【目次】
・人を褒めることの利点は?
・上手な褒め方のポイント4つ
・あらゆるシーンで使える「さしすせそ」
・こんな使い方はNG
・番外編 子どもを褒める場合のポイントは?
人を褒めることの利点は?
人に褒められたときにどのような感情を抱きますか?多くの人は「うれしい」「もっと頑張ろう」と好意的に感じるのではないでしょうか。人を褒めることで人間関係がスムーズになったり、相手のモチベーションを上げたりと利点がたくさんあります。
人間関係がスムーズになる
褒めるためには、相手自身の美点を「認める」ことと、それを「伝える」ことが必要です。たとえ小さな美点であったとしても、褒めることで「よく見ていてくれている」「理解してくれている」と相手に好意的に伝わります。
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人は自分に好意的な人には好印象を持ち、相手にも好意的に接しようとするものです。人から何かしてもらったときに、お返しをしようという気持ちが働くことを心理学では「返報性の原理」といいます。人間関係をスムーズにするためにもお互いが好意的に接するように努めることが大切です。褒めることは好意を伝える最強のコミュニケーションツールといえます。
相手のモチベーションUP
子どもの頃、親に頑張ったことを褒められ「もっと頑張ろう」と自信とやる気を得た経験はありませんか?人はどうでもよい相手や期待していない相手を褒めることはありません。褒めることは「あなたに期待している」という気持ちを伝えることでもあります。人からの期待は、モチベーションアップに効果的です。相手に積極的に動いてほしい・頑張ってほしいと感じたときは、褒めることが有効といえます。
上手な褒め方のポイント4つ
褒めるときは適当に褒めればいいわけではありません。むしろ、適当に褒めたことが伝わると「社交辞令」とネガティブに受け取られる可能性が高いです。上手に褒めるポイントを4つに分けて解説します。
褒めるときは具体的に
褒めるときは、褒める内容を具体的に示すことが大切です。例えば、相手の頑張りを褒めるシチュエーションがあったとします。「頑張ったね」と簡潔に褒めることは誰が相手でもできることです。相手によっては見え透いた社交辞令と受け取られることもあるかもしれません。
しかし「~なところを頑張ったね」と具体的に褒めることで、相手自身に「自分のことを見てくれている」という自信や安心感を与えられます。「褒めればいい」という適当な感情は必ず相手に伝わり、信用されることはありません。誠意のある褒め言葉こそが、相手の信用を得ることにつながるのです。
意外な部分を褒める
言われ慣れている褒め言葉は、相手のなかでマンネリ化しているものです。しかし、相手が自分でも気づかなかった部分を褒めることで意外性や新たな感動を与えられます。他人から見過ごされやすい部分にこそ心を動かす褒めポイントがあるものです。「整理整頓をきちんとしている」「相手の気持ちを考えている」など、些細な部分にも目を向けることが求められます。
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相手が短所だと感じていることを「個性である」と褒めることも効果的です。例えば、頑固な人であれば「意思が強い」、緊張しやすい人であれば「真面目で頑張り屋」ともいえます。相手が短所を気にしているときは、長所に言い換えて褒めてあげるとよいです。
質問形にする
「すごいね!」「さすがだよね」などの直接的な褒め言葉は、人によっては「恥ずかしい」と感じるものです。褒め言葉に対して強く謙遜を示す相手の場合は、質問形にして褒める形で対策します。例えば、相手の仕事の早さを質問形で褒めたい場合は「どうしたらそんなに作業が早くなったの?」という風にアプローチするのです。
質問形にすることで、相手の頑張りや褒めポイントを理解しているという説得力が増す上に、相手自身も「それなら~」と答えやすくなります。また、質問をすることでコミュニケーションが活発になり、人間関係がスムーズになることもメリットです。
本人がいないところで褒めるのもあり
直接言われるよりも第三者から伝わるほうが信頼性・信憑性が増すことを、心理学では「ウィンザー効果」といいます。本人を直接褒める以外にも、第三者を通して褒め言葉を伝えることも方法の一つです。第三者から「あなたが褒めていた」という事実が、褒めたい本人に伝言形式で伝わったとします。
褒められた本人は、褒められたことへの喜びだけでなく「他の人にも良い形で話してくれている」という事実も合わさり、直接伝える以上に相手を喜ばせる効果が生まれるのです。間接的に褒め言葉が伝わることで、褒め言葉の真実味も増します。伝言で伝わることを加味して、具体的かつ簡潔に褒めることがポイントです。
あらゆるシーンで使える「さしすせそ」
料理の際に使用する調味料を指す「さしすせそ」ですが、実は褒め言葉の「さしすせそ」も存在します。上手な褒め言葉は、人間同士の関係性をおいしく味付けしてくれる調味料です。褒め方や褒め言葉に迷ったときは、褒め言葉のさしすせそを活用します。
ビジネスで使える褒め言葉
ビジネスで使える褒め言葉は「さすがです」「知りませんでした」「すごいです」「センスありますね」「そうなんですね」の五つです。褒め言葉であり「相手を称える言葉」でもあるため、上司・先輩・取引先などの「目上の人」に対しても使えます。ただし、取って付けたように使用すると「心にもないお世辞」として伝わる恐れがあるため注意が必要です。
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ビジネスの場で褒め言葉を使用するときは、具体的なエピソードと褒め言葉のさしすせそをセットで使用します。例えば、先輩から自分の知らない知識を教わったときは「~なんですね。知りませんでした!」と、教わった知識を復唱する形で褒めるとよいです。
子どもをやる気にさせる魔法の言葉
子どもは褒められることで「認められた」という喜びを感じます。同時に「もっと頑張ろう」「また褒められたい」と、やる気を生み出すことにもつながるのです。子どもをやる気にさせたいときは「さすが」「上手」「すごい」「正解」「そうだね」の五つを活用します。子どもの成長を促すためにも「何を褒めたのか」を説明してあげるとよいです。
漠然と「すごいね!」と褒められるよりも「お片付けが1人でできてすごいね!」と褒められたほうが、子ども自身が「なぜ褒められたのか」を学習できます。「できた事実」を褒めることが、子どもの自己肯定感や達成感を高めるのです。
こんな使い方はNG
褒めたつもりなのに「正しく伝わらなかった」「相手を怒らせてしまった」という経験はありませんか?褒め言葉は相手のモチベーションアップや人間関係の円滑化につながる一方で、使い方を間違えると相手にフラストレーションを与えたり人間関係を阻害したりすることもあります。
人と比べたり余計な言葉を付け足す
「〇〇さんはできなかったけど、××さんはしっかりできてすごいね!」という風に他人と比較して褒めることはNGです。相手は褒められてうれしいと感じるどころか、他人と比較されたことを不愉快に感じる可能性があります。比較の意図が伝わると「常に誰かと比べた良し悪しで見られている」と思われてしまうのです。また「今回は褒められたことでも、自分よりできる人がいたら褒められない」というネガティブな印象を抱かれてしまいます。
また、人間関係において比較することはけなすことと同じ意味です。「影では自分の悪口を言われている」と勘ぐられるかもしれません。他人と比較することは控えて、相手の行いだけを褒めることが大切です。
大げさでわざとらしい言葉を使う
褒め方や上手な褒め言葉が分からないことで、過剰な表現になっていませんか?過剰な褒め言葉には説得力がありません。オーバー気味に「すごい!」「尊敬するよ」と褒められた相手は、軽視されていると感じてしまいます。また、過剰な褒め方は「相手の気持ちをコントロールする」材料にしていると捉えられてしまう恐れがあります。
円滑な人間関係を築くどころか「信用ならない人」というネガティブなイメージを植え付けかねません。褒め方が分からないときは、褒め言葉のさしすせそを活用したり素直に感謝の気持ちを伝えたりと「シンプルに褒める」ことを心がけます。
不信感や不快感を与える褒め方
事実と異なることを褒めることもNG項目の一つです。例えば、見るからに顔色が悪い人に対して「元気そうだね」と褒めることは、皮肉と受け止められ不信感を与えてしまいます。
「かわいいね」「足が長くていいね」のようにルックスや個人の努力と関係ないことを褒めることも避けるべきです。自分にとっては褒め言葉の意味でも、相手のなかでは気にしている事柄かもしれません。場合によってはセクハラに当てはまり、トラブルの原因につながります。褒めるときは「自分がどう思うか」ではなく「相手の喜ぶこと」を想像することが大切です。
番外編 子どもを褒める場合のポイントは?
意味もなく「すごいね!」と褒めているだけでは、子どもの成長にはつながりません。また、何でも褒めていては子どものなかに良くない甘えが生まれ、わがままばかりの子どもに育つ恐れがあります。子どもの健やかな成長を願うのであれば、子どものためになることを考えて褒めることがポイントです。
子どもの存在自体を肯定する
子どもを褒めるシチュエーションは、子どもの良い行動だけではありません。「生まれてきてくれてありがとう」「お母さんは一緒にいれてうれしいな」など、子どもの存在自体を肯定して褒めることも大事です。
存在することを無条件に褒められることで、子どもは親の愛情を実感します。そして、自分の存在価値を認めて、自分自身を大切に思えるようになるのです。自分に対しても思いやりを持てるようになると、他人に対しても思いやりを持って接するようになります。また、自信がつくことで物事をポジティブに見ることができるようになり、将来的に自己主張ができる子どもに育つのです。
努力の過程もしっかり褒める
子どもが何かを達成したときに褒めることと同じく、子どもが「努力したこと」を褒めることも大切です。努力をしてできるようになる一方で、達成するまでに時間がかかるものもあります。しかし、子どもにとって何かを頑張れたこと・頑張ることは将来にも活きる財産です。たとえできなくても「できるように頑張ったこと」は、しっかり褒めてあげます。子どもは頑張ったことも褒められると知れば、チャレンジする気持ちを持つようになるのです。
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