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2023.05.04

退職金にかかる税金のひとつ「住民税」の算出方法や納付方法とは【専門家監修】

3)住民税額を算出する

住民税率は一律10%(内訳:都道府県民税4%、市区町村税6%)とされており、課税退職所得金額による変動はありません。ただし、自治体によってはこの税率を適用していないところがあります。気になる場合は各自治体のホームページで確認しておきましょう。

〈退職金にかかる住民税の計算式〉
住民税=課税退職所得金額×住民税率10%

参考:国税庁 退職金と税

退職金をもらったら確定申告が必要?

前述したように、退職金はあらかじめ税金が差し引かれて支給されるため、確定申告をする必要はありません。ただし、次のようなケースに該当する場合は、確定申告が必要になります。

芝生の上に家のオブジェ、TAXと書かれた木のブロックが並んだイメージ写真

「退職所得の受給に関する申告書」未提出のケース

退職所得控除を受ける場合、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなければなりません。もし未提出だった場合、住民税については変わりませんが、所得税の課税額が変わりますので、注意が必要です。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合、一律20.42%の税率で所得税と復興特別所得税のふたつが源泉徴収されます。もし退職所得控除の適用を受けて算出した税額よりも多く納付した場合は、確定申告をすることで所得税の還付を受けることができます。

「退職所得の受給に関する申告書」については、勤務先から受け取る以外に国税庁のホームページからダウンロードできます。勤務先から提出案内を受けなかった場合は、まず勤務先に確認し、必要に応じて自分で用意しましょう。

参考:国税庁 [手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)

1年の途中で退職したあと再就職をしていないケース

1年の途中で退職し、そのあと年内に再就職をしなかった場合は、年末調整ができないため、確定申告をする必要があります。確定申告をすることで、払い過ぎていた所得税が還付されることがありますから、面倒でも申告をすることをおすすめします。

退職金を受け取ったら、翌年の住民税は変わる?

退職金を受け取る際、退職金にかかる住民税は徴収されますので、翌年に再度納付を求められるということはありません。また退職金だけで税額を算出しますので、翌年に支払う住民税が増額するということもありません。

退職金の受け取り方はふたつ

退職金の受け取り方法はふたつあります。受け取り方を選べるかどうかは勤務先で異なりますので、勤務先の該当部署に確認してみましょう。

また、退職金は受け取り方で課税金額の算出が異なります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。

テーブルに向かい合って説明をする人、説明される2人の人のイメージイラスト

▷一時金として一括で受け取る

一時金として一括で退職金を受け取った場合は、退職所得・分離課税として取り扱われます。この場合、勤務年数による退職所得控除が適用されますので、税金面での優遇を受けられます。

一時金で受け取るメリットとデメリット

税金の優遇措置を受けられるため、大きなお金が残りますから、住宅ローンなどの残債を一括清算したり、新たに物件を購入したりなども可能に

ただし、退職金を老後資金として活用するのであれば、慎重に退職金の管理をする必要があります。気が緩んで使い過ぎてしまったということがないよう、十分に注意しましょう。

▷年金として分割で受け取る

退職金は年金として受け取ることもできます。年金・分割で退職金を受け取る場合、退職金は公的年金などに含むと考えられて、取り扱いは雑所得・総合課税になります。

年金として分割で受け取る場合、公的年金等控除を受けられます。また、支給されていない退職金を勤務先で運用されて総額が増えるかもしれません。

年金として分割で受け取るメリットとデメリット

分割で受け取るため、一時金に比べてお金の管理はしやすいでしょう。老後資金として活用するには適しているかもしれません。

ただし、退職金を年金として受け取る場合、受け取る期間が長くなるぶん、課税期間も長くなります。一時金に比べて税金面での優遇措置がないため、その分課税額も大きくなる可能性がありますので、注意が必要です。

参考:国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

最後に

退職金は「退職所得」に分類され、税金(住民税と所得税)が課せられます。基本的には勤務先が納付しますので、個人で納付することはありません。確定申告については、必要なケースに該当したら必ず行うようにしましょう。退職金の受け取り方などに迷いや不安がある場合は、ぜひ専門家に相談してください。

益田瑛己子

ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)と就職支援をメインに活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン

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