「お布施」ってなに?
そもそも「お布施」とはなんでしょうか? 知っているようで実は詳しくない…という人も少なくないでしょう。「お布施」について解説していきます。
「お布施」の意味
見返りを求めず人のためにすることを「お布施」といいます。また、読経や戒名の謝礼として渡す金銭や品物のことも指します。
「お布施」の由来
お布施とは読んで字のごとく、「布を施す」ことです。その昔インドのお坊さんが信徒の家を説教して回って、信徒からいただいた布で袈裟を作ったという話から来ています。「せっかくいいお話をきかせていただいたのに、我が家は貧しくて布くらいしかお渡しできません」といって薄汚れた布を差し出したというお話です。
「お布施」の種類
お布施には実はたくさんの種類があります。広義の意味では以下すべてがお布施になります。
財施(ざいせ)
衣食などの物資やお金を施すこと。現代のお布施はこの財施にあたります。
法施(ほうせ)
教えを説いて聞かせ相手の心に安らぎを与えること。まさに僧侶が法事・法要で施す読経や法話のことです。
無畏施(むいせ)
人々から不安や恐怖を取り除く御祈祷やお守りのこと。
言施(ごんせ)
困っている人に優しく言葉をかけること。
顔施(がんせ)
いつも穏やかにやさしい笑顔を与えること。
などみんなお布施の種類です。お布施の本来の意味はお金を施すことだけではなく、お金がなくても無慈悲の心で相手の方に施しができることを表しています。
「お布施」の相場
それでは、いよいよお布施の相場について一緒にみていきます。僧侶に聞いても「お気持ちだけで十分です」とおっしゃることでしょう。あくまで一般的な相場になりますが、参考にしてみてください。
「お布施」はいつ必要なの?
お通夜からお葬式、納骨式、四十九日法要から始まる法事・法要では寺院から僧侶をお呼びして読経をしていただきます。僧侶をお呼びして読経をしていただくとき、すべてにお布施が必要となるのです。
「お布施」の金額の相場は?
お布施はその行為に対する対価や報酬という意味ではなく、僧侶に対する感謝の気持ちということです。そのため、価格のような概念はありません。一般的にいわれている相場は、アンケートなどで回収された平均的な金額になります。葬儀・お通夜の2日間でのお布施は近畿や関東で20万円、それ以外の地域は15万円といわれています。
お通夜や葬儀以降に法事・法要、その他お布施が必要となるものは、四十九日法要、百箇日法要、一周忌法要、三回忌法要、他にお墓の開眼法要、納骨式、初盆(新盆)法要などがあります。いずれも3万円~5万円が相場といわれています。
また、七回忌以降は少し相場が下がるようで、1万円~5万円が一般的な相場です。また墓じまいにおける閉眼供養の際にもお布施は必要。相場は3万円~15万円ですが、差が大きいのは寺院とのお付き合いの長さによるものです。お世話になった期間が長くなるほどお布施も高くなります。
「お布施」以外に必要なお金
「御車料」と「御膳料」、戒名をつけていただくときに「戒名料」が必要となります。ただし戒名は葬儀のお布施の際に入っているケースもありますので、必ず寺院にご確認ください。
御車料は交通費に該当します。自宅などお寺以外の場所で送迎を行わなかった場合には必ずお渡しください。相場は5,000円~1万円です。
御膳料は僧侶の食事代です。法事・法要の後の会食(お斎)をご辞退された場合は必ずお渡しください。相場は5,000円~1万円です。
「お布施」の書き方
お布施は、奉書紙といわれる和紙か、水引のない無地の白い封筒に入れましょう。ただし一部の地域では、水引がない封筒を使わないところもあるようです。不安な場合は葬儀社などに確認しましょう。また封筒の中包みは不幸が重なることを連想させるので、一般的には不要です。
「お布施」はどう書く?
香典に用いる薄墨ではなく、普通の濃さの墨(もしくは筆ペンなど)を使います。表書きには「御布施」と書き、その下に施主の姓名もしくは●●家と書きます。裏書きは、住所と氏名、そして金額です。
金額は大字(だいじ)といわれる漢数字を使い、頭に「金」、末尾に「圓」をつけましょう。大字とは、壱(いち)、弐(に)、参(さん)、拾(じゅう)などです。同様に「御車料」、「御膳料」とそれぞれ別の封筒に入れてお渡ししましょう。
お金の入れ方
お札の肖像画が正面の上にくるようにして入れます。お札は新札が望ましいでしょう。旧札でも構いませんが、なるべくきれいなお札を用意しましょう。
「お布施」のマナー
お布施に関するマナーについては、渡し方や渡すタイミングなどがあります。一緒にみていきましょう。
「お布施」でいれてはダメな金額
お布施は僧侶に対する感謝の気持ちです。そのため、香典とは違い一般的にいわれる不吉な数字(四や九)、または偶数などになってもマナー違反ではありません。ただし端数などの金額はやめてキリのいい数字にしましょう。
「お布施」の渡し方
「お布施」を僧侶にお渡しする時は、決して素手で手渡しすることがないようにしてください。袱紗(ふくさ)に包み、取り出してから切手盆と言われるお盆にのせて、お渡しするのがマナーです。もしお盆がないのでしたら、袱紗の上に置いたまま差し出してお渡ししましょう。
「お布施」は僧侶から向かって正面にして差し出すようにします。お渡しする際は必ず両手を添えて差し出し、感謝の言葉を述べてお渡ししましょう。
「お布施」をお渡しするタイミング
お渡しするタイミングは法要が始まる前か、終わった後のどちらでも構いません。会食をされるときは、会食が終わったあとにお渡ししましょう。
まとめ
お布施については決まった金額はありません。あくまで僧侶に対する感謝の気持ちになります。僧侶個人に渡すお金というよりもお寺様に対して、仏様をお守り通してほしいという願いに近いのかも知れません。
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