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2023.07.29

誤用されがちな「他山の石」の正しい意味は?|由来から類語・対義語、注意点までご紹介!

他山の石(たざんのいし)という言葉をご存じでしょうか。「他山の石」は日常ではあまり馴染みのない言葉ですよね。うっかり間違った使い方をしてしまうと、非常に失礼な意味となってしまうため、本記事で正しい意味や使い方を学んでいきましょう。

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「他山の石」ってどんな意味

他山の石(たざんのいし)の意味を、正確に理解している方は少ないとされています。文化庁がおこなった「国語に関する世論調査」によると、正しい意味を回答できた方は全体の26.8%でした。調査結果からは、多くの方が誤用している、またはわからない(知らない)状況であると判断できます。それでは「他山の石」の正しい意味とは、どのようなものなのでしょうか。本章で解説していきます。

参考:文化庁「言葉のQ&A

■言葉の意味

他山の石について、辞書で解説されている本来の意味は、以下の通りです。

よその山から出た、つまらない石。
転じて、自分の修養の助けとなる他人の誤った言行。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

シンプルに言い換えると、他山の石とは「他人の誤った言行も自分の行いの参考となる」といった意味です。よくある誤用としては「他人のよい行いは自分の参考(手本)になる」という意味で他山の石を用いてしまう場合です。他山の石はあくまでも、他人のよくない言動・誤った言動であっても、自分の参考にできるという意味で使用します。

■言葉の由来

「他山の石」は、中国で最も古い詩集である『詩経』が出典とされています。言葉の語源は『小雅・鶴鳴』という詩の一節です。詩の中には「他山の石、以て玉を攻むべし」という記載があります。これは「他の山から持ち帰った価値のない石でも、自分の玉を磨く砥石として利用できる」という意味を表しています。

これが転じて『他山の石』は「他人の間違った言動でも、自分の成長に役立つ」といった意味で用いられるようになりました。

「他山の石」の類義語・言い換え表現は?

他山の石には、複数の言い換え表現があります。まったく同じ意味で用いられる言葉もあれば、少しニュアンスが異なる表現もあるでしょう。本章では「他山の石」の類義語・言い換え表現として、以下の4つをご紹介します。それぞれの言葉を、他山の石と比較しながらチェックしていきましょう。

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1.反面教師

「反面教師(はんめんきょうし)」とは、悪い見本となる事柄や人物のことを指した表現です。もちろんただ見本にするだけでなく、自分自身の言動に対する、反省や戒めとして活用するという意味も含まれています。このことから反面教師は、他山の石と非常に近い意味であることがわかります。

2.人を以て鑑と為す

「人を以(もっ)て鑑(かがみ)と為(な)す」とは、他者の行動を見て、自分自身の行動を正すという意味で使われます。他人を自分の行動に生かすといった点は、他山の石と同様です。しかしこの場合は、参考にする他人の行動には「よい言動」も含まれます。

3.人のふり見て我がふり直せ

「人のふり見て我がふり直せ」もまた、他山の石と似た意味で用いられる言葉です。人の行為を見て、よいところは真似をし、悪いところは戒めにするといった意味で使われます。

「人を以て鑑と為す」と同様に、必ずしも他人の悪い行動だけを参考にするという意味ではありません。他人のよい行動も悪い行動も、どちらも自分自身に生かすという点がポイントです。

4.前車の覆るは後車の戒め

「前車(ぜんしゃ)の覆(くつがえ)るは後車(こうしゃ)の戒(いまし)め」とは、先人の失敗は、後に続く者への教訓になるという意味の言葉です。先人と同じ失敗を繰り返さないようにといったニュアンスも含まれています。

「他山の石」の対義語は?

「他山の石」には、対となる言葉も存在します。基本的に、他山の石は「他人の悪い行い」に注目することに対して、対義語とされる言葉は「よい行い」を参考にするという意味で使われます。本章では「他山の石」の対義語として、以下の3つを解説していきますので、覚えておきましょう。

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1.爪の垢を煎じて飲む

「爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)」とは、立派な人の言動を真似して、自分自身を高めていくという意味。優秀な人の「爪の垢」を飲むというのはつまり、その人にあやかろうという意味です。

2.朱に交われば赤くなる

「朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)」は、人というのは関わる相手によって、よくも悪くもなるという意味で使われる言葉です。相手の行動を自分の戒めにするのではなく、そのまま流されてしまう点が、他山の石とは対をなすところでしょう。

3.薫陶を受ける

「薫陶を受ける(くんとうをうける)」は、他人からよい影響を受けるという意味で使われます。「薫陶」とは、人を感化させることや、教育することを表しています。それらを受ける、つまり影響されるという意味です。

「他山の石」の使い方

ここまでの内容から、他山の石に関する意味や言い換え表現、対義語についておわかりいただけたでしょう。実際に他山の石は、会話や文章の中で、どのように使われているのでしょうか。

エクスクラメーションマークのプレートと虫眼鏡 イラスト

本章では、具体的な例文を用いて、他山の石の使い方をご紹介していきます。また使用する際の注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

〈例文〉

他山の石の例文としては、以下の3つです。ぜひ自分自身が使用する際の参考にしてください。

1.世間からの批判が集まっているA社の謝罪会見は、他社にとって他山の石となった

2.少しの油断が招いた大事故を、他山の石以って玉を攻むべしとすべきだろう

3.他人のミスを笑っている暇があったら、他山の石として己を磨くことに努めよう

 

■使い方の“注意点”

他山の石の使い方として注意しなければならないのは、やはり「相手の悪い行い・失敗」に限って使用される表現である点です。爪の垢を煎じて飲むなどのように、謙虚に学ぶといった意味では使われません。

したがって目上の相手に、他山の石を使ってしまうと「あなたのような失敗をしないように気をつけます」といった意味になってしまいます。

失礼のないよう「他山の石」は正しく使おう!

他山の石という言葉について、その意味や言い換え表現、対義語、使い方をご紹介しました。他山の石は相手のよくない行いを、自分自身の教訓や戒めにするという意味で使用されます。意味を正しく理解しないまま使用してしまうと、相手に対して失礼な発言になってしまうかもしれません。そうならないよう、本記事の内容を参考にしてください。

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