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2025.02.11

ガバナンスとは?間違えやすい内部統制やリスクマネジメントとの違いも説明

職場で「ガバナンス」という単語を耳にしても、正確な意味がよく分からないという人は多いでしょう。ガバナンスやコンプライアンスといった単語を正確に使えるように、ガバナンスの基本的な意味と具体的な内容、似たような言葉との違いを解説します。

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ガバナンスの意味と重要性

ミーティング風景 イラスト

(c)AdobeStock

近年、「ガバナンス」は、企業経営において重要視されるようになりました。なぜ、ガバナンスが注目されるようになったのか、日本語の意味や具体的な内容と併せて紹介します。

一般的には「コーポレートガバナンス」のこと

ガバナンス(governance)は「統治・統制」という意味です。日本では主に「コーポレートガバナンス(企業統治)」を指します。コーポレートガバナンスとは、方針や制度などによって企業をまとめ上げることです。

「政治・政府」を意味する「ガバメント(government)」との違いは、統治対象が組織一般であり、国家に限定されていない点です。コーポレートガバナンスの場合、統治・管理する主体は株主で、対象は企業ということになります。

ガバナンス【governance】 の解説
統治。日本では、多くコーポレートガバナンス(企業統治)の意味で使われる。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

コーポレート‐ガバナンス【corporate governance】 の解説
企業ぐるみの違法行為を監視したり、少数に権限が集中する弊害をなくしたりして、企業を健全に運営すること。また、その仕組み。企業統治。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

ガバナンスの具体的な内容

コーポレートガバナンスを強化する基本的な方法は次の三つです。

・社内ルールや仕組み化による内部統制
・従業員に対する社内ルールの浸透
・内部監査や第三者機関によるチェック体制

社内ルールや仕組み化は、目標達成に合ったものであり、適切に運用できるかどうかがポイントです。また、社内のルールが従業員個人にまで浸透されなければ、ガバナンスが機能しているとはいえません。

内部・外部監査は、不適切なルールや業務プロセスを洗い出すのが目的です。組織から独立した客観的な立場でチェックする必要があります。

ガバナンスが必要とされる理由

コーポレートガバナンスの目的は、経営情報を透明化することで不祥事を防止することです。間接的には、企業の経営安定化、信用度・競争力のアップという効果も期待できます。

バブル崩壊後、日本では経営不振による利益の水増し・損失の隠蔽、労働基準法違反などが相次ぎました。

現在、グローバル化によって、企業は国際基準の競争力を求められています。不祥事を予防し中長期的な企業価値を高める上で、コーポレートガバナンスの整備が重要です。

ガバナンスと似た言葉との違い

データを確認する人

(c)AdobeStock

ガバナンスと似た言葉として、例えば「内部統制」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」が挙げられます。混同しやすいそれぞれの単語説明と、コーポレートガバナンスとの関係を見ていきます。

ガバナンスと内部統制

内部統制は、社内向けのルールや仕組みによって企業の信頼性・健全性を維持するもので、コーポレートガバナンスを支える要素の一つです。

2008年に、金融庁の「企業会計審議会」によって、内部統制報告制度が導入されました。2023年4月には改訂が行われ、2024年4月1日以後に行われる事業年度の内部統制監査に適用されています。

改訂後の内部統制の定義は、以下の四つの目的を達成するためのプロセスであり、六つの基本要素で構成されます。

【目的】
・業務の有効性および効率性
・報告の信頼性
・事業活動に関わる法令などの順守
・資産の保全

【基本要素】
・統制環境
・リスクの評価と対応
・統制活動
・情報と伝達
・モニタリング(監視活動)
・IT(情報技術)への対応

改訂には、必要であれば非財務情報も報告に含めることや、ITに関するセキュリティの重要性などが盛り込まれました。

ガバナンスとコンプライアンス

コンプライアンス(compliance)とは「法令順守」の意味です。法令を守るだけでなく、業務規定や社内ルール、常識や公序良俗といった企業倫理・社会規範も守ることを含みます

法令や倫理観は時代によって移り変わるため、法令改正への対応や定期的な業務規定・社内ルールの見直しも必要です。

コーポレートガバナンスは、監視・管理によって不正を予防し、問題が起こったときも適切な対応が取れるようにすることでコンプライアンスを維持します。

ガバナンスとリスクマネジメント

リスクマネジメントとは、経営上のリスクをあらかじめ予想し、それに対する予防や起こった場合の対策を立てておくことです。問題が起きたとき、被害を最小限に抑えるのもリスクマネジメントの役割です。

リスクには、ハラスメント行為、法令違反、顧客情報などの漏えい、不正な会計処理など、さまざまな分野の問題を含みます。

健全に企業経営を行っていく上で、リスクマネジメントは欠かせないものであり、ガバナンスにおける大切な機能の一つです。

よく聞くコーポレートガバナンス・コードとは?

データとビジネスマン

(c)AdobeStock

「コーポレートガバナンス・コード」は、コーポレートガバナンスを維持するためのルールです。コーポレートガバナンス・コードの内容や、2021年の改訂について確認します。

上場企業が守るべき原則・指針を示したもの

コーポレートガバナンス・コードとは、金融庁と東京証券取引所が中心となって、コーポレートガバナンスを実現するための基本原則を取り決めたものです。

【基本原則】
・株主の権利・平等性の確保
・株主以外のステークホルダーとの適切な協働
・適切な情報開示と透明性の確保
・取締役会などの責務
・株主との対話

2021年6月に改訂され、取締役会の機能向上・企業の中核人材における多様性の確保・サステナビリティを巡る課題への取り組みなどの内容が盛り込まれました。

上場企業には、コーポレートガバナンスの順守状況をまとめた「コーポレートガバナンス報告書」の開示が義務付けられています。もし基本原則が守られていない場合には、理由の説明が必要です。

参照:コーポレートガバナンス改革に向けた取組みについて|金融庁

ガバナンス強化は企業の価値を向上させる

グラフの上昇傾向

(c)AdobeStock

コーポレートガバナンスの目的と機能は、企業の信用性や健全性を保つことです。経営に関する情報の透明性は、株主・取引先・顧客・従業員など、企業の利害関係者が適切な判断を下すのに役立ち、その利益を守ります。

ひいては企業の社会的信用度を高め、資金調達で有利にもなります。企業経営が安定すれば、人材の育成・獲得や新商品の開発など、競争力を高めるための投資が可能です。

コーポレートガバナンスは、企業の中長期的な成長と利益のために必要な仕組みです。

メイン画像・アイキャッチ/(c)AdobeStock

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