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「わさび」とはどんな植物?
鼻に抜けるようなツーンとした辛みが特徴の「わさび」。子供の頃は食べられなかったけど、大人になるとそのおいしさがわかってきた、という方も多いのでは? そんな多くの日本人が愛する「わさび」について、詳しく見ていきます。
「わさび」は漢字で書くと「山葵」。アブラナ科のワサビ属の植物で、野菜に分類されます。わさびは日本原産の多年生水生植物。日本では古来より栽培されており、奈良時代の書物に「山葵」という名前がすでに登場しています。
栽培できる環境が限られている
「わさび」は、栽培するのが難しいとされている植物の1つです。暑さに弱いため、涼しい場所で育ちます。しかし寒すぎても栽培できません。さらに山間の渓流といった、水がきれいな場所を好むなど、環境の条件が揃わないとおいしい「わさび」が育たないとされています。
日本での主な「わさび」の生産地は、長野県や静岡県、岩手県です。
「わさび」に旬はある?
「わさび」は年間を通して収穫されるため、旬はないとされています。しかし時期によって、辛さは少し異なるようです。最も「わさび」の辛さが増すのは冬。「わさび」は、秋から冬にかけて、茎に栄養が行き渡ります。そのため、実の辛みが増すのだそう。
一方で、「わさび」は春に花を咲かせます。この時期は、主に「わさび」の花や種に栄養がいき、実の辛さはマイルドになるようです。「わさびは、辛いほうが好き」という方は、秋から冬に出回るわさびを購入するとよいでしょう。
「わさび菜」とは?
「わさび菜」は、「わさび」という名前がついていることから「わさび」の一部だと思われがちですが、「わさび」と「わさび菜」は全くの別物。「わさび菜」は、アブラナ科アブラナ属のカラシナ種。九州の在来種である「からし菜」の変異種を栽培したものだといわれています。
長い葉の淵が縮れてフリル状になっていてるのが特徴。食べるとピリッとした辛みや香りを感じます。フリル状の「わさび菜」の葉は柔らかく、生のままサラダとして食べることが可能です。また、茹でておひたしなどにすると、辛みがマイルドになるため、辛みが苦手な方や子供も食べやすくなるでしょう。
その他、「わさび菜」はサンドウィッチ、炒め物、天ぷらなどにして食べるのがおすすめです。
「わさび」の辛さの正体とは? そのまま舐めても辛くない?
わさびの特徴である、ツーンとした鼻に抜けるような辛みや香りの正体は、「アリル芥子油(アリルイソチオシアネート)」という成分です。すりおろしたり、細かくきざむことで、わさびの細胞が壊れます。そこで酵素反応が起きて初めて発生するのです。そのため、生の「わさび」をそのまま舐めても辛くありません。
また、この辛み成分は揮発性であるため、食べると鼻に抜けるような刺激があるというわけです。そして、おろして時間が経つにつれて、この「わさび」特有の香りと辛みは薄れていきます。フレッシュな「わさび」の風味を楽しむには、おろしてから10分以内に使うのが目安だとされています。
「わさび」の風味を引き出すおろし方は?
「生わさび」が手に入ったら、自宅でも風味豊かなわさびを楽しみたいもの。わさびの爽やかな香りと辛みを楽しむポイントは、とにかく細かくすりおろすこと。そして、使う直前におろすことです。おいしいわさびのおろし方や、使用する道具を見ていきましょう。
「わさび」をおろす道具
「わさび」をおろす際、なるべく目の細かいおろし金を選ぶのがポイントです。本格的に「生わさび」を楽しみたい方は、サメの皮を使った「鮫皮おろし」がおすすめ。料理屋などで使われているのがこの「鮫皮おろし」です。鮫の皮のザラザラが、「わさび」の繊維を細かくすりおろしてくれます。
おろし方
1. 「わさび」は水で洗い、茎の部分を手で取り除きます
2. 包丁の背を使って、「わさび」の表面のゴツゴツとした部分を軽く削ぎ落とします
3. 切った茎の根元の部分を、包丁で鉛筆を削るようにカット
4. おろし金に「わさび」を垂直に当て、ゆっくり円を書くようにすります
使いかけの「生わさび」の保存方法は?
一度に使いきれなかった「生わさび」の保存方法を見ていきましょう。
「生わさび」の保存方法
使い切れなかった「生わさび」は、濡らしたキッチンペーパーに包んで、保存袋やラップに包んで冷蔵庫で保存することができます。
おろした「わさび」の保存方法
「生わさび」をおろして余った場合、冷凍保存がおすすめ。ラップに使いやすい量に分けて、平らに伸ばして包み、さらにジッパーバッグに入れて冷凍庫で保存します。
薬味以外のわさびの食べ方は?
「わさび」は主に、薬味として食べられることが多いでしょう。しかし、もし「生わさび」が手に入ったら、わさび漬けにしたり、わさび丼にして食べるのもおすすめです。
わさび漬け
「わさび漬け」とは、刻んだ「わさび」の葉や茎、根を酒粕につけたものです。かまぼこや茄子、きゅうりなどの浅漬けにつけて食べられます。また、お酒のあてとしてもぴったりです。
生わさび丼
熱々のご飯に、かつお節、醤油をかけ、あとはすりおろした「わさび」、海苔をのせるだけ。「生わさび」の風味をダイレクトに楽しむことができます。
最後に
「わさび」は身近な食材ですが、意外と「わさび」のおろし方や辛みの正体など、知らないことも多かったのではないでしょうか? 日本古来からのスパイス「わさび」。薬味としてだけでなく、アレンジして楽しんでみてはいかがでしょうか。
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