「お目もじ」
「お目もじ」も「お目通し」とはまったく別の意味を持ちます。「お目もじ」は上の1で解説した「お目通り」と同じ「会う」という意味。「ぜひ一度お目もじしたく存じます」のように使われています。基本的には、手紙などの書き言葉として用いることが多いでしょう。
また、「お目もじ」は女性が目上の方に対して使う言葉とされています。女性語(女性特有の言い回しや言葉)の一つとされており、主に手紙や文などに用いられていました。
大切な取引先への手紙に「お目もじ叶いましたら光栄です」のように書くと、よく言葉を知っている人だと思ってもらえるかもしれません。特に相手が年配の方だと、よい印象を与えることができる可能性があります。
「お見通し」
「お見通し」も「お目通し」とはまったく異なる意味。「お見通し」は「相手の考えを見抜いている」ことを指します。「お目通し」の覚え方があいまいだと、大事な交渉相手に「お見通しです」などと言ってしまうかもしれません。「あなたのことを見抜いていますよ」という意味になり、たいへん失礼です。うっかり言い間違えたり、書き間違えたりしないようにしたいですね。
「お目通し」を日常的に使うことはあまりないかもしれません。だからこそ、意味をしっかり理解し、ビジネスシーンで適切に使いたいですね。
類語にはどのようなものがある?
「お目通し」と同じ意味で使われる類語についても見ていきましょう。
「ご一読」
「ご一読」とは、一度読むことや、ひととおり読むことを意味する言葉。「ごいちどく」と読みます。「一読」に接頭語の「ご」をつけて使われることが多いでしょう。
意味や使い方は、「お目通し」とほぼ同じ。「こちらの資料を事前にご一読ください」「ご一読いただけましたか?」のように使います。「お目通し」の言い換え表現として使える言葉ですので、把握しておくといいですね。
「ご高覧」
「ご高覧」は「ごこうらん」と読み、相手を敬って、その人が見ることを意味する言葉です。主に目上の人などに書類などを見てもらう場合に用いられる言い回しです。「ご高覧ください」「ご高覧いただく」のように使うことが多いでしょう。少し固さを感じさせる表現ですが、ビジネスシーンではよく使われています。ていねいでフォーマルさを感じさせるので、使い方や意味を覚えておきたいですね。
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「ご確認」
「ご確認」は資料だけではなく、状況や状態などにも使用できます。相手に内容を確かめたい場合や、状況を確認したい場合に「ご確認ください」のように使うといいですね。
「ご確認」は「お目通し」よりも使い勝手がいい言葉。広く浸透していますので、使い方を間違うことは少ないかもしれません。注意したいのは、何でも「ご確認」を使ってしまうこと。「ご確認」が何度も出てくると、文章が読みにくくなったり、相手が混乱したりするかもしれません。
最後に
ビジネスシーンで頻繁に登場する「お目通し」。短い時間で初めから終わりまでザッと見ることを意味します。書類や文書の確認などを依頼する場合に用いられることが多いでしょう。「お目通し」は目上の人に対して使ってもOK。ただし、細かなチェックが必要な場合や、熟読してもらいたい場合は、避ける方がいいでしょう。「お目通し」を使う際は、依頼内容や状況をよく確認するといいですね。
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