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【目次】
レタスはどんな野菜?
レタスは、葉を野菜として食べるキク科の植物です。和名では「チシャ」と呼ばれ、春や秋に収穫されることが多く、日本では産地によって旬が変わります。
大きく4種に分かれますが、その種類によって含まれている栄養成分も異なります。形が似ているキャベツも同じ葉野菜ですが、鉄やビタミン類の量が大きく異なっています。
■レタスの旬と種類について その特徴は?
レタスは原産地のヨーロッパでは春から夏にかけてが旬です。日本では春と秋に収穫される地域が多いようですが、通年市場に出回ります。 レタスは大きく分けて4種類あります。
丸い形の「玉チシャ」、ロメインレタスなど葉が巻いていない「立ちチシャ」、サニーレタスなどの「葉チシャ」、サンチュなどの「掻きチシャ」です。
チシャはレタスの和名で、芯を切ると白い汁がでることから「乳草」と呼ばれたことに由来します。
■種類による栄養素の違い、キャベツとの違いも解説
レタスは種類によって、含まれている栄養素の量も異なります。よく似た野菜としてキャベツがあげられますが、ここでは各種レタスとキャベツの代表的な栄養素を以下の表にまとめました。
可食部100gあたり
出典:「文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※図表は編集部にて作成
同じレタスでもカリウムの量が2倍以上含まれるものや、鉄が多いもの、ビタミンA、Eが多いものと種類によって差が見られました。 キャベツはどのレタスよりもビタミンCが多いものの、鉄やビタミンA、Eはレタスより少ないことがわかります。特徴に合わせて選ぶとよいでしょう。
レタスに含まれている栄養素とその効能
レタスは種類によって、含まれる栄養素の量が異なります。その主な栄養素はビタミンACE(エース)、カリウム、食物繊維、鉄です。
それぞれ肌を健康に保つ働きや生活習慣病の予防、貧血予防といった効能が期待できます。ここではそれぞれの栄養素の特徴と、その働きについて解説します。
■美肌に欠かせないビタミンACE
ビタミンACEは抗酸化作用が強いビタミンとして知られ、3種類をまとめてビタミンエース(ACE)とも呼ばれます。 いずれも、体のなかで発生した活性酸素を取り除く作用が強いです。
活性酸素は酸素からつくられ、適量であれば菌などから体を守る免疫作用に関わります。しかし、増えすぎると自分の体を攻撃し、肌の老化の原因となります。人の体は活性酸素を取り除く機能が備わっていますが、年齢とともにその機能が落ちるため、抗酸化ビタミンのような栄養素で補うことが大切です。
なかでもビタミンAは緑黄色野菜に多く、レタスの場合も鮮やかな色をした種類に多く含まれています。
■高血圧やむくみ解消に効果的なカリウム
カリウムは、体のなかの液体の濃度調整に関わるミネラルです。塩の摂りすぎは高血圧をはじめとした生活習慣病やむくみの原因になるとされます。カリウムを摂ることによって、ナトリウムの排泄が促されるため、それらの改善に効果的です。
レタスはカリウムを豊富に含んでいるため、濃い味つけを好む方は意識して取り入れましょう。サンチュやサラダ菜、サニーレタスには、普通のレタスの倍以上含まれます。カリウム不足が気になる方は、この3種がおすすめです。
■腸内環境を整え、生活習慣病予防になる食物繊維
レタスに含まれる食物繊維は、不溶性がほとんどです。食物繊維は水溶性と不溶性に分かれており、それぞれ異なる働きを持ちます。 レタスに多い不溶性食物繊維は、腸のなかで便のかさ増しをする栄養素です。
腸を刺激することで便通をよくし、老廃物をからめとって外に出すことで腸内環境を整えます。 また、食べ物に食感を与えてくれるため、よくかむことにつながり、食べすぎ防止にも効果的です。ダイエットにはもちろん、生活習慣病の予防のためにも積極的に取り入れましょう。
■貧血の予防にうれしい鉄
鉄はレタスのなかでは、サラダ菜やサニーレタスに多く含まれます。鉄はとくに月経がある場合や成長期の子供が不足しがちな栄養素です。 鉄が不足すると酸素を全身に運べなくなり、めまいやだるさなどの不調が起こります。慢性的に不足が続くと起こるのが鉄欠乏性貧血です。
レバーに多く含まれることで有名ですが、レバーは食べすぎるとビタミンAの摂りすぎにつながります。レタスなどの植物性の食品を上手に組み合わせ、吸収がよくなるビタミンCを一緒に摂るとよいでしょう。
レタスをおいしく食べるコツ
レタスはあまり日持ちのしない野菜です。新鮮なものを選んで、保存方法を工夫しましょう。見た目にも、葉がシャキッとみずみずしいことや茎の切り口の色が判断する基準です。
形や重さによっても、状態を見極められます。 保存する際は乾燥しないようにして、野菜室に立てておくことで長持ちします。ここでは、それぞれの具体的な方法を詳しくご紹介します。
■おいしいレタスを選ぶコツ
どのレタスも葉がみずみずしく、切り口が変色していないかどうかをチェックしましょう。 結球タイプは高さがなく、適度にふんわり巻いているものがおいしいです。 持って重いものは詰まっていて量は多くても、育ちすぎの可能性があります。
高さがあるものも、茎が伸びて繊維が固い場合があるためさけましょう。 リーフレタスは葉先が細かく縮れているものの方が食感がよく、おすすめです。
■レタスを長持ちさせるコツ
レタスを長持ちさせるには、乾燥させないことが大切です。丸ごと保存する場合は濡れた新聞紙に包んだり、ラップや袋でしっかり覆ったりしましょう。 切り口の部分に、湿らせたペーパータオルなどをあてるとさらに長持ちします。向きは、茎の切り口を下にして立てて野菜室に入れましょう。
また、葉を分けて保存する場合は手でちぎるようにしましょう。包丁で切ってしまうと細胞が壊れてしまい、切り口が変色しやすくなります。
レタスの栄養を上手に摂る調理のポイント4つ
レタスの栄養を効果的に取り入れるために気をつけるべきポイントは「下処理の方法」「加熱時間」「組み合わせる食材」「不溶性食物繊維の量」の4つです。 ここでは、それぞれの具体的な方法について解説します。
1.生で食べる際のポイント
生のままレタスを食べると、水溶性の栄養素や熱に弱い栄養素も無駄なく食べられます。その際気をつけたいのは、下処理方法です。細かく切ったりちぎったりしてから水にさらさないように気をつけましょう。
食べやすいサイズにしてからの方がシャキッとするのは早いですが、その分切り口から栄養素が流れ出やすいです。大きい葉のまま洗ったり、水につけたりして、あとからちぎりましょう。
2.加熱する際のポイント
加熱に弱い栄養素や水に溶けだしやすい栄養素を含むため、茹でたり、長時間煮込んだりするのには向きません。サッと炒めたり、溶けだした栄養素も一緒に食べられるスープにしたりするのがよいでしょう。
その場合も最後に加えて短時間で仕上げることで、レタスのシャキシャキとした食感を生かせます。また、細かく切りすぎず大きめにちぎる方が、栄養素を無駄なく食べられるためおすすめです。
3.相性のよい食材を選ぶポイント
レタスと相性のよい食材のひとつが油。レタスに含まれるビタミンAは、油と一緒に摂ることで吸収がよくなります。サラダの場合はドレッシング、加熱調理の場合は炒めものなどで油と組み合わせましょう。
4.食べるときに注意するポイント
レタスを食べる際は、極端な量を食べすぎないように注意しましょう。レタスに含まれる食物繊維は不溶性のものが多いため、食べすぎるとかえって便秘が悪化することがあるので注意が必要です。
不溶性の食物繊維は、便のかさを増やすことで便通をよくする働きを持ちます。しかし、その量が多すぎてしまうと、かさが増えすぎた便によってお腹が張ることがあります。
普通の食事で食べる程度では問題ないため、ほかの不溶性食物繊維が豊富な食品と組み合わせる場合に気をつけるようにしましょう。
レタスに栄養がないのは間違い!ダイエットや健康のためにも取り入れよう
レタスは水分量が多い野菜のため、栄養がないと思われがちですが、品種によってそれぞれ含まれる栄養素が異なります。
低カロリー低糖質な上に、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるものもあります。 そのときの献立に使うほかの食材との組み合わせによって、品種を選ぶとよいでしょう。
また、調理の方法を工夫することで、栄養素を無駄なく摂取できるため、今回紹介したポイントを毎日の食事に役立ててみてください。
監修
川島 尚子
管理栄養士兼パティシエ。料理教室運営会社で講師やメニュー開発に従事後、パティシエへ転向。現在は企業様向けのレシピ開発やコラム執筆、オンラインショップやオーダーメイド菓子の制作を行う。ヘルシーなものから子供向けまで幅広く対応。
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