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【目次】
レバーってどんな食材?知られていない種類や特徴
レバーは「きも」とも呼ばれ、臓器でいうと肝臓にあたる部位です。レバーの種類は大きく分けると、牛レバー、豚レバー、鶏レバー、白レバーの4種類です。
豊富な栄養素の中でも、たんぱく質、鉄、ビタミンA、ビタミンB群が多く含まれています。まずは、それぞれの種類や含まれる栄養素について詳しくご紹介します。
■レバーの種類
代表的な4種類のレバーの特徴をご紹介します。
牛レバーは肉質がやわらかく、熱を加えると少し締まった質感になります。風味が濃く、特徴的な食感がありますが、下処理が不十分だと生臭さが残りやすいです。
豚レバーは高たんぱくで、鉄分の含有量も多いのが特徴です。牛レバーよりもしっかりした弾力があり、ぷりぷりとした食感が楽しめます。
鶏レバーはきめが細かくしっとりとした食感で、加熱しすぎない方がおいしく食べられます。牛や豚と比べてクセが少ないため、食べやすいと感じる方も多いレバーです。
白レバーは鶏レバーの一種です。一般的な鶏レバーと比べて、脂肪が多く含まれる脂肪肝のことを指します。フォアグラに似た濃厚さがあり、臭みも少ないのが特徴ですが、スーパーなどでは見かけない希少品です。
■レバーの種類ごとの100gあたりに含まれる栄養素
牛、豚、鶏レバーにそれぞれ含まれる栄養素をご紹介します。種類によって多少の差はありますが、いずれも高たんぱくで鉄分やビタミンA、B群が豊富です。
可食部100gあたり
出典:「文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※図表は編集部にて作成
レバーに含まれている栄養素とすごいその効能
レバーに豊富に含まれる栄養素は鉄、ビタミンA、ビタミンB群、亜鉛です。それぞれ貧血の予防や、皮膚や目の健康の維持、疲労回復、味覚の正常化などの効能を持っています。
ここからはそれぞれの栄養素と効能に関して、不足した場合の症状なども踏まえて解説します。
■鉄と葉酸で貧血予防
レバーに含まれる栄養素の中でも代表的なものが、鉄と葉酸です。いずれも、貧血を予防するのに役立ちます。
鉄は必須ミネラルの一種で、赤血球中に含まれるヘモグロビンという成分の材料です。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ働きを持っているため、不足すると酸素が体にいきわたらなくなり、鉄欠乏性貧血になります。頭痛や倦怠感などが主な症状です。
葉酸は、ビタミンB群に含まれる水溶性のビタミンです。赤血球をつくるのを助けることから、造血のビタミンとも呼ばれます。不足すると貧血になるほか、妊娠中の女性の場合は胎児の成長に影響が出るため注意が必要です。
■ビタミンAで皮膚や目の健康を保つ
レバーには、ビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAは、目や皮膚の健康を保つビタミンです。不足することで目や皮膚に不調が起こります。
目に現れる症状としては光を極端にまぶしく感じたり、暗い所や夜にものが見えにくくなったりです。
皮膚に現れる症状としては、乾燥しやすくなることです。肌だけでなく、粘膜や爪などでも起こります。粘膜が乾燥してしまうとウイルスや細菌が体内に入りやすくなるため、免疫力も下がります。
■ビタミンB群で疲労回復
ビタミンB群は、それぞれ関わり合って食べた栄養素を代謝するときに働く栄養素です。エネルギーを生み出すのを助けるため、疲労回復に繋がります。
ビタミンB1は炭水化物、ビタミンB2は脂質をそれぞれ燃焼させてエネルギーをつくります。ビタミンB6は、たんぱく質の分解と合成を助ける栄養素です。ほかにもビタミンB12や葉酸など、貧血予防に効果のあるB群もレバーには豊富に含まれます。
また、ビタミンB群は水溶性の栄養素です。体に貯めておくことができないため、毎日こまめに摂取するように意識するとよいでしょう。
■亜鉛で味覚を正常に
亜鉛は皮膚や粘膜の健康を守り、味覚を正常に保つために必要な栄養素です。ミネラルの中では不足しやすいといわれています。
亜鉛は、体が新しい細胞をつくるときに必要なため、生まれ変わりが盛んな臓器で欠乏症が現れやすくなります。代表的なのが舌です。細胞の生まれ変わるペースが早いため、亜鉛の不足によって味覚障害が起こります。
ほかにも皮膚炎や脱毛、男性の場合は性機能の低下、妊娠中は胎児の成長不良や奇形などさまざまな欠乏症が起こります。亜鉛が不足しないように、レバーなどで積極的に取り入れましょう。
食べすぎには注意!1日の目安量
レバーの1日の目安量は、牛レバーが245g、豚レバーが20g、鶏レバーが19gです。目安量を大きく上回る量を食べてしまうと、ビタミンAの過剰症や痛風になることがあります。特に妊娠中の方は胎児への影響もあるため、注意が必要です。
ここでは、それぞれのレバーで目安量が異なる理由や、具体的な症状などについてご紹介します。
■1日の目安量
レバーの1日の目安量は、ビタミンAの量によって決まります。ビタミンAは成人の場合、1日当たりの上限量が2700μgまでとされています。ここから換算すると牛レバーは245g、豚レバーは20g、鶏レバーは19gです。
焼き鳥のレバーは串1本あたり約30gのため、ビタミンAがたくさん含まれている豚や鶏のレバーは1日に食べすぎないように注意しましょう。
出典:「厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)」「文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
■食べすぎるとどうなる?
レバーを食べすぎると、ビタミンAの過剰症や痛風のリスクが高まります。ビタミンAは脂溶性のビタミンです。摂り過ぎた分は排泄されず、肝臓に蓄積されるため、過剰症が起こります。
具体的な症状は頭痛や吐き気、疲労感などの不調から脱毛や皮膚の乾燥など、表面的に表れるものまでさまざまです。また、妊娠中にビタミンAを過剰に摂ってしまうと、胎児に奇形が発生する可能性が高くなるため注意が必要です。
ほかにも、プリン体も多く含まれていることから、食べすぎで痛風になる可能性もあります。レバーは栄養豊富な分、食べる量には十分気をつけましょう。
レバーの栄養をおいしく効果的に食べるには
レバーをおいしく食べるためには、牛乳で下処理をするとよいでしょう。また、タマネギやニラ、ビタミンCを含む食材と組み合わせることで栄養素を効率的に摂ることができます。
ダイエット中にも向いている食材といえるため、適量を取り入れるのがおすすめです。
■上手な下処理の方法
レバーの下処理の方法としておすすめなのは牛乳を使った方法です。下処理をうまくするだけで、独特の臭みを感じずにおいしく食べることができます。
レバーは新鮮なものを購入し、鮮度が落ちる前に下処理をしましょう。臭みの原因は血の塊です。切った後に氷水で洗い、血の塊を取り除きます。
その後、牛乳に10〜30分程度浸します。再度冷水で洗って水気を拭いたら、そのまま調理するだけです。牛乳のたんぱく質が臭みの成分を吸着してくれ、簡単に臭みを取り除けるためおすすめです。
■組み合わせるのにおすすめな食材
レバーと組み合わせるのにおすすめの食材は、タマネギやニラ、ビタミンCを多く含む食材です。
タマネギやニラなどの野菜には、硫化アリルという香り成分が含まれます。硫化アリルはレバーに含まれるビタミンB1と一緒に摂取すると、糖質を効率的にエネルギーに変えることができ、おすすめです。
ビタミンCには、レバーに豊富に含まれる鉄の吸収を高める働きがあります。一緒に調理できる食材としては、パプリカや菜の花、ブロッコリー、ジャガイモがあげられます。ほかにも、調理後にレモンなどかんきつ類を絞って食べるのも効果的です。
■ダイエット中にも効果的
レバーはダイエット中の栄養を補うのに向いています。
ダイエット中は食事を制限した場合、栄養バランスが崩れやすくなります。特に鉄は不足しやすく、月経のある場合は必要量も多い栄養素です。不足して貧血を起こさないように、適量を取り入れるとよいでしょう。
また、ビタミンAやB群が不足すると肌荒れにも繋がります。不足しがちな栄養素を補ってきれいに痩せるためにも、ダイエット中のレバーはおすすめです。
栄養豊富なレバーをおいしく食事に取り入れよう
レバーには鉄分をはじめ、ビタミン類やミネラルが豊富に含まれています。健康な体を維持するためだけでなく、ダイエットや美容のためにも効果的です。
苦手な方は新鮮なものを選んで、しっかり下処理をしてみてください。組み合わせる食材を工夫することで、より効果的に栄養素を取り入れることもできます。
食べ方のポイントをおさえて、栄養の宝庫であるレバーをおいしく取り入れてみましょう。
監修
川島 尚子
管理栄養士兼パティシエ。料理教室運営会社で講師やメニュー開発に従事後、パティシエへ転向。現在は企業様向けのレシピ開発やコラム執筆、オンラインショップやオーダーメイド菓子の制作を行う。ヘルシーなものから子供向けまで幅広く対応。
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