几帳面とは
人の性格を表す「几帳面」という言葉は、具体的にどのような意味を持つのでしょうか。神経質との違いも併せて理解しておきましょう。
語源は平安時代の家具の細工
「几帳面」は、細部にわたって行き届き、きちんとしている様子を意味する言葉です。「几帳面な人」「几帳面な働きぶり」などの表現で用いられます。几帳面な人は、仕事を丁寧に行ったり、時間をしっかりと守ったりすることが特徴です。そのため、何でも安心して任せられる人として評価されることが多くみられます。
語源は、平安時代に使われていた家具の細工です。「几帳」という家具が、貴人用に使う間仕切りや風除けのための家具として用いられていました。几帳の角を削り、細工として刻み目を入れた部分が「几帳面」と呼ばれており、隅々まで丁寧に細工が施されていたことから、そのようなきちんとした様子を「几帳面」と表現するようになったとされています。
【几帳面:きちょうめん】
[1]
角柱の角につけた面の一。角そのものは残すように、両側に段をつけたもの。もと几帳の柱によく用いられたところからいう。
[2]
細かいところまで、物事をきちんと行うさま。決まりや約束にかなうように正確に処理するさま。
「―な性格」「時間を―に守る」
神経質との違い
几帳面と似た意味の言葉として、「神経質」という言葉が比較されます。神経質という言葉は、「細かいことによく気が付く」という意味で使われる言葉です。言葉の持つニュアンスとしては、几帳面とそれほど変わりません。しかし、几帳面とは異なり、神経質は「細かすぎる」「ささいなことでも反応する」など、マイナスの意味を表す場面で使われます。
【神経質:しんけいしつ】
1.情緒的に不安定で、わずかなことにも過敏に反応して自分を病的な状態だと思い込む気質。
2.細かいことまでいちいち気に病むさま。
「見かけによらず―な男」「他人の評価に―になる」
(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
几帳面な人の特徴
几帳面な人には、どのような特徴があるのでしょうか。主な特徴を三つ紹介します。
整理整頓が好き
几帳面な人は、「整理整頓を好む」傾向があります。部屋の中が散らかっていたり、小さなホコリやゴミがあったりすると、きれいにしなければ気が済まない性格なのです。細かいことに気が付きやすいため、いつも部屋をきれいにしている場合は、小さなゴミなどにもすぐ気が付きます。
計画性がある
何をするにも「入念な準備を欠かさない」ことも、几帳面な人の特徴です。例えば、職場で大勢の人を前に発表する予定があるような場合、準備や練習に余念がありません。例え起こりうる可能性は低くても、想定できるシチュエーションへのシミュレーションはきちんと行います。予想される質問への回答を考えておくなど、本番でいかなる失敗も許されないという状況を想定して準備をします。
このような性格は、計画性があるとも表現されます。何かをする際に初めから終わりまでしっかりと計画を立てることを好み、旅行に出かけるような場合も、移動手段や宿泊先を決めるだけでなく、立ち寄る場所や滞在時間などに関してもきっちりとスケジュールを作成したりします。
手抜きをしない
几帳面な人は計画性があるので、どんなにささいなことでも手抜きをしません。手を抜いたことが大きな問題を引き起こす可能性を考え、徹底して細部にまでこだわります。普通の人なら「このくらいは大丈夫だろう」と考えるようなことに対しても、自分が納得がいくまで対応しようとするのです。
ビジネスにおいては、後回しにした方がよいような細かい問題は常に発生するものです。効率的に仕事を進めていこうとするなら、今やるべきことを優先すべきという場合があります。しかし几帳面な人は、程度の大小を問わず全ての問題を解決しようと試みます。「もし放っておいたことが明日指摘されたら」などという心配をしてしまう性格の持ち主です。
几帳面な人の長所
几帳面という言葉がよい意味で使われることが多いということは、前述したとおりです。几帳面であることがプラスに働く場面を考えてみましょう。