誤解を受けやすい
素っ気ない態度や無表情な人に対して、多くの人は「もしかして怒っているのかも」と気を使ってしまいます。本人にそのつもりがなくても、相手から見ると「いつも怒っていて怖い」「話しかけてほしくなさそう」と誤解を受けてしまうことも珍しくありません。
自分から仲良くなろうと心を開いていても、無愛想な性格のせいで誤解を受け、なかなか親密になりにくいのです。
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無愛想にはメリットも
あまりよいイメージを持たれない無愛想な性格ですが、実は人と付き合ううえでのメリットもあるのです。悪いことだけではないということを理解し、無愛想のメリットをうまく利用できるようにしましょう。
冷静に見える
考えていることや気分の浮き沈みが表に出にくい無愛想な人は、周囲から冷静に見えるというメリットがあります。たとえ動揺していたとしても、表情に変化が少ないため、周りから気付かれにくいのです。常に一定のテンションで態度がぶれないため、日頃から堂々としていてどっしり構えているイメージをもたれます。
周囲の人がピンチになったときも、焦らず平常通りの態度でいるように見えるため、周りに安心感を与えます。信頼関係ができてしまえば、無愛想な人は冷静で安定感のある人として、周囲から頼られることも多くなるでしょう。
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面倒な付き合いを避けられる
誰にでも愛想をよくする人と違って、無愛想な人は周囲から話しかけられる回数が少ないということもメリットです。嫌いな人や、どうでもいい人との会話に労力を使わずに済むため、余計なストレスがかかりません。
付き合いで出席する飲み会や、人付き合いのトラブルなどに巻き込まれることも少ないため、他人の影響を受けずに仕事やプライベートの時間を自由に使いやすくなります。また、何か反応や意見を求められたときも、無愛想な性格だと周囲が理解していれば、余計な期待を背負う必要がなく、楽な対応ができるというのもメリットです。
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無愛想を改善するためのポイント
人からもたれるイメージをよくしたいと考えている人は少なくありません。無愛想なイメージを改善することで、コミュニケーションが円滑になり、仕事やプライベートに、よい影響を与えられます。無愛想な自分を変えるためには、どのようなポイントに気を付けて人と接すればよいのでしょうか。
声を少し高くすることを意識
声が低いことが、無愛想な印象を与えていることがあります。そこで、少しでも明るい印象にするために、意識的に声を高く出すことを心がけてみるのがおすすめです。高めのトーンで話す人は明るくて朗らかな印象を与えるため、好感度を上げられるのです。
ただし、声が高すぎると、落ち着きのない印象になるため、いつもよりも少しだけ高い声を意識してみましょう。声の高さは、周囲に与える印象を変える重要なポイントの一つです。
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ノンバーバルコミュニケーションを意識
無愛想な人は「ノンバーバルコミュニケーション」を意識してみましょう。ノンバーバルコミュニケーションとは、「非言語コミュニケーション」とも呼ばれ、言葉以外の情報によって行うコミュニケーションを指します。面と向かって話す言葉の内容や、メールの文面ではなく、声の調子や表情、動作などによって自分の気持ちを表現する方法です。
自然と目配せをする、お辞儀や会釈をするといった行動や、口角を上げてほほ笑むなど、いつもよりも自分の表情や動作に意識を集中してみましょう。笑顔が苦手でも、相手を見て適度に相づちを打つなどの工夫をするだけでも、無愛想な印象を和らげることができます。
相手の視点を意識
無愛想な人は、自己中心的に見られがちです。そのため、相手の立場に立って行動することが、無愛想を改善するために役立ちます。相手を思いやり、気持ちや伝えたいことをくみとろうとする姿勢が大切です。
自分視点ではなく、相手の視点を意識することで、変に緊張せずコミュニケーションがとれるようになります。「無愛想だと思われているのでは…」と心配するよりも、相手の視点になって「何を求められているのか」を考えるようにしましょう。
無愛想の類語とは
無愛想の類語には、「ぶっきらぼう」「無愛嬌」「そっけない」などが挙げられます。それぞれの意味をチェックしていきましょう。
ぶっきらぼう
「ぶっきらぼう」の意味を辞書で確認してみましょう。
[名・形動]《打(ぶ)っ切った棒の意から》物の言い方や挙動などに愛想がないこと。また、そのさま。「―な返事」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
話し方や態度などがそっけない人のことを、「ぶっきらぼう」と言ったりしますよね。辞書にも「愛想がないこと」とあるため、「無愛想」とほぼ同じ意味と解釈することができるでしょう。笑顔がなかったり、ついつれない態度を取ったりするような様子がイメージできます。
無愛嬌
「無愛嬌」とはどのような意味でしょうか?
[名・形動]愛敬がないこと。かわいげのないこと。また、そのさま。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「無愛嬌」とは、わかりやすく言えばかわいげのないこと。嬉しいことがあっても、素直に喜ばずにムスッとしていたり、つまらなそうな表情をしていると、「愛嬌がないな」と思われることも…。こちらも「無愛想」とよく似ていますね。
そっけない
「そっけない」の意味は、以下のとおりです。
[形][文]そっけな・し[ク]他人に対する思いやりや温かさが感じられない。すげない。「―・く答える」「―・い態度」
[派生]そっけなさ[名]
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
人に対する態度がどこか冷淡に感じられる時に、「そっけないな」と言ったりしませんか? こちらが話しかけても「はい」「そうですね」としか答えなかったり、すぐにどこかに行ってしまったりすると相手から「そっけない」と思われる可能性もあるでしょう。
無愛想の対義語とは
無愛想の対義語としては、「愛想」や「人懐こい」「愛嬌」があります。いずれも人当たりが良く、他人から良い印象を持たれる人柄を指す場合に用いられる言葉です。早速意味を確認していきましょう。
愛想
「愛想」の意味は以下のとおりです。
《「あいそう」の音変化》
1 人に接するときの態度。また、人当たりのいい態度。「店員の―のいい店」「―のない返事」
2 人に対する好意・信頼感。「―を尽かす」
3 (多く「お愛想」の形で)
ア相手の機嫌をとるための言葉・振る舞い。「―を言う」「お―で食事に誘う」
イ客などに対するもてなし・心遣い。「何の―もなくてすみません」
ウ飲食店などの勘定。「お―願います」
→愛嬌(あいきょう)[用法]
[補説]「愛想をふりまく」という言い方について→愛嬌(あいきょう)をふりまく[補説]
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1番目の意味が、無愛想の対義語として当てはまりますね。人への態度が優しかったり、にこやかに対応してくれる人柄を「愛想がいい」と表現します。他人に良い印象を与えるような態度をとる人が「愛想がいい人」と言えますね。近所付き合いや接客業などでは特に重視されるのではないでしょうか?
人懐こい
「人懐こい(ひとなつこい)」の意味は以下のとおりです。
[形]すぐに打ちとけて親しみやすい。ひとなつっこい。「―・い笑顔」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
誰に対しても好意的で、仲良くなろうとする人のことを「人懐こい」と表現します。初対面の人に自分から話しかけたり、ジョークを言って笑わせたりすることもよくあるでしょう。年上でも関係なく自分から食事に誘ったりすることもできるので、可愛がられやすい性質とも言えそうです。
愛嬌
先ほど類義語で紹介した「無愛嬌」の対義語でもある「愛嬌」も、確認していきましょう。
《古くは「あいぎょう」》
1 にこやかで、かわいらしいこと。「―のある娘」「口もとに―がある」
2 ひょうきんで、憎めない表情・しぐさ。「―たっぷりに話す」
3 相手を喜ばせるような言葉・振る舞い。「―をふりまく」
4 (多く「御愛嬌」の形で)座に興を添えるもの。ちょっとしたサービス。座興。「ご―に一差し舞う」「これもご―。へたな歌でも一曲」
[補説]「あいぎょう(愛敬)2」が清音化し、キャウ・キョウの区別が失われたのち、意味に対応して「嬌」の字が近世以降に当てられるようになった。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1〜3番目の意味が一般的によく使われますね。目が合った時ににっこりと微笑みかけたり、ちょっと甘えたような声を出して周囲を笑わせたりするようなユーモアがあるところも「愛嬌」のある人の特徴。その人にもともと身についた可愛げのある仕草であったり、ひょうきんで憎めない振る舞いなどが「愛嬌」と言えるでしょう。
無愛想の英語表現とは
英語で、「あの人は無愛想な態度をとる」などと表現したい場合、どのような単語を使ったらいいのでしょうか? 一緒に確認していきましょう。
brusque
「brusque」は、「無愛想な」「ぶっきらぼうな」「そっけない」などの意味を持つ単語。人柄や態度に愛想がなく、そっけない振る舞いをする人に対して使われます。
(例文)
・He’s brusque and his friends don’t like him.(彼は無愛想な態度で友達に嫌われている)
unsociable
「unsociable」は、「非社交的な」「引っ込み思案の」の他に、「無愛想な」という意味も含まれます。どちらかというと人付き合いをあまり好まないということを強調したい時に選ばれる傾向があるようです。
(例文)
・My brother is not good at talking to people and is unsociable.(兄は人と話すことが苦手で、無愛想なんだ)
最後に
無愛想であることは、あまりいい印象を持たれないことも多いものですが、見方を変えれば「物事に動じない」「冷静に見える」「1人で作業ができる」などのメリットもあります。人と接する際にはある程度自分から歩み寄ったり、相手を気遣う一言を添えるなど工夫してみてください。それだけでも周囲からの印象が少しずつ良くなっていくはずですよ。
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