「過密」
過密とは、込みすぎていて少しの余裕もないこと、もしくはその状態を表す言葉です。日常生活でもよく登場する言葉といえるでしょう。読み方は「かみつ」です。
【例文】
・この一帯は人口過密地域だから、何かあったときのために、避難ルートを知っておく必要があります。
・信号トラブルが原因で、大幅に交通が乱れたため、私が乗っている電車の車両は、過密という言葉を通り越しているため、呼吸困難になりそうです。
・我が校の哲学教授の授業は大人気なので、いつも教室の中は受講生で過密な状態になっています。
「櫛比」
櫛比とは、くしの歯、もしくはくしの歯のようにすきまなく並んでいることという意味の言葉です。櫛(くし)の状態をイメージすると、言葉の意味がわかりやすいでしょう。読み方は「しっぴ」です。難読漢字なので、意味と同時に読み方も覚えておくことをおすすめします。
【例文】
・この丘から見える櫛比した屋根のつらなる景色は、なかなか壮観です。
・橋から池に向かって手をのばすと、鯉の大群が押し寄せてきて、櫛比のように湖面から顔をのぞかせました。
「軒を並べる」
軒を並べるとは、軒を接するように多くの家が密集して立ち並んでいるという意味です。日常会話でもよく使われる表現といえるでしょう。読み方は「のきをならべる」です。
【例文】
・温泉街の狭い道の両側には、軒を並べるように土産物屋がたくさんありました。
・閑静な住宅街に隣接しているこのエリアは、素敵なカフェやレストランが軒を並べる、マダムに人気の高いスポットです。
「立錐の余地もない」の意味を知って正しい使い方をしよう
「立錐の余地もない」とは、わずかなスペースもないほど、人や物が密集していることを表現する言葉です。「立錐」とは錐(きり)が直立している状態を表しています。もともとは中国の「呂氏春秋」や「史記」が語源です。
日常会話やニュースでもよく登場する言葉で、観光地やイベント会場などが混雑しているときに、使われるケースの多い表現といえるでしょう。「立錐の余地もない」の意味を理解して、正しい使い方をしてください。
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