「終わりよければ全て良し」とは?基礎知識を解説
「終わりよければ全て良し」の読み方は〈おわりよければすべてよし〉で、「物事は最後の締めくくりが大切であること」を指して使う言葉です。このことわざは、日常生活だけではなくビジネスシーンでもよく使われています。また、座右の銘としても人気です。
はじめに、終わりよければ全て良しの詳しい意味や語源、関連するピーク・エンドの法則、例文について、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
■意味は「物事は結末が大切であること」
【終(お)わり良(よ)ければすべて良(よ)し】
物事は、結末さえよければ、発端・過程がまずくても問題にならないということ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
終わりよければ全て良しとは、「物事は発端や過程よりも最後の締めくくりが大切であること」「物事は結末がよければその過程がどうであっても問題にならないこと」を意味することわざです。
もしも途中でトラブルになったり失敗したりしても、最終的に良い結果になればその途中に起こったことは問題にならないことを指しています。くじけそうになったときでもまた頑張ろうと思えるような、ポジティブな気持ちになれる言葉です。
たとえば、ディナーにいったお店がガヤガヤと騒がしくて、少し嫌な気分になっていたとします。しかし、帰り際に店員さんが「本日は店内が騒がしくて申し訳ありません。ありがとうございました」と丁寧な対応をしてくれたならば、お店に対して良いイメージを持てるでしょう。
■終わりよければ全て良しの語源
終わりよければ全て良しという言葉の語源となったのは、イングランドの劇作家のウィリアム・シェークスピアが発表した戯曲のタイトル「All’s well that ends well」だといわれています。これを和訳したものが<終わりよければ全て良し>です。
その戯曲では、好きな男性に振り向いてもらって結婚するために、女性があの手この手を使います。最終的にはその男性と両想いになれたため、「終わりよければ全て良しだ」といえるという内容です。
なお、All’s well that ends well.はもともとあった言葉で、シェークスピアの戯曲によって広まったなどの説もあるようです。
■終わりよければ全て良しは座右の銘におすすめ
前向きな気持ちになれる表現であるため、終わりよければ全て良しということわざは座右の銘としてもよく挙げられます。とくにいつもポジティブな気持ちでいたい人におすすめです。
座右の銘とは、「いつでも身近なところに置いておく心の標語」のような言葉であり、仕事で頑張りたいときや自分を変えたいときなどに支えになってくれます。選ぶ言葉は、ことわざや四字熟語、歴史上の偉人の残した名言、漫画のセリフなどさまざまです。
■関連するピーク・エンドの法則
ことわざに関連して、終わりがよければ本当に良かったと思えるのかどうかの実験がおこなわれています。
もう一度やるならば「A:痛みを感じるくらい冷たい水に60秒間手をつける体験」もしくは「B:痛みを感じるくらい冷たい水に90秒間手をつける体験」のどちらをするかという問題です。Bの体験は、最後の30秒間の温度を少しだけ上げています。
通常であればAを選ぶ人が多そうです。しかし、実際には多くの被験者がBを選択しました。これは、物事の判断基準として「絶頂」と「終わり」の印象が強いという法則があるためだといわれていて、マーケティングでも活用されています。
■終わりよければ全て良しの例文
終わりよければ全て良しということわざの使い方を理解するために、例文をチェックしておきましょう。
・両親からの反対にあってしまって駆け落ちの話まで出ていたけれど、最終的には両親を説得できて、無事に結婚できたよ。終わりよければ全て良しだね。
・一時はどうなることかと思ったけれど、きちんと納期までに納品できたね。終わりよければ全て良しだよ。
終わりよければ全て良しの類語・対義語
終わりよければ全て良しと似たような意味を持つ類語と、逆の意味を持つ対義語は、以下のとおりです。
・終わりよければ全て良しの類語……「勝てば官軍負ければ賊軍」「細工は流々仕上げを御覧じろ」
・終わりよければ全て良しの対義語……「1年の計は元旦にあり」「ローマは1日にしてならず」
それぞれチェックしていきましょう。
■終わりよければ全て良しの類語
終わりよければ全て良しの類語は、以下のとおりです。
〈勝てば官軍負ければ賊軍〉
道理はどうであっても、勝敗の結果によって戦いに勝ったほうが正義になり、負けたほうが悪の立場となりうるというたとえ。終わりの結果によって評価が変わるということ。
〈細工は流々仕上げを御覧(ごろう)じろ〉
それぞれのやり方には流儀があるものだ。途中ではなく、結果を見てほしいということ。
■終わりよければ全て良しの逆となる対義語
終わりよければ全て良しの対義語は、以下のとおりです。
〈1年の計は元旦にあり〉
その1年をどうするのかという計画は元旦に立てるべきである。物事で重要なのは始まりだという言葉。
〈ローマは1日にしてならず〉
大事業は、長い期間努力しなくては完成されないものである。素晴らしい功績を立てようとするならば、過程における小さな積み重ねが大事だという言葉。
このように、物事における始まりや過程が大切であることを指した言葉は、物事は最後が大切だという終わりよければ全て良しで表す内容と逆だといえるでしょう。
終わりよければ全て良しの意味を理解しよう
終わりよければ全て良しとは、物事は発端や過程よりも最後の締めくくりが大切であることを意味することわざです。
語源となったのは、シェークスピアが発表した戯曲のタイトル「All’s well that ends well」を和訳したものだといわれています。くじけそうになったときでも、また頑張ろうと前向きな気持ちになれる言葉であり、座右の銘としてもおすすめです。
終わりよければ全て良しの意味や関連する言葉を理解して、正しく使えるようになりましょう。
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