具体的な使い方
斜に構えるという言葉は、相手の言動をとがめる場面で使うケースが多いです。もっと態度を改めるべきだというニュアンスが込められています。「あの部下は斜に構えた態度ばかり取ってきて鼻につく」「誰にでも斜に構えて接している人は近寄りがたい」「斜に構えた考え方ばかりしていると人の反感を買う」などです。
本来の意味で使おうとすると「大切なプレゼンを控えて斜に構えている」などの表現が考えられますが、正しく伝わることはめったにありません。周りが誤用している中でも自分だけは正しく言葉を使ってやろう、と考える人もいるかもしれません。しかし、周りに合わせず無理やり会話するなら、その行動そのものがきっと「斜に構えている」と思われてしまう可能性があります。
同じような意味を持つ言葉は?
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「斜に構える」という言葉は、現在誤用されている意味の方がポピュラーであることが分かりました。会話をスムーズにするためには、周りの認識に合わせて使用することも一つの方法です。
しかしながら、本来の意味を知っていながら誤った意味で使うことに抵抗を感じる場合もあります。不真面目で皮肉屋な様子を表す言葉は他にもいくつかあるため、言い換えてしまってはいかがでしょうか。「斜に構える」に近い意味合いを持つ言葉を三つチェックしておきましょう。
偏屈な
偏屈(へんくつ)という言葉は、「斜に構える」の類語の一つです。素直さが見られず、ひねくれた考えを持っている人を指すときに使われます。「斜に構える」と少し異なるのは、頑固なニュアンスを含んでいる点です。周囲が忠告しても耳を傾けず、頑なに自分の考えを曲げません。偏屈だと指摘しようものなら「偏屈で結構」と開き直ってしまうこともありえます。皮肉めいた言動に加え、頑固な性格をあわせ持っている人には使える言葉です。
へそ曲がり
へそ曲がりは、考え方や言動がひねくれている人に対して使う表現です。素直さや真っすぐさが見られず、心が曲がっている状態のことを指しています。「つむじ曲がり」「鼻曲がり」もほぼ同じです。
本来は体の真ん中にあるはずのへそが別のところについており、歪んでいる事を表したとする説や、糸巻きに麻糸を巻いて作った綜麻(へそ)という器具が曲がってしまって、糸を巻く事ができなくなってしまった説など、へそ曲がりの語源には諸説あります。気難しいニュアンスも含んでおり「斜に構える」を言い換える場合に代用することができます。
ひねくれている
最も伝わりやすく、誰にでも馴染みやすい言葉が「ひねくれている」という言葉です。性格や考え方が素直ではなく、心がねじれているさまをシンプルに表現しています。「斜に構える」はもちろんのこと、先に紹介した他の類語を言い換える際にも使える言葉です。「斜に構える」は行動や振る舞いにしか使えませんが「ひねくれている」は「ひねくれもの」と表現することで人そのものを指すときに使えます。分かりやすいため、会話の中でもとっさに使いやすい言葉です。
斜に構えている人の特徴もチェック
そもそも、斜に構えている人はどうしてそのような言動を取るのでしょうか。相手に対して不快な思いをさせたり、会話が伝わりにくくて円滑なコミュニケーションが取れなかったりと損をすることも多いはずです。いつも斜に構えている人がどんな心理状態なのか、どんな特徴を持っているのかをチェックしてみましょう。
周りと同じになりたくない
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周囲の人と同じような考えや行動を取ることを面白くないと感じている人は、斜に構えた振る舞いをしがちです。自分だけは特別であり、同じ色には染まらないことをカッコイイことだと思っています。
人と違う意見を持つことで、自分は知識があり優秀だと周りに思わせたい心理が働く人も多いです。会話をしていても、よく話題に対して議論のすり替えをしたり、本筋からそれる意見を言ってみせたりします。皮肉のこもった言葉を口にする自分のニヒリズムに酔っており、自己満足になりがちです。
何事も批判的に捉えてしまう
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斜に構えている人は、何事も批判的な捉え方をします。周りが称賛するようなことに対しても何かしらアラを探して批判することが多いです。例えば周囲がおいしいと褒める食べ物に対して「おいしいけどちょっとクセがある」と言ってみせるなど愚痴や不満が多く、素直に受け入れることはありません。ものごとを批判的に捉えられる自分は特別だと考えており、周囲にアピールしているのです。
自分に自信がない
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自分に対して自信を持っていない人も、斜に構えている傾向があります。自分の意見や感覚、価値観は間違っているのではないかと考え、素直に表現できないのです。さらに、自分と同じ意見を持っている大多数の人のことも信じられず、あえて否定するような言動を取ってしまいます。
斜に構えた言動は、自分の自信のなさを認められない結果であり、自分の気持ちの防衛本能に近いものがあります。自分の言動を他人から否定される前に、自分自身を自ら自虐的に表現することで自分を守るという態度が、結果的にひねくれた言動として周囲に見えてしまうのです。
監修/マナー講師
武田るな
アパレル販売員として働いたのち、客室乗務員に転身。現在は、印象力アップのマナー講師としてサロンや企業研修などを担当。Domanistとしても活躍する1児の母。
写真/(C)Shutterstock.com
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